昨日、7月3日は熱海土石流の事故からちょうど3年。亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

この盛土に関わっていたのは小田原市の業者なのです。

私は前小田原市長に「第三者委員会を立ち上げてしっかりと行政と業者との間に問題がなかったのか検証してウミを出し切るべき」と提案。

 

受け入れられなかったのは残念な思いです。

 

私は一昨年、年に3回しかできない一般質問のうち2回を使って、この問題に関して質問をいたしました。

 

3年前の一般質問ですが、議事録より転載いたします。小田原市民の命を守るために、この問題を風化させてしまってはいけないと、改めて認識を強くしております。

 

<令和3年12月一般質問議事録より>

 

【登壇質問】

本年7月3日に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害から、既に半年が経過しようとしております。失われた貴い命は、決して戻ってくることはありません。  私は先日、被害者の会の方から直接にお話をお伺いする機会を得ました。発災直後から周辺住民は、天災ではなく人災であると考えていらしたようです。所有する船を失い、自宅も全壊、一瞬で生活インフラ全てを失って生活再建への苦しい道のりを歩んでいる方。水道管破裂で修理費負担などが必要になったのに、十分な補償が受けられず今も生活苦を余儀なくされている方。家に戻ることを救助隊に遮られ、今でも家に残した81歳の母を助けられなかった自責の念にさいなまれている方。母を亡くし、発災直後からずっと落ち着きをなくしている5歳のお孫さんとたった2人、悲しみに暮れる日々を過ごされている方。土石流に巻き込まれた直後、SNSで「生き埋めになりました」と助けを求めたのに、17歳の若さで命を落とした女子高生。「遺族の苦しみは一生消えることがない」という言葉に、胸を打たれました。ありきたりな言葉ではありますが、このような事故は二度と発生させてはならないと、改めて強く感じているところでございます。  このような事故を二度と発生させないために、令和3年9月定例会で、本市が実施している対策について質問した後も、私の元に、テレビや新聞などの報道を見た市民の不安の声が届いております。いまだ残る行政への不信感を払拭するためにも、この12月定例会においても改めて質問いたします。  そこで、(1)10月23日付共同通信を皮切りに、熱海市で盛土した小田原市の不動産管理会社が、本市で手がけた宅地造成工事において、市が報告書のたたき台を提供していた記事が続々と報道されました。熱海市盛り土流出事故被害者の会は、本年8月、警察に対し、盛土を行った小田原市の不動産管理会社を、業務上過失致死容疑で刑事告訴、10月に強制捜査開始、12月に殺人容疑で刑事告訴。告訴状が警察に受理されております。  被害者の会は、熱海市が盛土業者に対して常に弱腰で、必要な対応を取らず放置し続け、時に業者に忖度していたことが災害につながったとおっしゃっています。そこで、小田原市においては、熱海市のような業者への忖度や癒着がなかったのか、改めて、このやり取りが通常の業務の範疇であったのか伺いします。

 

<市長答弁>

次に、無許可の盛土に関する、県の調査及び対応についての御質問がございました。県は、令和3年9月28日に、造成範囲を把握するために、造成の内容を把握する関係者、土地所有者及び本市職員の立会いの下、測量調査を実施いたしました。調査の結果、盛土面積は約2100平方メートルであり、神奈川県土砂の適正処理に関する条例が適用されることが判明したため、県は令和3年10月18日に、行為者に対し是正を求める指示書を発出するとともに、同日、本市農業委員会からも行為者等に対し、農地の復元に関する指導者を発出しました。

 

24番(小谷英次郎君) 10月23日付共同通信記事などの報道を受けて、開発行為や宅地造成工事のほか、小田原市土砂等による土地の埋立て等に関する条例に基づく物件や、農地転用に係る手続についても、熱海市で盛土したとされる不動産管理会社との関連性について調査したのかお伺いいたします。

 

◎経済部長 本市土砂条例及び農地転用に係る手続における不動産管理会社との関連性についての御質問でございました。市土砂条例及び農地転用に係る書類等を確認いたしましたが、当該不動産管理会社との文書やファックスによるやり取り等は確認されませんでした。  以上でございます。

 

