【一滴】教学研さんから生まれた「納得」2022年8月1日

教学研さんの日々を振り返る3人。星塚さん㊨は、近藤さん㊥について「笑顔を見せてくれることが多くなった」と。「そうかもしれませんね」と応じる近藤さんは、星塚さんを「誠実な人」、吉田さん㊧を「芯があってぶれない人」と言い信頼を寄せる。吉田さんは「3人一緒に頑張れて良かった」と。これからも仲良く広布に歩む(熊本・荒尾会館で)

教学研さんの日々を振り返る3人。星塚さん㊨は、近藤さん㊥について「笑顔を見せてくれることが多くなった」と。「そうかもしれませんね」と応じる近藤さんは、星塚さんを「誠実な人」、吉田さん㊧を「芯があってぶれない人」と言い信頼を寄せる。吉田さんは「3人一緒に頑張れて良かった」と。これからも仲良く広布に歩む(熊本・荒尾会館で)

熊本男子部の「マンツーマン教学運動」

 本年初頭から、熊本総県男子部は「マンツーマン教学運動」という取り組みを行ってきました。2人から3人の少人数で一組となり、約3カ月間、週に1回のペースで「教学部任用試験(仏法入門)」の出題範囲の一部となっている書籍『仏法入門 任用試験のために』を研さんしていくもの。少人数で絆を育みながら、“教える側”も“教わる側”も成長していきました。今回は、共に研さんに励んだ3人の変化に迫ります。(記者=橋本良太)

 本年1月下旬、熊本平和会館では、県内各地から男子部のリーダーが集い、古瀬総県男子部長の話に耳を傾けていた。「マンツーマン教学運動と名付け、少人数で、週1回、教学の研さんをやり抜いていきたいと思います」
 これまでも“一対一のつながりが大切”ということをリーダーたちは心に留め、2020年夏に新型コロナウイルス感染の“第2波”が収束した頃から、メンバーへの訪問・激励に力を注いできた。
 
 そして1年半――。「維持してきた“つながり”の“その先”を、マンツーマン教学運動は目指します。日蓮大聖人の仏法を学べば『信』が深まり、深まった『信』は行動へと結びつきます」と総県男子部長は力説した。
 熊本県荒尾市を広布の舞台とする荒尾常勝圏の野尻健太郎さん(圏男子部長)は説明を聞きながら、運動の意義に共感を覚えた。

野尻健太郎さん

野尻健太郎さん

 “メンバーとのつながりを生かし、今度は信心の理解を深める。そうなれば、皆がさらに信心を好きになる!”。早速、野尻さんはリーダーたちに、誰と勉強するかを尋ねていった。続々とペアが結成される中、星塚栄城さん(男子部副部長)は「近藤さんと一緒に勉強したい」と希望した。

境涯を開いて

 近藤孝彦さん(男子部員)とは野尻さんも面識があった。会合に参加した回数は数えるほどだが、“つながり”のあるメンバーだ。さらに野尻さんは、吉田孝一さん(男子地区副リーダー)も加えた3人で勉強会を行っていくことを提案した。
 2月上旬、近藤さんのもとに、星塚さんと吉田さんが打診に行くと、「分かりました」と、共に研さんすることを決意してくれた。
 当時を思い起こし、近藤さんは承諾の理由を「“親近感”ですかね」と語る。「星塚さんは僕と似て口下手なんです。でも、一生懸命なのは伝わってきたのでオーケーしました」と。

勉強会の開催日や方法についてもコミュニケーションを重ねた

勉強会の開催日や方法についてもコミュニケーションを重ねた

 毎週月曜日の夜には、総県主催でオンラインによる「マンツーマン担当者会」が開かれた。星塚さんは、そこで永田総県男子部教学部長らの担当者向け講義を受け、さらに勉強会までに『仏法入門 任用試験のために』をじっくりと学んだ。かつて任用試験に合格し、一度は触れた内容であるものの、「教えるために学び直すと理解が深まり、感動することばかりでした」と振り返る。
 
 とりわけ心を打たれたのは、「成仏」について記された次の内容だった。
 「成仏とは、自身の内に具わる仏の生命境涯(仏界)を開くことにほかなりません。『凡夫』すなわち普通の人間である私たちが、その身のままで、自身に仏の生命境涯を開き顕せるのです。それゆえ、『凡夫成仏』とも、『即身成仏』ともいいます」
 現実世界で自らの生命境涯を開く――それは、星塚さんが向き合う課題にも通じていると感じた。

星塚栄城さん

星塚栄城さん

自分を変えたい

 荒尾市で生まれ、祖父母の代から信心に励む家庭で育った星塚さん。創価大学で学び、2016年の卒業後に帰郷したものの、仕事のことで悩んだ。男子部の先輩に悩みを聞いてもらい、会合に参加する中で題目を唱えるように。転職に挑戦し、工場勤務の仕事を得た。
 星塚さんは自らについて「内向的で、思っていることをうまく伝えられない」と言う。工場で電子部品の製造を担うが、分からないことを周囲に相談できない時がある。だからこそ「境涯を開く」という仏法の考え方に心を打たれた。
 
