こんばんは。
先日、アーティゾン美術館(東京・京橋)で開催中の『ブランクーシ 本質を象る』を観て来ました。
ブランクーシは、ルーマニア出身の彫刻家。
1876年に農家の息子として生まれたブランクーシは、20世紀始めにパリを拠点に活動しました。
特徴は、極限までに単純化されたフォルム。
このフォルムで抽象的な概念を表現しています。
「接吻」
一個の石塊を活かして男女の固い結びつきを掘り出しています(直彫りの石のバージョンを元に石膏で制作)
コロンとしたまあるいフォルムがかわいい。
ぬくもりを感じる、まわした手のかたちのいとおしさ♥
接吻、鳥、雄鶏、円柱といった同じテーマの作品を、40年以上にわたり繰り返し制作し、
自分の作品の写真を自ら撮ることで作品の再解釈を試みる…など徹底したこだわりが感じられます。
「ポガニー嬢Ⅱ」
ハンガリーの画学生がモデル。見れば見るほど面白い!
写りこんでいる私を見つけてください笑
パリのアトリエは、天窓からの自然光に満たされ、
そこには、完成した作品、制作中の作品の他、台座、石材、材木などがブランクーシの秩序の元に置かれていたそうです。
空間とそれらのものとの調和を大切にし、存在感を重視したとのこと。
アトリエは彼の世界観を表現する展示室でもあったのでしょう。
(確かポンピドゥーセンターの近くに移設されたアトリエがあったと記憶しています)
アトリエをイメージして作られた空間。右端の「洗練された若い女性」が好きです。
設え(しつらえ)と照明が美しかったです。
自分の作品を自ら撮影していました。
「魚」
ピカピカの円盤の上に、同じくブロンズで磨きあげられた魚。泳いでいるよう!
「雄鶏」
とても好きな作品です。フォルムがとても美しい。
ブランクーシはこの雄鶏を鳴かせたかったのだとか。
胸を張り力いっぱい空を見上げているように感じられます。羽ばたくことを夢見るかのように…
「鳥」
フレスコ画ですが、彫刻のように感じられます。
小学校には行かず、樽職人の見習いとなり、
その後も、染色工房や家具職人の見習いとして働くなど、
子どもの頃からずっと、その手で物を作ることをしてきたブランクーシ。
彼が目指していたもの、表現したかった世界はどんなものだったのだろう…と想像しながら観ました。
ブランクーシの作品をまとめて観られるなんて滅多にないこと。
観に行けてよかったです。
そして、アーティゾン美術館のコレクション展はいつも楽しみです♪
今は、企画展のブランクーシに合わせて彫刻作品が多く並んでいました。
大好きなブールデル。こちらは「サッフォ」
こちらもブールデル。「ペネロープ」(違う階にありました)
素敵です♥
ピカソの彫刻作品。「道化師」
手前はドガの「右手で右足を持つ踊り子」
レンブラントの「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」
まだ若い頃のレンブラントの20センチ四方にも満たない小さな作品ですが、光がすでにレンブラント!
情景もいいなあと思います。古さもまたいいです。
シスレーの「サン・マメス 六月の朝」
今の季節に合わせて選んでみました笑
セーヌ川に浮かぶ舟と並木道。明るさを抑えた落ち着きのある風景が素敵です。
ルソーの「牧場」
ルソーらしさあふれる。牛さんがひび割れてました💦保湿してあげたくなる
左からカンディンスキーの「自らが輝く」、クレーの「双子」、ミロの「夜の女と鳥」
この3つの並びがとてもよかったです。
新収蔵作品として紹介されていた毛利眞美さん(戦国大名毛利元就の子孫の方)の二点。
右の躍動感あふれる赤と白の作品が遠くからも気になりました。素敵です。
お隣にはご主人、堂本尚郎さんの「集中する力」が展示されていました。
そして「特集コーナー展示」は、清水多嘉示さん。
日本近代を代表する彫刻家ですが、もともとは絵画の人。絵も素敵です。
ブールデルの作品に衝撃を受け彫刻に転向したそうですが、マティスやセザンヌにも影響を受けています。
旺盛な意欲と吸収力、柔軟性を持った方だったのだろうなあと想像します。
ブランクーシとも交流があったようです。
マティスの影響を感じる「ギターと少女」
セザンヌを感じる「丘を望む」
「アンドレ嬢」は、1923年、パリに渡った年、彫刻に目覚めた頃の作品です。
「憩いの読書」
フランス留学の集大成といわれる作品。
とても楽しい時間でした♪
ボリュームたっぷりになってしまいました^^;
お付き合いくださりありがとうございます。
明日もどうぞいい一日でありますように💛