24番(小谷英次郎君) 次に、違法な盛土について、9月定例会での私の一般質問で要望をいたしましたが、県と市で早速対応してくださっており、感謝をいたします。  この違法な盛土以外に、同様の違法な盛土について、現在、ほかに確認ができているのかどうかお伺いいたします。

 

◎経済部長 盛土の確認について御質問がございました。本市では、職員によるパトロールや日常業務の中で、盛土等に留意をしているところでございますが、現在のところ、御指摘のような盛土は確認をされていないところでございます。また、ホームページや広報により、市民に対して盛土に関する情報提供をお願いしておりますが、現在のところ通報はいただいておりません。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 市民への情報提供の呼びかけも、9月に一般質問で提案をさせていただきまして、早速動いてくださっていることに感謝をいたします。  登壇での質問に対する答弁の中で、この盛土の行為者に対して、神奈川県から指示書、小田原市農業委員会からは指導書を発出したとのことでしたが、その中身についてお伺いいたします。

 

◎経済部長 神奈川県の指示書及び市農業委員会の指導書について御質問がございました。県が発出した指示書は、県の土砂条例の違反に対して是正を求めるもので、新たな土砂の搬入を行わないことや、是正計画書及び土砂の搬入に関する説明書の提出等を指示するものでございます。市農業委員会の指導書は、農地法の一時転用手続の違反に対して是正を求めるものでございまして、内容は県の指示書と同様ですが、農地としての復元を指導するものでございます。  以上でございます。

 

24番(小谷英次郎君) では続きまして、9月定例会の一般質問において、無許可の盛土内に産業廃棄物が不法投棄されているのではないかと、私も市民の情報を受けまして、20年間くらいにわたってその産業廃棄物が持ち込まれて土地が造成されているのではないかという経緯をお示ししながら説明させていただいたのですけれども、それに関して調査確認を、県と調整し対応するという答弁を、その際いただいたと思います。その後の動きについてお伺いいたします。

 

◎経済部長 無許可の盛土に対するその後の対応について御質問がございました。神奈川県は指示書を、市農業委員会は指導書を発出したところですが、是正工事の実施には至っておりません。今後、是正工事が実施された際に、盛土内の状況を確認するとともに、産業廃棄物が発見された際は、県と連携し、適正な撤去を指導してまいります。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 今の御答弁は、これはまだ不法投棄がされていたのかどうか確認ができておらず、確認はこれからだ、今後だという意味で捉えてよろしいのでしょうか。

 

◎経済部長 盛土の内部の確認についての御質問でございました。現時点では、是正工事が実施されていないことから、盛土の内部を確認できておらず、不法投棄の有無は判断はできておりません。盛土内の状況については、是正措置が行われる過程において確認をすることとなります。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 当該不動産管理会社から、是正工事実施のスケジュールが示されているのでしょうか。これは、ないなら、期限を求め、工事の確実な実施を求め、工事実施中も現場立入調査など、市側が継続的に能動的に動かなければ、問題は放置されたままになります。小田原市民を守る積極的な対応をお願いします。その上で、今後、不法投棄を防止する対策をお伺いします。

 

◎環境部長 不法投棄防止への取組についての御質問でございました。これまでも神奈川県、警察署と連携しまして、廃棄物の不法投棄等のパトロールを実施しており、不法投棄や不適正保管を確認した場合には、県と情報共有をしながら対応してきたところでございます。また、対策を講じるためには、迅速な情報の把握が重要であるとの認識から、「広報小田原」12月号で、市民への情報提供について呼びかけたところでございます。今後も情報の収集、状況の把握に努めるとともに、県及び警察との連携を図り、不法投棄の防止に取り組んでまいりたい、このように考えております。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 産業廃棄物の行方確認の方法について述べられていないような気がいたしました。行方確認について、どう検討していくのかお伺いいたします。

 

◎環境部長 廃棄物の行方確認の方法についての御質問でございます。産業廃棄物につきましては、廃棄物処理法において、その責任は排出者が負うこととされております。処理を他者に委託する場合には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)により適正に処理されたかを確認する仕組みがございます。いずれにいたしましても、神奈川県や警察署と連携し、情報の収集、状況の把握に努め、適正処理に向け対応してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 行方確認まで、しっかりと行政が責任を持って関わってください。  私の9月定例会の一般質問を受けて、市内で無許可の盛土が崩落したことが報道されました。また、10月23日付共同通信記事でも、小田原市が業者に忖度をしていたのではと、市民の不安の声が上がっています。関係書類を十分に精査できたとの先ほどの答弁ですが、市民の不安を取り除くため、行政だけの確認以外に第三者委員会を設立し、関係書類を精査する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 

