こんにちは。
旅の話のつづきです。
少し足をはやめようと思います。
花巻の市街地から遠野方面にある“東和町”。
この町にある「萬鉄五郎記念美術館」でオードリー・ヘプバーンの写真展をやっていると知り行ってみました。
どうしてここでヘプバーンなのかな?と思いましたが
出演した映画を丁寧に紹介しながらの120点の写真は、とても素敵で、懐かしく、
稀有の存在だったヘプバーンの魅力にあふれていました。
今年、生誕95年になるのですね。
この町の出身という萬鉄五郎(よろずてつごろう)さんにピンときていなかったのですが
「Nude Beauty」を観て、ああ、この人か!とわかりました。
フォービズムを感じる力強い筆使いと色彩。
ここにあるのは複製でしたが、今、東京近代美術館で開催中の企画展「トリオ」にこの絵が出展されていたはずでは…?
この美術館は土沢小学校の跡地に建てられたとのこと。
土蔵の方では、山本英治さんの展示がありました。
そして、田畑の広がる小高い丘の上に、セロ弾きのゴーシュならぬ、“こなひきのゴーシュ”というパン屋さんがあると聞いて行ってみました。
赤い屋根の小さなかわいいパン屋さん。
お店の中もかわいい設え
休日には並ぶ人たちもいて、すぐに売り切れてしまうこともあるのだとか。
私が行ったときには、バケット類はすでになかったのですが、数種類のペストリーが並んでいました。
緩やかな起伏に広がる田畑…この町の風景がとても好きです。
東和町の美しい風景
赤い屋根の白い家がパン屋さん、“こなひきのゴーシュ”。
小高い丘の上にポツンとあってかわいいです。
さて、別の日となりますが、早池峰山(はやちねさん)にも登りました。
私たちが滞在していた週は雨の日や不安定な天気の日が多く、滞在中には登れないかな…とも思ったのですが
最後の最後になってチャンスが巡ってきました。
山は天気次第。登れたらラッキーくらいの気持ちでいることが大事だなあと思います。
蛇紋岩の山なので見た目はゴツイ感じですが、お花がたくさん!
この日は午後からはよく晴れたのですが、午前中は薄曇り。
ほどよく風があって、気持ちよく登れました。
快晴だと眺望はいいのですが、夏はやはり暑いので、カンカン照りより薄曇りくらいの方が体力的には助かります。
私たちは小田越口から登りました。
シーズン中の土日は、ここまでシャトルバスが運行されているのですが
この日は平日だったので、河原の坊に車を止め、小田越の登山口まで往復70分くらいの林道歩きのおまけ付きでした。
秋田駒ケ岳と同じく、こちら早池峰山も“花の山”で知られていますね。
たくさんの高山植物が咲いていました。
ハヤチネウスユキソウがよく知られていますが、ここでしか見られない花がほかにもあります。
次々にお花があらわれるので、しょっちゅう足を止め、写真をとりながら登りました。
早池峰山は蛇紋岩の山で、途中から岩々した中を登っていくのですが
急登は少なく登りやすい山だと思います。
何より夏は花を愛でながら登れるので楽しいです。
奥の山は薬師岳
岩がゴロゴロ~
通称「天狗の滑り岩」という垂直の岩。この上にもうひとつあります。
はしごがしっかり固定されているので落ち着いて登り下りすれば大丈夫。難しくはありません。
山頂
早池峰山には宮沢賢治ももちろん登っていて、河原の坊の近くに石碑もありました。
「山の晨明に関する童話風の構想」という中に、早池峰山について書かれた文章があるのですが
これがとてもかわいいというか美味しそうな表現なのです。
つめたいゼラチンの霧もあるし
桃いろに燃える電気菓子もある
また はひまつ(ハイマツ)の緑茶をつけたカステーラや
なめらかでやにっこい緑や茶色の蛇紋岩
むかし風の金平糖でも
wavelliteの牛酪でも
またこめづがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
大きな乾葡萄がついてゐる
みやまうゐきゃうの香料から
蜜やさまざまのエッセンス
そこには碧眼の蜂もふるえる
さうしてどうだ
風が吹くと 風が吹くと
傾斜になったいちめんの釣鐘草
(一部抜粋)
賢治の言葉のセンスにはハッとさせられることが多いです。
地方の山は、登るチャンスが多くあるわけではないので登れてよかったなあと思います。
年齢的にも一回一回を大切に登ろうと思うようになりました。
お付き合いくださりありがとうございます。
次回は遠野について書こうと思います。
よろしければまたお訪ねいただけたら嬉しいです♪