こんばんは。

 

 

ガエル・ファイユの『ちいさな国で』を読みました。

 

読み終えたあと、しばし茫然としてしまいました。

 

 

 

 

舞台はアフリカのブルンジ。

 

ルワンダと双子のように隣り合う、さまざまな民族の暮らすちいさな国です。

 

そこで生まれ育ったガブリエル(ギャビー)の、10歳~12歳の日々を、大人になった彼が回想する形で書かれています。

 

 

 

 

 

ギャビーの父はフランス人、母はツチ族でルワンダの難民。

 

幼い頃から、○○人、○○族といった分け隔てや小さな対立の中で暮らしていたギャビーですが

 

それでも、近所の仲間たちといたずらをしたり、遊んだり、家族といっしょに過ごす日々は楽しいものでした。

 

 

 

けれども、大統領の暗殺をきっかけに内線が勃発。

 

暮らしは一変していきます。

 

 

 

子どもが経験するには、あまりにも苛酷な現実。

 

社会は秩序を失い、人々は狂気に走り、子どもたちも暴力的な世界にどんどん巻き込まれていきます。

 

 

あまりの凄惨さに、読みながらも目を覆いたくなるほど……

 

子どもの目線で描かれているため、なお一層残酷に感じられます。

 

 

 

子ども時代を追われた喪失感と心の傷は、大人になっても癒えることはありません。

 

 

 

救いだったのは、束の間でも、本に憩う時間があったこと、

 

幻のような文通相手、ロールの存在、

 

そして、本のカバーの絵のような、明るさに満ちた風景が下地のようにバックに感じられたことでしょうか……

 

 

 

対立と憎しみの歴史を背負って生まれてきた子どもたちは、いったい何を信じて、どう生きればいいのでしょうか?

 

親や周りの大人たちの思想や行動や感情を敏感に感じ取りながら、ギャビーも仲間たちも成長していきます。

 

揺れ動く心、その目に映し出された世界が素直な言葉で表現されていて胸を打たれます。

 

 

 

 

著者のガエル・ファイユは、フランス在住のミュージシャン。

 

自らの生い立ちをベースに書いたのがこの本です。

 

 

 

胸が苦しくなりましたが、この本を読むことができてよかったです。

 

 

 

 

 

 

お読みくださりありがとうございます。

 

 

皆さまどうぞすこやかに💛