パワハラ社長は私に口ごたえされて激怒し、その翌日は事務所に顔を出すことすらしなかった。


少し迷ったが、週末を挟んだ月曜日、もう一度普通に出勤した。


やはり社長は現れず。週末に丁寧にやったので、掃除をするところもない。仕方が無いので、以前社長に遮られて途中になっていた名刺の整理をする。とはいえ、ほぼ終わっていたのでほんの10分ほど。後はeラーニングで何とか数時間を潰す。


やることも無い毎日を過ごすのはもう嫌だったので、次の日から出社しなくても良いか確認しようと思った。退勤時間間際、社長に電話をかけてみたが、出ては貰えなかった。なので、メモを残すことにした。


本当は手書きすべきと分かっていたが、週末からまともな食事が出来ていなかったため、低血糖で手が震えて文字が書けなかった。仕方なく、もう電源を落としていたパソコンをもう一度起動し直し、パソコンで文書を作った。


「本来なら直接お話すべきですが、お電話にも出ていただけませんでしたので、お手紙で失礼します。

明日から、私は出社の必要がありますか?あればご連絡ください。連絡がなければ、お手伝いする仕事もなさそうですので、出勤はしません。

また、私は解雇という認識で間違いないですか?間違いなければ、県への申請が必要なので、御手数ですが退職証明を発行してください。事務所のカードキーなどの返却についても、文書でご連絡ください。」

これに、日付と名前だけ辛うじて直筆した。


事務所に残しておこうかとも考えたが、すでに社長は2日間も現れていないため、念の為社長の自宅のポストへ入れた。


帰宅後、どうしてもモヤモヤと色々考えてしまった。そしてふとよぎったのは、私の行動は職場放棄とみなされないか、という不安だった。


一度気になり出すと、不安で仕方ない。一念発起して、労働基準監督署に電話をしてみた。


相手をしてくれたのは、とても物腰の柔らかい男性だった。