ブリット 1968年 アメリカ 再レビュー | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

原題:Bullitt


監督    ピーター・イェーツ
脚本    アラン・R・トラストマン、ハリー・クライナー
音楽    ラロ・シフリン


キャスト
フランク・ブリット            スティーブ・マックイーン
キャシー                 ジャクリーン・ビセット    
ウォルター・チャルマース      ロバート・ヴォーン
デルゲッティ              ドン・ゴードン
スタントン                カール・リンデル
サム・ベネット            サイモン・オークランド    
ベイカー                ノーマン・フェル    
ジョニー・ロス            パット・レネラ
アルバート・レニック       フェリチェ・オーランディ
ワイズバーグ           ロバート・デュヴァル
ウィラード            ジョーグ・スタンフォード・ブラウン



感想
15年以上前にレビューしている(コチラ)が久し振りに再視聴。
「荒野の七人」「大脱走」で存在感を示したマックィーンの、主役として脂の乗り切った時期の作品。
前回レビューはホントざっくりで、読み返してもどんな話だったか記憶の再生が出来ない。
そこで先日TV放送があったのを機に再レビュー。

大物上院議員の依頼で証人を護衛する事になったブリット。
とにかく冒頭の、ロスが組織の金を奪って逃げる場面は、ラロ・シフリンのクールなテーマ曲に乗って気持ちはいいものの、一体何のことやらさっぱり分からない。
要するにロスが組織の金を奪って逃げたという場面。彼の兄貴が組織のボスに電話して、弟のやった事を知らなかったと弁明。
それを叩き込んだ上で本編に入ってよね、という事だがやはり初見の者には不親切な作り。

序盤で撃たれたロスが実は替え玉だった事が判明して、映画の空気がガラっと変わる。
そして、のちのカーアクションのお手本となるカーチェイスの展開。フォード・マスタング390Gファストバックによる、坂の多いロサンゼルスの地形を利用したジャンプシーンの連発。さすがに何度も観ると慣れてしまうが、初見の時の印象はスゴかった。

これ観て、クルマ買ってからダブルクラッチを必死で練習したものだ(当時からもう不要だったんだけど・・・)


しかしこのストーリー、冷静に考えると「何かヘンだな?」
そもそもロスは組織の金をくすねて追われる立場。それで命を守ってもらう事の交換条件として、証人になる取引きに応じた。
そこで出て来た替え玉だが、要は替え玉を使って時間稼ぎをして第三国(ローマ)へ脱出しようとしたロス。
替え玉が殺された時点で自分への追及が本格化する筈だから、怖いのは警察よりも組織の筈。
ホントなら「実は・・・」と言って警察に身を委ねる方がロスとしては自然じゃないのか?
それと空港でチャルマースが「全ては取引きだ・・・」とか言っているのも腑に落ちない。
ロスを生きたまま自分の手元に戻す大きな理由でもあったのかな?と思いつつも、チャルマースは退場。
初見の時「一番の黒幕はチャルマースだ!」と思い込んでいたが、結局そうではなかった(なんか肩すかし・・・)
ちょっとシナリオの甘さを感じる出来ではある。


あらすじ
シカゴ。夜中の事務所を襲う男。後に別の男が組織に電話。

相手は「ロスはお前の弟だ、何とかしろ」と言って切れる。
サンフランシスコ。タクシーに乗った男がホテルで一時降りてフロントに声をかけ、ジョニ・ロス宛ての手紙がないかを訊ねる。
それがないと聞き、またタクシーに戻った男はメモを確認して公衆電話の前で止めさせ、チャルマースという相手に電話を入れる。

男はホテルのボーイに監視されていた。

サンフランコ市警のフランク・ブリット警部補。まだ寝ている。

相棒のデルゲッティ(デル)が電話を入れる。

 

パーティ会場に足を運ぶフランク。

そこでチャルマース上院議員から、小委員会の証人であるジョニー・ロスの警護を依頼される。

ロスは組織の情報を握っており、安全確保のためロスから移送されている。保護の期間は40時間。

ロスが滞在するホテルに向かったフランクはデル、スタントンと共に警護を始める。

現場をスタントンに任せて恋人のキャシーと落ち合うフランク。


ホテルに、チャルマースとその友人を名乗る者が来て取次ぎを申し入れる。不審に思ってフランクに電話を入れるスタントンだが、ロスが入り口のチェーンを外した。
二人組が侵入してロスとスタントンを撃って逃げた。
駆け付けるフランク。凶器はショットガン(散弾銃)
ロスは胸を撃たれ重体。スタントンも左足を撃たれた。
救急車の中でスタントンは、相手が白人で、撃った方が白髪だったと話した。ロスが自分からチェーンを外したとも。

