茶道では、その道の師のことを「師範」といいます。
そして、同じ「道」のつく武道の世界ではこの師範のことを「指南」といいます。
さて、ここで少し考える時間を取ってみて欲しいなと思うんですが、この「指南」とは、一体どういう意味でしょうか?
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指南とは?
古代中国における「指南車」からつくられたことば。
その昔、中国伝説上の人物/黄帝が己の軍を引き連れ敵地に攻めいった時のこと。
足元からすーっと白い靄のようなものが現れ、嫌な予感……は的中。
みるみるうちに周り一帯は真っ白に。右も左もわからず、敵がいつ攻めてくるやもわからない。
そんな時、黄帝が考え、編み出したもの。それがこの「指南車」です。
これは、今で言う「方位磁針」のようなもので、人が引く二輪車の上に木像の仙人の人形を乗せたもの。
この車、人間がいかなる方向に動かそうも、仙人の人形は、常に一定の方向(南)を示し続けるんです。
指南とは、
弟子たるものがいかなる方向に足を踏み進めようとも、常にその道を踏み外すことなく、導く。そんな意味が込められていたりします。