ダイバーシティ:Diversity&Inclusion
ひとによって言葉は多少違うでしょうが、企業においては、「多様な人材を活用・登用(Diversity)し、多様化を受け入れる(Inclusion)風土を作る。結果として多様な市場ニーズに答え、イノベーションを加速させる」取り組みやマネジメントのことを指します。
プロフィールにも書いてある通り、今年の個人的な「深堀テーマ」です。今年は縁あって社内のダイバーシティ関連のグローバルリーダーシッププログラムにも参加させてもらう予定です。究極のテーマは「ダイバーシティの取り組みを企業のボトムライン(P/L)にヒットさせるために」ですが、詳しくはこのプログラム参加後に、(後編)で紹介出来ればいいなと思います。
今日は第1弾ということで、本日時点感じている問題意識や解決の糸口などを書き連ねたいと思います。
ダイバーシティを語る際は一般的に様々な切り口があります。
性別、民族、出身、身体障害、セクシャルオリエンテーション、年齢... まだまだ。軍隊経験、宗教、社会的地位、ワークスタイル、役職、コミュニケーションスタイル...地理的な位置、就労経験、家族構成、教育、母国語...。
実に様々ですね。
但し日本は単一民族国家な上に女性の相対的地位がかつては低かった歴史がある国です。多くの場合、ダイバーシティ=女性活用促進 という切り口でダイバーシティが語られます。本当はちょっとおかしいんですけどね。
本来は性別、民族などの「目に見える多様性」だけでは無くて、「就労経験(バックグラウンド)、教育、価値観」などの「目に見えない多様性」にも焦点をあてて各マネージャーは「チームの多様性」を考えるべきだと思います。
ただ現実はそこまでたどり着いていない。目に見えるダイバーシティへの対応でも精一杯 というところなのでしょう。日本の場合は、「女性活用」が格好の(企業によっては深刻な)課題なわけです。それもうなずけます。
ちなみに、先日本社のダイバーシティ担当ディレクター(CEO直属)に、この「目に見えない多様性」について質問する機会がありました。あまり明確な答えは帰ってきませんでしたので、やはりUSでも同じことに苦しんでるようです。
余談ですがご存知の通りUSは過去に差別問題があった過去から、法(EEOといいます。他にもあります)でこの手のダイバーシティは徹底的に管理されています。組織内での民族の割合、男女比率などはかなりセンシティブ。当然、採用面談時の履歴書に写真はNG。
話を戻して女性活用。実際企業でこのダイバーシティに取り組む場合、必ず「ニワトリが先か卵が先か」という議論に遭遇します。
①まずは「女性管理職○○%、女性役員を○年以内に○%」といった目標を作成・達成することで結果として後からダイバーシティの風土醸成がついてくる
②数値目標ありきでは無く、「なぜダイバーシティがクリティカルなのか」草の根で活動し、それぞれのチームで多様化を実現することこそが本質だ。数値目標は作るべきではない。
という意見が真っ向から対立します。
どちらも正論ですね。私は個人的には②主張派です。但し、経営上、実際は①の作戦を取らざるを得ないことが殆どです。まあそれは納得できます。
どうやったら日本で女性活用を促進出来ますかね。
男性の意識(家事分担も含め!)。女性自身の意識。制度面でのサポート。色々出来ることはありそうです。
実際は古臭い価値観が蔓延していたりしますので、特に「女性の意識」は議論を呼びます。「そうはいっても働く女性自身も結婚して子供が出来たからって甘えちゃあいけない。両立するってのは覚悟が必要なんだ」「女性が入社後、結婚・出産のライフイベントを経て辞めてしまうのは本人の意識(Career Ambition)の向上も課題だ」「専業主婦の家庭で育った背景が価値観に大きく影響しているんじゃないか?」なんて話しが当たり前のように横行します。いくらInclusion(包容)が大事だとはいえ、これはちょっと。。
実は私も正直に話すと、少し前まで、40%位はそう思っていました。(反省)
実際、女性に意識の低いひとはたくさんいます。でもそれは男女同じ。女性活用の本質的な問題ではありません。
USで働いてみて分かったこと。
まず、会社に保育所が併設されています。たまにカフェテリアで子供にご飯をあげてたりします。男性社員がご飯をあげていることもあります。日本にいたらその男性社員は「お前働けよ」か「カミさんに逃げられたな?」って目で見られるんでしょうね・・・でもこっちでは当たり前です。働き方も違います。まず大前提が「Output Driven」。時間で成果を測りません。そのため用も無いのにオフィスにいない。徹底しています。コミュニケーションも「Face to face」の重要性は理解するが拘らない。よほどクリティカルな要件でなければ、電話会議、家からPCで仕事、なんて日常茶飯事です。電話会議をしてたらうしろから子供の泣き声がギャァーギャァー・・・(さすがに声が聞こえない場合は対処してもらいます笑)
