家路を急ぐ和希

雨脚はどんどん強くなってきた

「あーークソッ」

「せっかく交換したシャツもずぶ濡れじゃん」

そう誰にでもない文句を言いつつ自転車を漕いでいく

しばらく進むと目の前にはあの坂があった。

はぁ・・・こんな日はバスがいいねぇ

和希は急坂の下にある自動販売機が置いてある商店の軒下で雨宿りをしながら呟いていた。

あたりに一層強い雷鳴が轟く

…こりゃぁ待ってても晴れそうにないな

そう自分に言い聞かせ

例の坂を登ることにした。

雨のせいでペダルが滑る

その滑りに気をつけつつも自動販売機が置いてある商店から

坂を一気に駆け上がった

「フンフンフンフンフン!」

と妙な声を出して坂を駆け上がる

坂道は確かに急な坂道だったが

1年間通い続けた和希にとっては問題ではなかった。


よし。。頂上が見えた!多少ふらつきながらも自転車を進める

降りて自転車を押した方が確実に早いのだが

それは「男のプライドが許さない」

…と勝手に和希は思いこんでいた。


坂の上の見慣れた景色が見えたのとほぼ同時に


「ピカッ」という音とほぼ同時に周りが明るくなり

和希はその場に倒れこんでしまっていた。



続く
思えばその日は何かが違っていたんだ…

春とは思えない気温の中

剣道の部活中も顧問の指導の元、水分補給を多めにしていた。

とり過ぎた水分のせいなのかは分からないが

汗を大量にかいて何度かシャツを交換していた。


いや~今日は異常な暑さだったな。。

和希は家路の途中そんな事を思い出していると



ゴロゴロゴロゴロ・・・



んゲッ!雷かよ・・・

こりゃぁ夕立くるかな??

和希の進む方向には真っ暗な雲があり

時折雷鳴が轟いていた。


ポツ・・ポツ・・・


あーーー降って来たし

そう言うと和希は自転車のカゴからカッパを取り出した。

自転車で学校と自宅を往復している和希にとってカッパは必需品なのである

手慣れた手つきでカッパを身につけると

「よし!行くか!」

と自分に気合を入れ自宅への道を急いだ。



続く
はぁはぁ・・・ぜぃぜぃ・・・

・・・

自転車で高校往復とか・・・

はぁはぁ・・・

ったく。毎日疲れるぜ

だいたい高校の往復ぐらいバスを使わせろっての!

「武道を志す者。乗り物などに頼るな!」

とか言いやがって

ゼーハー・・・ゼーハー

あ~~~んのクソ親父め!

自分は車好きなクセにぃ~!!!!

だったらこの坂自転車で上ってみろっつの!

・・・

ふ~

やっと登りきった。。


でも

この坂の上から見る景色はいいよなぁ~

そう思うと和希はさっきまでこみあげていた親父への怒りも忘れ家路へと向かっていた。


「ただいま~」

あら・・・汗だくね

ちょっと待ってなさい

と声をかけたのは母の 須藤小枝子(すどうさえこ)だ

母からタオルをもらったタオルで顔を拭きながら

「母さん、親父は?」と聞くと

お父さんならガレージにいるわよ。

「ありがと。行ってみる」

和希はそう言うと父親がいるガレージへと向かった

「おーい。父さーん」

こっちだー。

かずきーちょっとそのスパナ取ってくれ

「ハイハイ。」

和希・・ハイは一回で良いぞ。

「ハイ!」

(へいへい。すいませんね。…と和希は心の中で呟いた)

・・・これで…よし。。と。

ふぅ~ここらへんで休憩にするかな。


和希どうだ?学校は

「うん。剣道の試合が近いから部活が忙しいけど、春休みだしそれ以外は何にもないよ」

そうかそうか。

頑張っているのであれば結構。

遊びに行く時は春休みの宿題をやってから行くんだからな。

「ハイは・・ハイ!」

よろしい。



続く
俺の名は 須藤和希(すどうかずき)。

名古屋市内にある某県立高校の1年生

今年の春には2年になります

勉強は出来ないけど

小学校の頃からこわ~い親父にしごかれて

武道には自信がある。

なんの武道かって?

剣道・柔道そして茶道

…茶道!?

なんで茶道なんだよ!

ってツッコミ入れなかったか?

親父の教えによるとだな…

心と体のバランスが大事らしいぞ

まぁ茶道で出てくる菓子が楽しみなだけなんだけどね(笑)

剣道と柔道は幼稚園の頃からやってて

特に剣道は県内で敵無しってトコかな


それ以外の趣味と言えば

料理とテレビゲーム


料理は小さい頃からおふくろに教え込まれたんだよね

武道ばかりではこれからの時代女の子にモテないから。。。

という理由で教え始めたらしい。

親父から言わせると

「男が料理するなんて世も末だ」

…って言うんだけど、俺は料理する事は嫌いじゃない。

自分で考えて作った料理は中々に旨いんだよね。

まぁ俺が満足すればそれでいいよな




続く