企業モラル | 決して彼等のようではなく

企業モラル

ここ数日、豚インフルエンザの件とともに、
このアメブロを運営している会社、サイバーエージェントに関することでネット界や
一部マスコミが騒がしい。

今月13日に始まった新しい女性専用モバイル向けサービス、
「男の子牧場」について、大きな批判が巻き起こっていたからだ。

男の子牧場について、まずはこちらをご覧下さい。

サイバーエージェント社のプレスリリース
http://www.cyberagent.co.jp/news/press/2009/0513_1.html

サイバーエージェントで働く広報担当のブログ
http://ameblo.jp/cair/entry-10259506471.html

このサービスを簡単に説明すると、
サービスに会員登録した婚活中の女性が、
自分の知人男性の写真とプロフを本人承諾の上自分専用のサイトスペースに登録し、
他の女性会員と友人登録することで、それぞれが登録した男性情報を交換・共有できるというもの。

登録された男性は会員女性のサイトの牧場のようなマップ上で、
馬や牛といった家畜アイコンになって表示される。
またこのマップにはXY軸があり、
たとえばX軸を不細工-イケメン、Y軸を金持ち-貧乏といった具合に、
独自の基準を入れ、登録した男性の当てはまるところへ置くことが出来る。
会員女性は、他の会員女性が登録している男性を品定めすることが出来、
そこで気になる男性が見つかれば友達登録して、詳細な情報を交換するしくみ。
性善説に立ち、建前通り運用できれば非常にユニークなアイディアのSNSだとは思う。

しかしこのサービス、大きな問題をいくつも抱えている。
人間、いい人ばかりではないのだ。

まずネット上で特に多くの批判の的となったのは、登録男性を家畜のように扱うコンセプト。
最近流行の「草食系男子」から取ったという、男性をアイコン化した牛、馬、羊ってな具合に、
牧場に放牧されるサイトデザインが大ひんしゅくを買ってしまった。

次に批判を浴びているのは、(俺的にはこれが一番の大問題!)
登録される男性は許諾を必要するとあるが、実際に許諾を取ったのか確認する術がない。
登録されている男性は無許諾で知らずして勝手に登録される危険性がある。
また、実際に許諾したとして、登録された男性自身で自分の情報を、
どのようにやりとりされているのか確認できない。
いわば、登録された男性の個人情報は晒され放題なわけだ。
そもそも女性専用のSNSとあるが、システム上、利用登録する人が女性と証明されるものはなにもなく、
簡単になりすましができてしまう。
もう、これは悪用のし放題サービスだ。

このサービス、結局のところ、学校裏サイトと出会い系サイトを足して2で割ったようなもの。
学校裏サイトよりたちが悪いのは、自分がどのように晒されているのかわからないことであり、
迷惑メールをばらまく出会い系サイトよりたちが悪いのは、
利用登録する誰しもがサクラになることが簡単にできてしまう。
犯罪の温床になること間違い無しの極悪非道サービスと言ったら言い過ぎか。

サイバーエージェントで働く広報担当のブログは炎上し、
その後一度はサービスについて釈明するものの、
全く問題の本質を理解していないへんてこ釈明で批判の嵐は収まらず、
結局わずか5日でサービス停止に追い込まれた。



この出来事で俺が最も驚いたのが、サイバーエージェント社は、
コンプライアンス(法令遵守)という考え方があるのか?(個人情報保護法の観点で)
自社で扱う個人情報データベースではないので、該当しないという判断なのだろうか?
だとしたら、個人情報の扱いをユーザーに押しつけて責任逃れをする会社ということになる。
ユーザー責任とは言え、個人情報をデータとして預かる身としてモラルに欠くのではないか?
特に、規約に違反した書き込みは管理者によって削除するとあり、
ユーザーにも通報ボタンによって申告してもらう仕組みにしてあるからOK、の様な記述があったが、
様々な書き込みがある日記や掲示板ならともかく、
個人情報を主に扱うサイトとして、それは非常に問題ではないか?
サイト上に一度でも載ってしまったデジタルデータは、
誰かしらによってコピーされ、二度と消去することはできない、ということを知らないのか?
それが本人の意図しない、名誉毀損や知られたくない個人情報だったとしたら?
今の時代の先端を走る企業で、個人情報というものの重要性をわかっていない。

