『空を見てよかった』
美術家 内藤礼さんの初めての言葉による作品集です。
真っ白な本。
とても大切にしている本です。
この本を開くたびに、初めて豊島美術館を訪れた時の驚きとよろこびを思い出す。
「なににもならなくていいよ おいで」
ああ、そう招かれて生まれてきたんだと初めて知って
心の底からおどろいて
心の底から安心して
心の底からよろこびが湧いてきた
見ようとしなくてもいいんだ
わかろうとしなくてもいいんだと
ただ感じることの中だけに解放されて
なににもならなくていいんだと
自由になった
「なににもならなくていいよ おいで」
と招かれて
「生きておいで」
と送りだされて
脈々とつづく時の流れの中に
すべてのものの中の一員として生まれてきたいのち
その中のひと粒のわたし
ひと粒の水滴のような光
これが祝福なんだとうれしくなった
my notes
夏の終わりに。