紙の月 2014年 NHK | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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2014年1月7日から「ドラマ10」として放送(連続5回)


原作    角田光代
脚本    篠崎絵里子
演出    黛りんたろう

キャスト
梅澤 梨花    - 原田知世
平林 光太    - 満島真之介
岡崎 木綿子  - 水野真紀
中条 亜紀    - 西田尚美
井上 義雄    - 佐戸井けん太
平林 孝三    - ミッキー・カーチス
名護 たま江   - 富士真奈美
梅澤 正文    - 光石研

感想
ごく普通の専業主婦が、銀行のパート勤めをきっかけに深みへ嵌る。
原田知世は年齢を重ねても「時をかける少女」の印象が残っていて、
とても犯罪をやる様な雰囲気はないが、そのGAPが大きな効果にな
っている。
光太も最初は梨花に純粋に惹かれていたのが、梨花が金を与えることで、転げ落ちるように堕落して行く。
このドラマの狂言回し的な、旧友の木綿子と亜紀のサイドストーリー
も見応えがあった。

このドラマの三十年以上前にあった「三和銀行オンライン詐欺事件
が一つの雛形になったのだろう。

男に貢ぐため一億八千万を「架空入金」の手口で奪った女子行員。
「好きな人のためにやりました」は当時の流行語になったという。
同名で宮沢りえが演ずる「映画版」もあるが、ドラマ版の方が好き。

あらすじ
第一回 名前のない金
女学院時代の同窓会で、一億円を横領し逃亡中の、梅澤梨花の事を話す岡崎木綿子と中条亜紀。
亜紀は二年前、梨花に働くよう助言していたのを後悔していた。

結婚して十年。専業主婦だった梨花は、さくら銀行の渉外係としてパートで働き始めた。
その給料で豪華な夕食を奮発したが、気のない夫 正文。
二人の間に子供はなく、不妊治療の検査にも正文は消極的。
顧客の平林孝三からの呼び出しで訪れる梨花だが、いやらしくボディタッチされる。


次に訪れた時にも同様に迫る平林に、親孝行の気持ちでお付き合いし
たいと言う梨花。それを陰で聞いていた孫の光太。
その後も行き違う梨花と正文。

梨花は資格を取ってフルタイムで働き始めた。

平林の孫 光太が梨花に、自主制作映画へ出て欲しいと申し入れる。ダメな人間だと言う梨花に、すごく魅力的だと見つめる光太。


その帰り、呼び込みに乗って高級化粧品を買ってしまった梨花。自分
の所持金では足りず、顧客の名護たま江から預かった金を流用。
それが全ての始まり。

第二回 満たされた渇き
光太の映画への出演は断ったが、梨花との繋がりは途切れなかった。
資格のおかげで直接顧客との契約が結べるようになった梨花。

身内への不信から、たま江は通帳と印鑑まで梨花に預ける。

また平林は、貢物で梨花の歓心を買おうとする。
 

好意を向けてくれる光太の前で、解放感を味わう梨花。
そのままの梨花さんでいて欲しい・・・梨花さんが必要だ。
その夜、結ばれる二人。
光太が、消費者金融からの借金があるのを知り、彼の祖父平林から預かった200万を、偽造した定期預金証書で横流ししようと考える梨花。
光太に対し、裕福に見せかけるため浪費を繰り返す梨花。

 

それを見て素直に金を借りた光太。
夫の正文は上海支店に転勤が決まったが、仕事を理由に同行を拒否する梨花。

第三回 清らかな罪
金の束縛から解放された光太。
光太のため、という理由付けのために金が必要になった梨花は、定期
預金証書の偽造を繰り返した。
そんな時に上海にいる筈の正文が帰国。

あわてて書類や高級服を隠す梨花。
再度上海への同行を拒否する梨花。


一方梨花の友人にも苦い経験があった。
木綿子は節約に励むあまり夫が浮気。

亜紀も、カード破産寸前まで行って、離婚を経験していた。

銀行では、上司が定例行事として顧客回りに同行する事になった。
たま江は回避したが平林は避けられない。

だが平林がビールを飲んで酔ってくれたおかげて窮地を乗り切る。

第四回 楽園の終わり
ホテルスイートの次は、高級マンションを借りる梨花。

不自由ない暮らしにどんどん堕落する光太。
正文が上海から一時帰国。だが、その存在に気を使うこともない。
「もう遅いの」と言う梨花。

顧客の一人が、家の新築のため定期五百万の解約を申し出た。

梨花は存在しない「スーパーゴールド定期預金」を作って凌いだ。

不足分は街金でキャッシング。

危機が来るたびにそれは繰り返された。
風邪で倒れた平林は、看病してくれる梨花に「お金より大切なものが
ある」と言って感激した。
また、呆けが進んだたま江は、梨花を娘だと思い込む。
二人を裏切っている事に涙する梨花。
光太が、同じ大学の学生と付き合っているのを知る梨花。

だが離れられない。

第五回(最終回) 誰のための愛
正文の海外出張が終わり、帰国。

一方梨花は上司の井上から、十日間の休みを取るよう言われる。

他の支店での横領疑惑から、全店一斉の検査が入る。
友人に会いに海外へ行くという梨花に、無理やり同行する正文。
光太に別れを告げ、何を聞かれても知らないと言うよう伝えた梨花。

旅行中、梨花に優しい言葉をかける正文。だがもう遅い。
一足先に帰国した正文と別れ、逃亡した梨花。


銀行は横領に気付き、内部で解決するため梨花を探し始めたが、彼女
の身を心配した正文が警察に届け、事件が発覚した。
気丈に応対する正文は、妻と共に罪を償うと言った。

国境近くで動けない梨花。

この国にビザなしで滞在出来る期限が迫っていた。
国際手配されていなければ出入国出来る・・・
職員が書類を手に梨花を見ている。もう逃げられない。


歩き出す梨花。