 2月下旬、第3回のマンツーマン教学の勉強会で、星塚さんは「成仏」について書籍から解説し、自らの近況と所感を述べた。「僕は苦しいと、自分の殻にこもってしまう癖がある。そういう心を唱題で開き、自分を変えていけると感じています」

勉強会で使用した『仏法入門 任用試験のために』のコピー

勉強会で使用した『仏法入門 任用試験のために』のコピー

 近藤さんと吉田さんは、星塚さんの話を、うなずきながら聞いた。2人とも祖父母の代から信心に励む家に生まれた。近藤さんは、高校卒業後から派遣社員として多くの職場を経験し、星塚さん同様、「人間関係の壁」に直面した。
 「人と会話をすること自体に疲弊する」と言う近藤さん。ストレスのあまり無断欠勤したこともあった。それに対し、教学を通して「信心に励めば“自分の嫌なところ”を変えていける」と語る星塚さん。近藤さんはそれを聞き、“自分と向き合うために題目を唱えるんだな”と理解できた。

近藤孝彦さん

近藤孝彦さん

吉田孝一さん

吉田孝一さん

 吉田さんも「自分を変えたい」と願ってきた。5人きょうだいの長男で、家計が苦しい中で大学に進学。在学期間は亡き母の闘病と重なり、介護にも力を尽くした。「努力をやめない粘り強さがある」と男子部の友は彼を尊敬する。だが当の吉田さんは「自分を表現するのが苦手」と。就職の第1志望は不採用となり、大学卒業後、1年間は仕事が決まらなかった。それでも友の励ましを受けて唱題を続け、昨年、就職を勝ち取ることができた。
 教学の勉強会を通し、吉田さんは祖母の口癖を思い起こした。“人生は苦しいことがたくさんあるが、何があっても信心を貫いてほしい”――吉田さんは「祖母の言葉の理由が、教学の中にたくさん詰まっている」と感じることができた。

熊本・荒尾市から有明海を望む

熊本・荒尾市から有明海を望む

仲間との絆

 勉強開始から3カ月余りがたった5月下旬、3人は熊本総県男子部が実施した教学の模擬試験に臨んだ。
 点数はそれぞれだが、「勉強をやり抜いたことに意味がある」と野尻圏男子部長は感じている。野尻さん自身は別のメンバーとペアとなり勉強会を行う傍ら、星塚さんへ、勉強会の日程や開催方法についてアドバイスを。3人へ個別に激励も重ねるなど尽力した。
 
 見守り続けて分かった3人の変化がある。
 星塚さんは、職場での働きぶりが評価され、多くの仕事を任されるようになった。学会活動でも、自発的にメンバーへの訪問・激励を重ねている。
 吉田さんは職場で唯一の20代だが、10歳、20歳年上の先輩とコミュニケーションが取れるように。友人への対話にも一層、挑戦するようになった。
 近藤さんは、会館での男子部の会合にも集うように。そんな近藤さんの変化を知った中学同窓のメンバーが「そろそろ俺も学会活動する」と、会合に参加するようになった。

「マンツーマン教学運動」に取り組み、研さんに挑んだ努力をたたえ合う熊本総県男子部の友(本年5月、熊本平和会館で)

「マンツーマン教学運動」に取り組み、研さんに挑んだ努力をたたえ合う熊本総県男子部の友(本年5月、熊本平和会館で)

 勉強開始時、吉田さんを加えた3人で学ぶことを提案した野尻さん。その理由は「後輩たちに、“男子部の友としての絆”を結んでほしかったから」と言う。「似ているところのある3人が仲良くなり、それぞれに一歩を踏み出してくれました。また3人に限らず、仕事や家庭のことなど悩みは絶えず生じますが、メンバーが求めているのは“俺の人生、この道でいいんだ”という納得だと感じます。教学を研さんすることが、その追い風になって、挑戦の勇気を、皆に与えてくれました」
 
 池田先生は、つづっている。「大事なことは、教学を学ぶなかで、『この信心はすごい』という喜びと確信が深まることである。朝晩、勤行・唱題に臨む姿勢が変わることである。悩みや苦難にぶつかった時、御聖訓を思い起こして、負けない『師子王の心』を奮い起こすことである。そして、広宣流布の同志と『異体同心』で歩む尊き使命を知り、誇り高く胸を張っていくことである」(『随筆 対話の大道』)
 
 信心を根本に、自らの意思で人生を歩んでいく。そのために仲間との絆があり、教学の研さんがあることを、3人のひたむきな姿は教えてくれる。
 
 

一滴――新しい日々の始まり。

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