日本のように、「なんか会社にいないと仕事していないような気がする」「部下の顔を見ないと労務管理出来ない」「だらしなく見える」なんて発想はとっくに卒業しています。
日本の場合、保育所が入園待機だったりしますので、まずは子供を持つ社員は保育所探しに一苦労。更に育児制度があったとはいえ女性の多くは週の大半は「出社」が要求されるのが実情です。男性の家事協力も大きな課題。そのため、「近所に両親(義理含む)がいる」場合は大きなアドバンテージになるのが実情だと思います。逆に言うとこのアドバンテージが無くて、バリバリやるのは想像出来ない位大変なんだと思います。
「アドバンテージが無くて、でも仕事もバリバリ忙しい。結果として家庭を優先して辞めざるを得ない」なんて例はチラホラありますが、「そんなのしょうがないじゃん」と心のどこかで思っていたのかも・・・。
但し、今誰かからそんな声を聞いたら「明確に」否定します。
USでも女性のリーダーシップはダイバーシティの大きなテーマの一つ。これだけソフト面もハード面も充実していても、まだまだ組織の重要課題にあがってきます。(そのことに最近少しビックリしました)
日米で比べてみて、日本はこの点で間違いなく10週位遅れていると思います。
そんな日本でフォーカスすべきこと...
次に日本でダイバーシティを推進する機会があったら、賛否はあると思いますが、社長に「女性活用推進室」の新設を提案する位なら、「働き方の抜本改革」「保育所の設置」を提案すると思います。
その方が、本質的かつ早道な気がする。 これ位のサポートも無くて、男性の家事協力も課題山積。なんて完全に孤立無援じゃん。女性の意識云々を語るのはフェアじゃない。
日本はこれから本格的な少子高齢化に突入します。その観点からも、ダイバーシティは喫緊の課題。企業も政治も本気で取り組むべきだと思います。私は私で出来ることをやっていきたいと思います
P.S この手の女性活用の議論すると「女性ばっかり活用するのは逆差別だ!」とかいう男性管理職、現場にいません? センスが無さすぎて困っちゃいます。
Yassy

ひとによって言葉は多少違うでしょうが、企業においては、「多様な人材を活用・登用(Diversity)し、多様化を受け入れる(Inclusion)風土を作る。結果として多様な市場ニーズに答え、イノベーションを加速させる」取り組みやマネジメントのことを指します。
プロフィールにも書いてある通り、今年の個人的な「深堀テーマ」です。今年は縁あって社内のダイバーシティ関連のグローバルリーダーシッププログラムにも参加させてもらう予定です。究極のテーマは「ダイバーシティの取り組みを企業のボトムライン(P/L)にヒットさせるために」ですが、詳しくはこのプログラム参加後に、(後編)で紹介出来ればいいなと思います。
今日は第1弾ということで、本日時点感じている問題意識や解決の糸口などを書き連ねたいと思います。
ダイバーシティを語る際は一般的に様々な切り口があります。
性別、民族、出身、身体障害、セクシャルオリエンテーション、年齢... まだまだ。軍隊経験、宗教、社会的地位、ワークスタイル、役職、コミュニケーションスタイル...地理的な位置、就労経験、家族構成、教育、母国語...。
実に様々ですね。
但し日本は単一民族国家な上に女性の相対的地位がかつては低かった歴史がある国です。多くの場合、ダイバーシティ=女性活用促進 という切り口でダイバーシティが語られます。本当はちょっとおかしいんですけどね。
本来は性別、民族などの「目に見える多様性」だけでは無くて、「就労経験(バックグラウンド)、教育、価値観」などの「目に見えない多様性」にも焦点をあてて各マネージャーは「チームの多様性」を考えるべきだと思います。
ただ現実はそこまでたどり着いていない。目に見えるダイバーシティへの対応でも精一杯 というところなのでしょう。日本の場合は、「女性活用」が格好の(企業によっては深刻な)課題なわけです。それもうなずけます。
ちなみに、先日本社のダイバーシティ担当ディレクター(CEO直属)に、この「目に見えない多様性」について質問する機会がありました。あまり明確な答えは帰ってきませんでしたので、やはりUSでも同じことに苦しんでるようです。
余談ですがご存知の通りUSは過去に差別問題があった過去から、法(EEOといいます。他にもあります)でこの手のダイバーシティは徹底的に管理されています。組織内での民族の割合、男女比率などはかなりセンシティブ。当然、採用面談時の履歴書に写真はNG。
