先日、普段から私が大変尊敬する、島田晴雄先生(千葉商科大学学長、元慶応義塾大学名誉教授)の

 

「日本の壊れる音がする」と題する文章を見つけた。拝見させて頂き、これは、一人でも多くの方に読んで

 

頂きたいと思いましたので、島田先生ご本人の許可を頂戴し、ここにお届けします。また、先生ご本人より

 

転載可との許可も戴いておりますので、転載される方はご自由に転載なさって下さい。

 

長い文章となりますので、文字数の問題で

①概要

②本題1

③本題2

④本題3

⑤本題4

と、5回に分けての掲載とさせていただきます。

 

まずは、①概要から

 

島田晴雄先生プロフィール

http://www.shimada-juku.jp/about05.html

 

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              日本の壊れる音がする(概要版)

                   島田晴雄

               千葉商科大学 学長

                 2010年4月14日

 

今、日本は深刻な歴史的危機にある。日々の状況はあたかも刻一刻、日本が壊れていく音が聞こえるかのようだ。

危機は、昨年の秋から民主党を中心とする三党連立政権ができてから特に加速しているように見える。昨年8月30日に民主党が総選挙で歴史的な大勝利を収めた。選挙民の6割を超える人々が民主党に投票した。それは、日本の国民が制度疲労で機能不全に陥っていた自民党に愛想を尽かし、民主党なら新しい時代を切り拓いてくれるのではないかと期待した結果だった。その大きな期待は、しかしほどなく裏切られることになった。

まず、政治と金の問題。鳩山総理大臣も小沢一郎幹事長も金の疑惑に包まれたが、一切責任をとろうとしない。鳩山総理は平穏で安定的で良好な関係にあった日米の信頼関係を普天間問題で根底からひっくり返してくれた。

連立政権を組む小党の国民新党の亀井静香代表は、まさに傍若無人に党利党略を主張し、郵政の事実上の再国有化をはじめ、これまでの多くの人々の改革の努力の蓄積をほとんど水泡に帰してしまった。そのうえ、藤井財務大臣退任後の財政政策を受け継いだ菅財務大臣は、国家戦略室を率いていたときから明確な経済計画と経済戦略を示さずにきており、マニフェスト歳出のために財政は悪化するばかりだ。

政権を担ってから一年近く経っても短期ならびに中期の経済計画を示さない政権は

世界の主要国の中では珍しいのではないか。準備不足とか能力不足もあるかもしれないが、ばらまきマニフェストのくびきのもとではおそらく財政運営のシナリオを

描けないのではないか、つまり、もし描けば日本が破綻することが目に見えてくる

からではないか。

今の民主党政権は、極めて異様なつくりになっている。政府と党が政策と党務に業

務を分けているというのは建前で、政府には鳩山総理のリーダーシップが全く欠け

ているので、中身は空洞化していると同時に支離滅裂な不規則運動をしている。こ

れに対し、党は小沢一郎という稀有の幹事長の強烈な指導力のもとで、常軌を逸し

た選挙地盤固めが行われていると同時に、現実には幹事長が必要と思う基本戦略は陰に陽に仕切っている。端的に言えば、鳩山政権は小沢幹事長の傀儡政権であり、全ては幹事長のもとに一元化していると言わざるを得ない。

このところ、人々は民主党政権に失望し、社会的に大変な逆風が吹いているが、小

沢幹事長は政権への不評をものともせず、むしろ逆風下の大勝利を目指して突き進んでいる。新人議員と幹事長室を総動員し、党をあげての全国各地区の地盤固めを進めており、政権の人気が下がれば下がるほどいわゆる浮動票(自由意志での投票)が減ることを見越して、金縛りの組織票でしっかりと勝利を確保する算段を立てているようだ。小沢さんは、「両院で多数をとれば思い切った政治ができる」と

常々述べているが、国民にとって不安なのは、その”思い切った政治” の目指す国家像が一切分からないことである。

参院選が近づくなかで、私たち国民は何をすればよいのか。民主党は新しい時代を

切り拓いてくれるのではとの期待があったがその期待は完全に裏切られた。今、私

どもの眼前に展開しているのは、古い時代の日本そのままの政治権力闘争であり、

旧田中派が主導していた自民党が滅びつつあり、旧田中派から排除された小沢一郎氏が圧倒的な権力を握って自民党を地上から抹殺しようとしている情景に過ぎな

い。

私たちが求めているのは、国民のための政治であり、経済戦略であり、社会政策で

ある。それは健全な民主主義を通じて実現されるものである。民主主義は、国民が

信頼する政治勢力がお互いに拮抗し、切磋琢磨することが大前提である。最大野党が壊滅し、巨大な民主党与党に対抗できる勢力がほとんどない状況になれば、健全な民主主義は死滅し、形式上の民主主義がかつてのヒトラーがそうであったように全体主義的民主主義に変質してしまうおそれが大きい。

こうした状況の中で我々国民が心がけるべきことは、どんなに政治がつまらなくて

も、どんなに野党が頼りなくても、どんなに投票したい政党がなくても、とにかく

必ず選挙で投票することである。高い投票率の結果として選ばれた政治に、私たち

は次の運命を託する以外にない。

 

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