単身で三宅島に釣りに行った。
波が高く、出発前日は東海汽船も欠航だったようだが、なんとか船がでるようで2220竹芝桟橋発の東海汽船に乗りこんだ。いつも利用する特2等の寝台にすぐにもぐりこんで寝てしまった。

三宅島に到着すると、常宿の「夕景」のご主人が東京に出かけており、奥さんが迎えてくれたが、三本岳の渡船についても人数が集まらず出船しないとのことだった。
三本岳に渡れるのは何度かに一度で、12月~3月は確率がとても低い・・・・

最近は、空港下はつれないので、タイマがいいとのことだったので、6時過ぎにタイマのワンドの真ん中に準備をした。誰もいない・・・・・
前回もそうだったが、タイマへの移動は足場が悪く、オキアミを9キロ持ち、そのほかの重装備を背負って移動するのはとても難儀する。
この間は、案内してくれたMG君は、ワンドの真ん中で天狗ウキを深く沈めて岩の間を流して大型のメジナを何枚かあげていたので、その方法を試してみた。

配合餌を混ぜたオキアミは、ちょうど良い配合でうまくなじんでいるが、餌取りもおらずまったく魚信がなかった。
8時ころに、ようやく、25センチ程度のメジナが釣れたが、それ以外は何の反応もなく、コマセが消費されていった・・・
今回は喰わせるため、針を小さ目にしてハリスも2.5号にしていたが、やはり駄目だった。

日が昇ると、大量のカラスに囲まれた。
すきを窺って、オキアミを食べにくる・・・終始、私の周りにカラスの群れが群がっている・・・

三宅島は、いろいろな種類の鳥がいてバードウォッチングもさかんだが、カラスも異常に多い。
カラスは驚くほど運動神経がよいようで、こぼれたオキアミをすごく器用にキャッチする。

よくみると可愛げのある顔をしたカラスもいる。
カラスは多いが、魚はいない・・・

釣り始めてから、8時間以上釣っているのに、何のあたりもなく本当に釣れない・・・・
何のあたりもない、ウキを見ながらあれこれとくだらないことを考えてしまう・・・仕事のこと、生活のこと、過去の失敗、ぐるぐるとつまらないことを考える。
大正時代の哲学者、作詞家、詩人で佐藤惣之助という人がいた。萩原朔太郎の義理の弟にあたる人で、古賀政雄と楽曲を作詞したりした人だ・・・
惣之助は「釣れない時君は何を考へるか」という本を書いている。(Kindle版でも無料公開している)
その本は、惣之助が釣りをしている最中に考えるくだらないことが、つらつらと書かれている。 たとえば、次のようなことが・・・きっと、「釣れないときに君は何を考へるか」の著述は釣場でメモしたのだろう。
* この山には、日本のジプシー、 山窩 ( さんか ) はゐなかつたか、彼等は鮎を何で釣るか。
* もし自分がこのまま帰らなかつたら滑稽だ。心臓がパタリと止まつて。
* 仙人になるといふことも、ある一歩のところまでは本当に出来る。
* もし自分がこのまま帰らなかつたら滑稽だ。心臓がパタリと止まつて。
* 仙人になるといふことも、ある一歩のところまでは本当に出来る。
* 女児を生後一ヶ月から渓流で教育したら、一人を唖にし、一人を聾にし、一人を裸にし、一人を鉄仮面にし……。
* 魚は恋を知らない、痛疼感がない、然し彼は驚く、彼は怒る。
* 魚は泣かない代りに、魚は笑ふ。
* 海と死、紙一重。
* 魚は泣かない代りに、魚は笑ふ。
* 海と死、紙一重。
大正時代の人も今の人も考えることは変わりがないかもしれない・・・・・
ただ、私の場合は惣之助ほどのユニークな考えが浮かばず、仕事や人間関係に縛られた考えがぐるぐると廻るだけで夢のないことしか考えられなかった・・・・せっかく、広大な大自然のなかにいるのに・・・
釣れないとこれだから困る・・・次回は惣之助のようなことに空想の程度をあげてみたいと思う・・・

どうやっても、釣れないため、12時になって、釣り座を移動した。(カラスも引き連れてきた・・・)
おなじタイマの西側の釣り座にしたが、釣り座が高く8m程度ある。
一か所だけ、低い釣り座があったので、降りて釣り座を作ったがそれでも6mある。

今回は、ディセターの釣り以外に、カン付ウキも用意したが、あまり活躍しなかった。
このウキを使って、棚が竿1本~1.5本程度でなんどか試してみたが、魚が上がってきていないようなので、ディセターにガン玉の2BやBをつけて深く沈めて流す方が効果に感じた。

3時過ぎにようやく、ヒットした。
40センチ程度はあると思われる、ヒラマサだった。(もしかしたらカンパチかもしれない。)
しかし、たもアミがなく、ハリスを4号にあげていたものの抜くことができず切れてしまった。
その後、3時半に今度は35センチ~40センチ程度と思われる強い引きのメジナが釣れた。
同様にハリスを4号にあげていたが釣り座の位置が悪く抜くことができない・・・・タモ網を出したが30センチほど届かない・・・・波が上がるときを利用してタモ入れしようとするがなんども失敗した。
結局、ハリスを切られてしまった・・・・
その日は、小さいメジナ1匹の釣果で、ようやくヒットした2回の大型もタモ入れできずばらしてしまった。
タモ入れに修練が必要だと感じる。
翌日の6時に、同じくタイネに行ったが、波が高く西側の釣り座に入れなかったため、昨日と同じパターンでワンドに入り、魚信はなく、波が治まった7時半に西側の釣り座に移動した。
昨日と同様に40センチ近くと思われるメジナがヒットしたが、抜けずに口切れしてばれてしまった。
あたりは、2回ほどあった。
ずいぶん長い時間釣りをしていたが、初日は1匹、2匹バラシ、翌日は1匹バラシという、好ましくない釣果だった・・・・

58年の噴火では阿古地区の集落のほとんどが溶岩で埋まったそうだ。
いまも、3階建ての小学校の廃墟が見える・・・
噴火と付き合っていく島の歴史もすさまじい・・・・
<覚え>
● タイマの移動には、肩掛けバッカンは必須
● 移動時の荷物を軽くする工夫を行うこと
● 7mのタモ網が必要な場合がある。(温泉下での釣りを含む)
● ディセターの釣りはメンディングを工夫すること(糸ふけをまめにとり、当たりをとること)