〈第7回本部幹部会・兵庫総会〉 活動体験 西神戸総県・西須磨光彩本部 須留原光浩さん(本部長)2022年2月17日

  • ケーキ作りで地域に尽くす

須留原光浩さん

須留原光浩さん

 一、私は神戸市長田区でケーキ店を営んでいます。父が1969年に創業。2代目の私は82年、高校卒業と同時に店に入り、父のもとでケーキ作りを学びました。84年、世界平和文化祭に折伏を成就して出演し、池田先生にお会いできたことが信心の原点です。
 
 一、95年の阪神・淡路大震災では、男子部の部長だった私は“バイク隊”の一員として、すぐさま救援に奔走しました。月日がたつにつれ、水や電気などのライフラインが復旧し始め、店舗再開のめどが立ちました。しかし、ためらいもありました。同じ商店街にも店はおろか、住む家までも失った人がたくさんいました。
 
 自分だけ前に進んでいいのか――悩みに悩みましたが、復興には商店街の復活が欠かせないと、思い切って営業を再開しました。
 
 ある日の夕方、一人のお客さんに言われました。「店を開けてくれてありがとう。避難所にいる家族に何も買うてやれんかったけど、これで喜ぶ顔が見れるわ」との涙ながらの一言は、今も忘れることができません。
 
 喜ばれるお菓子を作り続ける。これが自分の使命なんやと心が定まりました。
 

ケーキ店を営む須留原さん(左から2人目)が愛する家族と共に。店内には、バラエティーに富んだケーキが並び、来店者の笑みがこぼれる

ケーキ店を営む須留原さん(左から2人目)が愛する家族と共に。店内には、バラエティーに富んだケーキが並び、来店者の笑みがこぼれる

 一、2004年に壮年部に進出してからは、池田先生のご指導の通り、徹底して地域の発展に尽くそうと決意。店舗のある「西神戸センター街」でも会計係となり、地域振興のイベントがあれば、運営や司会など何役もこなしました。「とてもケーキ屋さんとは思われへんわ」と皆さんに驚かれた時、初めて学会の薫陶のありがたさを実感しました。
 
 思いがけない出会いもありました。イベントで大手百貨店のバイヤーと知り合い、“デパ地下”の催事にケーキを出品できることに。評判が評判を呼び、その後は神戸と大阪の九つの百貨店の催事に出店できるまでになり、大きく売り上げを伸ばすことができました。
 
 さらに震災から10年となった2005年、神戸港のシンボルであるメリケンパークの神戸海洋博物館で開催されたイベントで、数ある神戸のケーキ店の中の10店に選出され、オリジナルケーキを出品できることになりました。題目を唱えては創作を重ね、美しい神戸の夜景をイメージした「ハーバーナイト」が完成。ケーキは好評を博し、主催者に「一番売れた」と言っていただくことができました(拍手)。
 
 一、しかし、このコロナ禍で状況は一転しました。百貨店の催事が次々と中止になり、売り上げの大幅な減少が続きました。先行きが見えない中で、徹底して御本尊に向かいました。「大変だからこそ、大きく変わる」――先生のご指導が心に浮かびました。振り返れば、催事のたびに店を空け、高齢となった両親に大きな負担をかけていました。“店が愛されてこそ、街も活性化する。経営も長く続けられる。今こそ変わらなあかん”と思い切って催事を断り、本店一本での営業に切り替えました。
 

“SNS映え”すると話題沸騰の「たぬきケーキ」

“SNS映え”すると話題沸騰の「たぬきケーキ」

 そんな昨年2月、思いがけないことがありました。ショーケースの隅っこに並べていた「たぬきケーキ」が次々と売れ始めたのです。どうやら、この前日に放送されたテレビ番組の影響のようでした。
 
 たぬきケーキは、常温保存の利くバタークリームを使った昔ながらの商品で、昭和の頃には、全国どこのケーキ屋さんでも売っていました。しかし、冷蔵技術の発達に伴って生クリームのケーキが主流となり、たぬきは、やがて街から姿を消していきました。私の店では、シンプルだからこそ、ごまかしの利かないたぬきケーキを、父の代からこだわりをもって作り続けていました。詳しい方によると神戸で売り続けていたのは、うちの店だけだったようです。
 
 1カ月後、今度は地元の新聞社から取材依頼がありました。とても感じのよい女性記者が、熱心にたぬきケーキを取材して帰られました。あまりの急展開に“実は、あの記者さんはたぬきで、私は化かされとんちゃうかな”(笑い)と思ったほどでした。
 
 しかし新聞を見て驚きました。何と夕刊1面のトップ記事で私とたぬきケーキが、でかでかと紹介されているではありませんか。記事では、“懐かしさとSNS映えするかわいさが、広い世代に受け入れられている”と紹介されていました。記事はインターネットでも配信され、話題は全国区に。その後も、ラジオやテレビの出演依頼が相次ぎました。
 
 店舗には連日、たぬきを“捕獲”しにくるお客さまが訪れ、10匹、20匹と飛ぶように売れていきました。父の代から大切にしてきた味によって、コロナ前の売り上げを本店だけで回復することができたのです。
 
 一、感謝を胸に、同志の皆さんとも体験を語り合い、励まし合いながら前進してきました。本部幹部会に向けた拡大でも、わが西須磨光彩本部は青年を先頭に10世帯の弘教を達成。地区1を超える拡大を成し遂げることができました(拍手)。
 
 これからも、どこまでも池田先生のご指導の通りに戦い、皆さんに喜んでいただけるケーキ作り、自分づくりに全力で取り組んでまいります(拍手)。