ついに迎えた初出勤の日。資格を取得した際に手に入れた古い実務テキストを持って、張り切って出勤した。


まずは、先日呼び出されて途中まで作成した書類を作るところから。


この作業中もマシンガントークの社長。相手をするうち、だんだん社長の性格が分かってくる。



かなり頑固。


自己肯定感の塊。「私は見たら全部わかるのよ。」が口癖。


自分の思い通りにならないと、すぐにキレる。


「だからあなたはダメなのよ。」「本当に世間知らずね」「そんなので、よく子供を3人も育てたわね。」「あなた、ホントになんにも考えてないのね。」などのパワハラ発言は日常。


頭の中は昭和で止まっているらしかった。



条件に目がくらんで面接を受けてしまったことを、早くも初日で後悔し始めていた。さらに苦痛だったのは、同じ話を繰り返し同じテンションで何度も聞かされること。まだ初めて会ってから顔を合わせるのは3回目だけれど、既に同じ話を毎回聞かされていた。


世間話をしているテンションで、不用意に思ったことを発言したりすると、「だから、そうじゃないわよ。あなたは本当に視野が狭いわね。だからダメなのよ。私は違うの。私はあなたとは全然違うところから物事を見てるのよ。」など、面倒臭い説教が長々と始まる。


社長の相手をしなければとっくに完成するはずの時間が過ぎても、書類は未完成だった。




やっと全ての書類が完成したのは、初出勤から数日経ってから。


役所に出す前に、まずは協会に確認してもらえと社長から指示される。


協会の所在地は遠い。確認って、郵送するのだろうか。分からなかったので、電話してみた。担当者は「あ、データをメール添付で送っていただければいいですよ。」と言う。


ですよね。全部オンラインでできるように、用意されているのだもの。そりゃそうだ。


だけど、うちの社長は書類は紙、と信じて疑わない人だ。メール添付で、なんて説明をしたところで通じるわけもないし、また面倒な説教か人格否定発言をされるのがオチだ。それに、そもそも会社のメアドが存在するとはとても思えない。前任者に確認したくとも、私とは完全な入れ替わりで辞めており、引き継ぎらしきものも皆無だったので、何も分からない。


諦めて、結局FAXで送ることにした。


協会の人には「FAXだと不鮮明になったりするので、出来たらスキャンしてPDFなどで送っていただけると助かります」とやんわりと注意を受けた。


はい、分かってます。私もそうしたい。