この本を見つけたのは今年の夏に長崎旅行をした際立ち寄った書店
レジ近くに平積みされていたので新刊だということはわかった
「内容が気になるけど買おうかな?どうしようかな」と迷って、新刊なら京都に帰ってもすぐ見つけられるだろうと思い、結局買わず

で、京都

...どこにも置いていないショック!

図書館にもないガーン
リクエストしていてやっと手元に来た


とまぁ前置きが長くなったが...

2007年4月17日
長崎市長選挙の真っ只中、立候補していた現職の市長が暴力団組員に射殺された

ニュースで事件後の現場を生中継したり、かなり時間を割いて伝えていたので覚えている人も多いと思う

行政の対応に不満を持った犯人がその長を銃撃するという暴力
選挙中の候補者に対しての銃撃は民主主義を脅かすテロ

と様々な言葉で事件が語られた

この本はこの「行政対象暴力」や「選挙テロ」もさることながら、銃と暴力団が我々の生活に深く潜んでいることを分からせてくれた
また、銃と暴力団の存在を社会に対しての本質論として突きつけられたととらえ、個人個人が考えていかなければ真の「暴力追放」を実現できないのではないかと本書はいっている

この他にも表面化した様々な問題をあげている
「被害者が選挙で選ばれた現市長であった点に過剰な意味を見出そうとするのは、なくなったのが誰であるかによって命の軽重を肯定しかねないという観点からも慎重であるべきだとの指摘がある」(本文より引用)
あわせて、メディアが事件追求に積極的だったとは言えないと指摘しており、世論形成に疑問を投げかけている

2008年5月26日
事件発生から1年1ヶ月経った日に長崎地裁で死刑判決
被告は控訴し、福岡高裁で争うことになる


長崎に旅行をしなければこの本に出会うことはなかった
長崎新聞がこの事件の特集を組んでずっと掲載していたのを本にまとめたのが本書であるが、長崎新聞を読んでいなければ知り得なかった

知らないこと・わからないことはたくさんあることを再確認した
知りたい・わかりたいと思う

「絶て!暴力 検証長崎市長射殺事件」
(著)長崎新聞社報道部  長崎新聞社