もうずいぶん前になるが、ふと見つけたslow fishingというYUN氏のブログを目にして、美しい北海道のフィールドやダブルハンドのスペイスタイルにひどく魅せられた。


フィールド、キャスティングスタイル、道具へのこだわり、ブログに掲載されたYUN氏の釣のスタイルのすべてが洗練されていて、夢中になってそのブログを調べ、憧れのフライフィッシングのスタイルになった。

残念ながら、首都圏だとダブルハンドのスペイで実釣に値する魅力のあるフィールドは限られ、頻繁に更新されるYUN氏の北海道の美しいフィールドでの釣を指をくわえて見るしかなかった。

ブログで、知床の番屋の釣行が紹介されており、毎年の行事として楽しみにされているようだったので、この夏は意を決してお願いをし、知床の釣にご一緒させていただいた。

また、知床に向けてラインシステムやチューブフライのフックのつけ方まで、いろいろとYUNさんに教えていただいた。YUN氏は、私のずうずうしい間抜けな質問に、いやな顔ひとつみせず丁寧な長文のメールで答えてくださった。

そのおかげで、なんとか準備を整えて、8月末に知床旅行が実現した。

その勢いもあって、今秋の釣はサーモンフィッシングをテーマにすることとして、知床にあわせて忠類川の釣にエントリーした。

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8月末の金曜日に仕事も早々に切り上げて羽田に向かい、夜8時に女満別空港に到着した。
猛暑の東京から比べると、とても涼しい…
休むまもなくレンタカーで鹿だらけの知床峠を越える。

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今回は、知床の「ペキンの鼻」が目的地であるが、切り立った崖と海岸の合間にある。
最果ての地で、戦時中に難破した輸送船の船長が船員を食べる事件があった場所である。武田泰淳の「ひかりごけ」という小説(戯曲)にもなっている。

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相泊漁港で仮眠をして、朝4時頃に漁船でペキンの鼻に渡してもらう。
このとき、YUNさんのチームに初めてお目にかかった。

総勢9名のチームであったが、SHUさんや110-KENさんはブログを時々拝見している方だった。

YUNさんは、想像通りのおだやかな紳士でいわゆる「カッコいい」方だった。世の中には、こんなに恵まれた人もいる…

スペイ初心者は私1人であったが、Mr.MORIやHAMADAさんは釣れる場所を譲ってくれるし、BANDOUさんをはじめ、全員が、暖かく接してくれた。

いずれにせよ、ほぼ全員ともキャスティングが上手で、軽くふったロッドからなめらかにラインが飛んでいきフライは驚くほど遠くに着水する。

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知床の朝焼けが美しかった。

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番屋は、9人には狭かったが、私にとっては十分に快適だった。

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緑がとても映えている。

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海岸にはエゾジカの骨があった。

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ショアから腰までウェイディングして釣る。ときどき、極端に深い穴が開いていることがありびっくりする。

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運転の疲れもあって昼寝をする。
番屋の前で、店を広げる…

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日が暮れると、納竿してそれぞれに食事を採るが、HAMADAさんがカラフトマスをいろいろと料理してくれた。HAMADAさんは1人で黙々とみんなのための料理を作ってくれた。

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昼に釣れたカラフトマスの白子を白ワインで漬け込み、ガーリックとバターでソテーしたものがとても美味しかった。
カラフトマスの白子は、痛みが早いので釣師しか食べることができないようだ…久しぶりに心に残るものを食べた気がする。

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翌日は朝3時半に起きて、空が白む4時頃からショアに立ちこむ。ロシア領の国後島が見える。

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なかなかマスが口を使わず、あの手この手を使っても釣果が得られなかった。

マスは、群れを成していて海岸から見えるが、キャスティングがへたなせいでフライが届かない位置にいたり、ラインのシンクレートを誤って沈めてしまっていたせいもある。(YUNさんがフローティングのシューティングヘッドを貸してくださったので、改善されたが…)
何回か、フックするが釣れる感じがしなかった。

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つれなくとも、知床の圧倒的な自然は満喫できた。

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SHUさんは、何匹も釣っていた。
難しい局面でも、上手な方はなんとかうまくやれる。

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あっという間に知床の釣が終わってしまい、漁船で帰途につく。
みんな、充実した顔で…

釣果はいまひとつだったが、知床の自然は目を見張るものがあり、感動的なすばらしい釣ができた。

是非、来年もご一緒させてほしいと思う。

覚え
・知床での敗因は、フライの準備不足に尽きる。まともなフライを巻いていかなかったことが原因
 フライがすぐ壊れてしまうので、丈夫な接着方法を使ってしっかりしたフライを巻くこと、できるだけたくさん巻く、シェニールかティンセルを多目につけてキラキラさせることが有効。
・ベリーポークのキャストのマスターは必須(YUNさんに教えていただいた。)。力を抜いて投げる。手前で折りたたむときはヘッドを下げて、キャスト時点では、Dループを意識してロッドティップを下げないこと。
・丸一日、キャスティングするのでデジカメは首からぶら下げていると疲れる。なるべく軽いものに替えること
・キャスティングするとラインの扱いでひっっかかる場所が多かった。紐やウェアの出っ張りや引っかかりがないものにすることが望ましい。