梅雨入りしたが、合間をみて三宅島に磯釣りに行くことにした。
同僚と3人で連れ立っていく予定だったが、日曜日に荒天が予想された。かの島の交通手段は、高波で止まる船と、ほとんど飛ばない飛行機に限られるため、月曜日の仕事のため同僚たちは断念したことから、私は単身で島に赴いた。
東海汽船はひどく時間を持て余すので、いつも本を持っていくのだが、久しぶりに村上春樹の新刊を読むことにした。
村上春樹は今やノーベル文学賞にノミネートされるほどの作家になってしまったが、デビュー当時の「風の歌を聴け」を読んで以来、その、静かで淡々とした文体やレトリック(修辞)に驚き「洗練された空虚さ」と「童話的で難解なストーリー」に魅せられ続けた。ただ、こんなに流行ってしまって、なんだか、身近に感じる、そこはかとない憧憬からなぜか縁遠くなってしまった気がしている。
広く、作品が知られることは喜ばしいことだと思うが、あまりに、普及してしまうのを、残念に思うのは、私だけではないと思う・・・
この、長い表題の新刊も、冒頭から村上春樹らしいレトリックから始まっている・・・・

船は思ったよりも客が多く、釣り客よりもダイバー客が多いようだった。
待合所から読み続けた本を閉じて、船の寝台で就寝し、気が付いたら朝4時過ぎだった。
三本岳への渡船は出船せず、地磯の離れ磯に渡ることになった。
左の住吉丸は三本岳渡船、右の夕景丸は地磯の離れに渡してくれる。

地磯といっても、年末に行ったタイマ(地元での呼称がタイマで、一般にはタイネ)の離れに渡った。
いつも渡る釣り座からほとんど距離はない・・・
ガイド役は、宿のO氏と、夢釣人氏が案内してくれた。客は私を入れて2名と、いつに比べて、極端な少人数の釣りになった。

凪の海では、餌取りのイワシやメジナの稚魚が群れているが、潮が動いていないとのことで、ほとんどあたりもなかった。
ディセターを沈めて35センチ程度のブダイが釣れたが、ほとんど釣りにならなかった。

同行した、ガイドのO氏も、釣りにならないので早々にあきらめてメタルジグ(ルアー)を投げて遊んでいた。
2回ほど、魚信があったようだが取り込みにはいたらないかった。

今回は、初めて全誘導の釣法を試してみたが、この不思議な釣法は深場用の2Bの仕掛けでは全誘導の意味はあまりないようだ。
軽めのG2のウキで調整しなければ、全誘導は意味をなさないようだ。

先月の震度5の地震で、島の墓場の上の山が崩落したようで、コンクリートで補修している。

同行した方(客)が、帰ることもあり、一度、宿にもどって休んだ。
かなり疲れて、1時間だけ仮眠した・・・眠い

夕方の3時過ぎに、改めて地磯を見て廻った。
風が強く、入れる磯が限られたが、島の周回道路の鳥居をくぐって入る「間鼻」に入った。
釣り座までは、ほんの少し歩く・・・

間鼻には、はじめて入ったが、ひな壇のような釣り座があり、3人は入れる。
真下の浅場にテーブルのような岩があるが、その先と向かいの離れ磯との間に深さのある場所があり、そこは左に向かっての水流がある。
5時頃過ぎの夕まづめの時間帯になり、O氏が大型のスカ(オキナメジナ)を立て続けに3枚掛けた。
私も、ディセターを流すと、あたりが出始めた。

30~40センチのイスズミが入れ食いになり、その合間に、オナガメジナが釣れる。
割と、型のよいオナガメジナ(43センチ)も入ってくる。

ハリスをフタヒロとっていたが、おもしろいように、あたりがあり、メジナやイスズミが釣れる。
同行した、夢釣人氏も型のよい、オナガメジナを何枚も上げていた。
暗くなる7時頃には納竿したが、もう、手元が見えなかった。
結局、オナガメジナは型のよいものが2枚と、小さいものが多数、イスズミがほとんどだったが、三宅島らしい釣りになった。

翌日は、飛行機が飛んだ。
三宅島は、飛行機が飛ぶ確率が低く、西風が吹くと必ず欠航になる。
とても珍しいのだが、飛行機で帰ることができた。

短時間だったが、しばらく釣れていなかったので、挽回できたように感じる。