◎経済部長 第三者委員会の設立と調査について御質問がございました。熱海市で盛土したとされる不動産会社に関連する書類や、保管している関係書類について、現在の職員が詳細に確認をしておりますので、第三者委員会による書類の調査、これは考えていないところでございます。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 千葉大学の新藤宗幸名誉教授が、「たたき台作成は、教師が生徒に試験の答案を見せるようなもの。口頭で助言することはあっても、行政が文書を作って、わざわざ送ってあげるというのは異例だ。市が、問題のある会社と認識していたのであれば、なれ合いのような指導ではなく、法に基づく制裁が必要だったのではないか。行政の対応が、不適切な造成を助長した可能性もあり、徹底した検証が求められる」と述べております。たたき台を作った職員は既に退職しているそうですが、私は関係書類精査だけでなく、当時の担当職員に事情を聞くなど、様々な観点から行政と業者との関連性に問題がなかったかを検証するためのものとして第三者委員会を提案しています。改めて見解をお伺いします。

 

◎経済部長 改めて、第三者委員会による検証について御質問がございました。これまでの調査におきましては、関係書類の調査だけでなく、職員に対するヒアリング等を実施してまいりましたが、これまでの本市の対応は、通常業務の範囲内であったものでございます。これらの調査は客観的な視点で行ったものでございまして、改めて第三者委員会による検証は考えてはおりません。今後とも、法令や条例を適正に運用し、公平・公正に対応することが重要であることを認識し、適正な対応を行ってまいります。  以上でございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 元市幹部によると、当該の不動産管理会社だけでなく、ほかの会社の担当者も同様、市職員に対して大声で恫喝するなど理不尽に抗議することがあり、役所内で問題になっていたと聞いています。第三者委員会を設立しないのであれば、せめて職員が安心して窓口対応ができるよう、条例などを整備し、職員を守るための対策を立てるべきと考えますが、見解をお伺いします。

 

◎総務部長 いわゆる不当要求行為に対して、職員が安心して窓口対応ができる対策についてという御質問でございますが、本市では、平成19年に発生いたしました庁舎内の傷害事件を機に、同年の7月から警察OBの庁内保安指導員2名を配置いたしまして、庁舎内の巡回等による窓口のトラブル防止、それから緊急時には警察への連絡、こうしたものを行うなど、行政への不当要求行為に対応しております。また、平成27年度以降は、防犯カメラを庁舎内の数か所に設置しているところでございます。

 

◆24番(小谷英次郎君) 「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」、日本国憲法第15条第2項、私はこれまで、この1項をとても大切にしてまいりました。行政が、特定の人や組織に配慮、忖度、利益誘導を行うことは、決して許されることではありません。小田原市の職員の努力は、これまで十分に承知をいたしております。しかし、土砂法に基づく盛土が実際に崩落したり、産業廃棄物が埋められているか分からない状況が現時、存在しております。私はやはり、第三者委員会を設立して、公民の目ではっきり、不動産管理会社と行政との事実関係を追及していくべきと考えます。また、大切な小田原市の職員の身を守るためにも、行政に対する不当な圧力・働きかけを文書化し記録、見える化し、公表する制度や、市の顧問弁護士や第三者委員会に記録を共有、対応に助言を仰ぐなど、圧力を排除・予防する仕組みをつくっていくことが必須と考えております。  開発審査課には既に情報提供しておりますが、山梨県都留市には、都留市職員に対する不当な働きかけ及び不当要求行為等の防止対策要綱が存在します。確認を取ったところ、小田原市にも小田原市不当要求行為対策要綱というものがあることは初めて知りましたが、ただこれは、顧問弁護士や第三者委員会への共有がないので、必要であれば条例の制定を目指していくべきと考えております。条例制定が必要なら、私も率先して、一緒になってつくっていきたいと考えておりますので、御検討を何とぞよろしくお願い申し上げまして、大項目2に移らせていただきたいと思います。

 

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