きっとサイバーエージェント社は、
社外にPCやUSBメモリなどのデジタルデータを業務上で、自宅も含めて社外に持ち出す際、
なんのデータ流失防止対策もしてないんでしょうな。
俺が勤める会社でさえ、
PCには、BIOS、OS、データ暗号化アプリの3つレベルでパスワードをクリアしないと、
起動できない仕組みになっている。
USBメモリすら、パスワードがかかってる。
万一紛失しても絶対にデータは漏洩しない仕組みだ。
そして自宅持ち込みは禁止。
万が一パスワードロックを怠ってデータを流失した際は、懲罰ものだしね。


次に多くの人が批判した、サイトデザイン。
男性を牧場に放牧し家畜として扱うというセンス、誰も首をかしげなかったのか?
一応社内男性社員のコンセンサスを取ったとのことだが・・・。
だとしたら、情けないとしか言いようがない。

しかし、これほどの問題点を抱えているのに平然とリリースする感覚が理解できない。
問題意識が著しく欠如した社員ばかりの会社なんだろう。

それともトップダウンだから?

この会社、いつかはこんな事が起こるような気がしていた。
サイバーエージェント、端から見ていておかしいと思うことがあった。
社長や取り締まり連中のブログを見ていてね。
今日はあえて言わせてもらう。


COO以下取締役たちの腰の抜けどもめが。

会社は新興宗教ではない。大学のサークルとも違う。



君たちは経営についてはプロ中のプロでも、
会社の中ではエリートでも、
社会通念や一個人としての立ち位置が見えていないのでは?
サイバーエージェント社社員としてではなく、
会社の看板を下ろした時の自分の存在を確認できているのか?
自分はちっぽけな個人であるという自覚がないから、
こういう事を平気で起こすのではないか?

今回の事は、恐らく会社始まって以来の不祥事だと思うのだが、
社長以下取締役たちのブログで、
この件に関して18日現在、誰1人として書いていないのがこの会社の体質を物語っていると思う。
社長ですら脳天気な記事を書いている。
それが、社員1人1人の問題意識が欠如につながり、
今回の様な事態を招くのだ。

今回の件は、会社に損失を与えたのだから誰かが責任を取るはずなんだけど、
誰が取るのかな?
取締役連中の話ですよ。

企業モラルのなさ、
それは、企業人である前に、大きな社会の一個人であるということを忘れているから、
起きるものだと思っている。
企業活動は社会にとって大事なことであるし、会社・仕事は個人にとってとても大事なこと。
でも、それよりも根源的に大事なものがあるのですよ、我々には。
社長以下全員、人間としての、大人としての立ち振る舞いを一から勉強し直してはいかが?



「会社が押しつける理屈ほどくだらないものはない。」



今日は、事柄の割にはかなり辛辣に書きました。
ここまで書いておいて、俺がそこまで立派な人間か?と言われれば、
それは全く違います。
ただ、そんな立派ではない俺から見ても今回の件はあまりにも稚拙でお粗末に感じる出来事で、
渋谷という街を颯爽と風を切って歩いてゆくエリート社員がやったということに憤りを感じ、
アメブロが好きで利用させてもらっているユーザーとして、
情けなくもあり、腹立たしく思ったのでこのように書きました。
サイバーエージェントの関係者がこのブログを読むとは思いませんが、
もし、読んだとして、この記事内容に腹立たしく思ったのなら本望です。
その時、何故腹が立ったのか、よく考えていただきたい。

サイバーエージェント社のよりいっそうの発展を願っています。