話を戻して女性活用。実際企業でこのダイバーシティに取り組む場合、必ず「ニワトリが先か卵が先か」という議論に遭遇します。
①まずは「女性管理職○○%、女性役員を○年以内に○%」といった目標を作成・達成することで結果として後からダイバーシティの風土醸成がついてくる
②数値目標ありきでは無く、「なぜダイバーシティがクリティカルなのか」草の根で活動し、それぞれのチームで多様化を実現することこそが本質だ。数値目標は作るべきではない。
という意見が真っ向から対立します。
どちらも正論ですね。私は個人的には②主張派です。但し、経営上、実際は①の作戦を取らざるを得ないことが殆どです。まあそれは納得できます。
どうやったら日本で女性活用を促進出来ますかね。
男性の意識(家事分担も含め!)。女性自身の意識。制度面でのサポート。色々出来ることはありそうです。
実際は古臭い価値観が蔓延していたりしますので、特に「女性の意識」は議論を呼びます。「そうはいっても働く女性自身も結婚して子供が出来たからって甘えちゃあいけない。両立するってのは覚悟が必要なんだ」「女性が入社後、結婚・出産のライフイベントを経て辞めてしまうのは本人の意識(Career Ambition)の向上も課題だ」「専業主婦の家庭で育った背景が価値観に大きく影響しているんじゃないか?」なんて話しが当たり前のように横行します。いくらInclusion(包容)が大事だとはいえ、これはちょっと。。
実は私も正直に話すと、少し前まで、40%位はそう思っていました。(反省)
実際、女性に意識の低いひとはたくさんいます。でもそれは男女同じ。女性活用の本質的な問題ではありません。
USで働いてみて分かったこと。
まず、会社に保育所が併設されています。たまにカフェテリアで子供にご飯をあげてたりします。男性社員がご飯をあげていることもあります。日本にいたらその男性社員は「お前働けよ」か「カミさんに逃げられたな?」って目で見られるんでしょうね・・・でもこっちでは当たり前です。働き方も違います。まず大前提が「Output Driven」。時間で成果を測りません。そのため用も無いのにオフィスにいない。徹底しています。コミュニケーションも「Face to face」の重要性は理解するが拘らない。よほどクリティカルな要件でなければ、電話会議、家からPCで仕事、なんて日常茶飯事です。電話会議をしてたらうしろから子供の泣き声がギャァーギャァー・・・(さすがに声が聞こえない場合は対処してもらいます笑)
日本のように、「なんか会社にいないと仕事していないような気がする」「部下の顔を見ないと労務管理出来ない」「だらしなく見える」なんて発想はとっくに卒業しています。
日本の場合、保育所が入園待機だったりしますので、まずは子供を持つ社員は保育所探しに一苦労。更に育児制度があったとはいえ女性の多くは週の大半は「出社」が要求されるのが実情です。男性の家事協力も大きな課題。そのため、「近所に両親(義理含む)がいる」場合は大きなアドバンテージになるのが実情だと思います。逆に言うとこのアドバンテージが無くて、バリバリやるのは想像出来ない位大変なんだと思います。
「アドバンテージが無くて、でも仕事もバリバリ忙しい。結果として家庭を優先して辞めざるを得ない」なんて例はチラホラありますが、「そんなのしょうがないじゃん」と心のどこかで思っていたのかも・・・。
但し、今誰かからそんな声を聞いたら「明確に」否定します。
USでも女性のリーダーシップはダイバーシティの大きなテーマの一つ。これだけソフト面もハード面も充実していても、まだまだ組織の重要課題にあがってきます。(そのことに最近少しビックリしました)
日米で比べてみて、日本はこの点で間違いなく10週位遅れていると思います。
そんな日本でフォーカスすべきこと...
次に日本でダイバーシティを推進する機会があったら、賛否はあると思いますが、社長に「女性活用推進室」の新設を提案する位なら、「働き方の抜本改革」「保育所の設置」を提案すると思います。
その方が、本質的かつ早道な気がする。 これ位のサポートも無くて、男性の家事協力も課題山積。なんて完全に孤立無援じゃん。女性の意識云々を語るのはフェアじゃない。
日本はこれから本格的な少子高齢化に突入します。その観点からも、ダイバーシティは喫緊の課題。企業も政治も本気で取り組むべきだと思います。私は私で出来ることをやっていきたいと思います

P.S この手の女性活用の議論すると「女性ばっかり活用するのは逆差別だ!」とかいう男性管理職、現場にいません? センスが無さすぎて困っちゃいます。
Yassy