《大努力》
修養の仕方によっては、
人間にはいかなる能力があるかわからぬほど貴い。
研究すればするほど、
人間の美質は発見され能力が発揮されるのである。
学校の成績は平均点が30点でも40点でも、
それで己れは駄目だと考えてはいけない。
大いに有為有能の人材となる大理想を持ち大努力をせねばならぬ。
大努力を為すには、
当然自ら苦しまねばならぬ。
苦しんで開拓したものでなければ本物ではない。
人並みの努力をしたのでは秀れた者にはなれない。
秀れた者となるためには、
人の数倍の努力と苦労をしなければならない。
人の寝るところは半分にし、
人の食うところは半分くらいにしても、
努力するところは人の十倍も二十倍もやるだけの元気がなければならぬ。
二十歳前後や三十歳前後は、
いくら努めても疲労などするものではない。
心身ともに旺盛な時である。
まかり間違って病気になったり死んだりすれば、
その時は天命と諦めるのである。
学徒が学問のために死ぬのは本望ではないか。
(安岡実篤)