ヤッシーのブログ-スカイツリーキットカット




 先週の東京出張の際、買ってきたお土産の東京スカイツリーバージョンのキットカット

普通のオレンジキットカット2つ入りが3箱入っています。



 箱の裏には「過去200フレーバー以上を発売してきた『キットカット』。今回復活選挙で見事1位に輝いた『キットカット オレンジ』が、世界1位の高さを誇るタワー『東京スカイツリー』の商品として今ここに登場!!」とハイテンションで書かれていました。


 ご覧のとおり東京に行けば直ぐに話題のスポットに吸い寄せられてしまうミーハーでおのぼりさんの私ですが、今の山口県に住む前の20年近くは東京で働いており、時折心の隅に陶淵明の「帰去来の辞」の最初の一節がかすめることがありました。


帰去来の辞

帰りなん いざ
田園はまさに荒んとするに 何ぞ帰らざる
すでに自らの心をもって 身体の僕となすに
なにゆえに嘆き恨みつつ 一人悲しむや 
すでに行きし時の改めべからざるを悟り
来る時の償うべきを知る
誠の道に迷うこと 未だ遠きにあらず
今が正しくして 昨日は偽りなりしを悟る


 さあ帰ろう、田園が荒れようとしている、いままで生活にために心を犠牲にしてきたが、もうくよくよと悲しんでいる場合ではない、今までは間違っていたのだ、これからは自分のために未来を生きよう、道に迷ってもそう遠くは離れていない




 淵明が隠棲したのは当時の人生の後半42歳のころで、現代でいえば50代のなかばぐらいなのでしょうか。

 ただ人生を否定してしまって隠遁生活をするのではなく、故郷で農民とともに生きながら田園を讃える数々の名詩をつくり、彼なりの正しい人間としての生き方を追い求めました。その姿に彼が生きた時代から1600年たったいまなお、都会生活に疲れた人の心を強く惹きつけるものがあると思います。



 東京スカイツリーの真下に立って見上げたとき、ふと「帰りなん いざ」という言葉が久し振りに私の心をよぎったのでした。

(写真の明るい軽さ?とは違い、あいかわらずのマイナー調となってしまいました。)