緊急手術を行ったウィラード医師は、ロスの病状が厳しいとフランクに話す。そこに部下を連れたチャルマースが駆け付ける。

犯人が彼の名を騙っていた事で、情報が洩れていると言うフランクに、職務怠慢で証人を守れなかったと叱責するチャルマース。

また、担当医が若いと言って、ウィラードから交代させる様病院側に要求するチャルマース。

その後白髪の男が、撃たれた者の身内だと言って訪ねて来た。
集中治療室の場所を教えたウィラードだが、気になってその事をフランクに伝える。
殺し屋だと直感したフランクが二階に直行すると、ちょうど武器を手にしたのを看護師に見られたところだった。

逃げる男を追うフランクだが、長い追跡の末逃げられる。

治療の甲斐なくロスは死んだ。犯人逮捕のためこの死を秘密にして欲しいとウィラードに頼むフランクに、チャルマースに反感を持っていた彼は、他の職員と共に協力。
ロスの死体は秘密裏に死体安置所へ送られた。

翌日病院を訪れたチャルマースだが、ロスは転院したと聞かされる。ウィラードや担当した看護師は全て勤務明けで不在。

カルテもなかった。怒るチャルマースは、フランクに電話でロスの居場所を問い質すが「今は言えません」と言って電話が切られる。
フランクの上司ベネットに、フランクが証人を誘拐したとして「人身保護礼状」を突き付けるチャルマース。

ロスを乗せて運んだサンシャイン・タクシーから、担当の運転者ワイズバーグを突き止めて、その日の行動を再現させるフランク。

ロスが電話したうちの一回は長距離だったと言うワイズバーグ(小銭の減り方が早かった)
情報屋のエディにシカゴでのロスの事を調べさせるフランク。
ロスは組織の金200万ドルを横領したという。

兄のピートはシロ。組織がロスを狙っていた。
ワイズバーグのタクシーから降りて自分の車に乗ったフランクは、尾行に気付くが素知らぬ顔で走り出す。
尾行車は黒のダッジ・チャージャーで、乗っているのはロスを襲撃した白髪とその連れ。

道の起伏を利用して相手を撒き、背後に回り込むフランク。

気付いたドライバーは、おもむろにシートベルトを締めると猛ダッシュを始めた。連続する坂道をジャンプしながら走る二車。

 


郊外に追跡は移行し、白髪がショットガンでフランクを撃つ。
それを避けなから側面から体当たりを続けるフランク。

体当たりのタイミングでダッジのコースが大きく逸れ、ガソリンスタンドに突っ込んだ。大爆発と共に炎上。二人は即死。

ベネットに呼ばれデルと共に会ったフランク。

今日は日曜だから「人身保護礼状」の執行は明日だと言って捜査続行を指示するベネットは、ロスが電話した相手ドロシー・シモンズの情報を与える。
 

キャシーの車(ポルシェ356)でそのホテルに向かうフランク。
それと入れ違いに男が逃げ去った。

キャシーを待たせて部屋に向かうフランク。

ドロシーは殺されていた。

駆け付けたパトカーを見てホテルに向かったキャシーは、そこで女の死体を見てショックを受ける。

それに気付いて現場から彼女を遠ざけるフランク。
「心を動かされることはないの?」 「背は向けられない」
「暴力と死に囲まれて生きてる」

「どうやって心を保っているの?世界が違いすぎる」
「二人の将来は?」 「今から始まる・・・」

ドロシーの荷物を調べるうちに、高額のトラベラーズチェックが見つかる。サインはドロシー・レニックとアルバート・レニック。
ある事に思い至ったフランクは、移民局に二人の顔写真を送る様指示した。

妻の写真が送られた時、チャルマースが乗り込んで来た。追及される中でテレファックスの紙が出て来る。
夫のアルバート・レニックの顔は、フランクたちが見ていたロスだった。殺されたというロスは替え玉のレニックだったのだ。

ロスが高跳びするつもりだと知ったフランクは、デルと共にサンフランシスコ国際空港に走った。
二人はロスの目的地であるローマ行きのゲートで待つが、一向に現れない。

改めてフロントに確かめると、直前で行き先を変更しロンドン行きに乗っている事が判明。

その機はまさに離陸準備に入っていたが、フランクの要請により出発ゲートに戻って来た。
機を待つ間にチャルマースが現れた。
全ては取引きだ。綺麗ごとはよすんだな・・・・
「やかましい、消えちまえ」と言うフランク。

出発ゲートに戻った機体。フランクが機内に入って乗客を見る。
視線が交差した。他の乗客を突き飛ばしてロスが非常口から逃走。それを追うフランク。


機が動き回る滑走路での追跡。

見失うが、ロスは空港ロビーに舞い戻った。それを追うフランク。
旅行客を前にしての銃撃戦。
そしてフランクの放った弾がロスの胸を貫いた。

ロスの死を知ったチャルマースは、静かに空港を去った。

キャシーの居るアパートに戻ったフランク。
寝顔の彼女を見てから顔を洗う。そして鏡の自分を見た。