女性皇族として初めて、オックスフォード大学で博士号を取得した三笠宮家の彬子さま。

 

その留学生活を綴られた本、『赤と青のガウン オックスフォード留学記』

 

とても面白くて一気に読んでしまいました!

 

 

 

 

 

 

単行本として出版されたのは2015年。

 

その時に読んだ友人が確かお勧めしてくれたのですが読む機会を逸し

 

この春文庫本化されたことで再注目され

 

いざ読もうとしたらなかなか手に入れられず…

 

なるほど!ヒットも納得のとても興味深く面白い一冊でした。

 

 

 

 

2001年から1年間、そして2004年から5年間と2回にわたって計6年間、オックスフォード大学マートン・コレッジで送られた留学生活は、

 

英語の苦労からはじまり、博士課程に進まれてからは研究と論文作成に苦しみ、ストレス性の胃炎を患うなど大変なご様子。

 

 

 

そもそも、日本では、外出の際は常に側衛官(皇族の方につく護衛官)が傍らにおられ

 

宮邸では厨司(宮家専属の料理人)や侍女の方々がいらっしゃる…という環境でお育ちになったことを思うと

 

初めての外国での生活ということの前に

 

大学生にして、初めてひとりでいること、ひとりで行動することになった、その新鮮さと大変さは、私の想像をはるかに超えていたことと思います。

 

 

 

「生まれて初めて一人で街を歩いたのは、日本ではなくオックスフォードだった」

 

 

この一文のインパクトはとても大きいです。

 

(EU圏内における2週間以上の滞在には側衛官はつかないのだそうです)

 

 

 

 

 

 

 

かと言って、この本に留学生活の大変さばかりが綴られているのかというとそうではありません。

 

 

現地に送り届ける役目を担う側衛官のほほえましいエピソードや

 

イギリスからの旅行の際にプリンセスとは認識されず思わぬ扱いを受けたこと(一般的なパスポートを持たないため)

 

旅先(ひとり旅もされています)での失敗談や遭遇したハプニングなどを柔らかに語られ、

 

 

留学生活で出会った仲間たち、家族のように親しく過ごした人たち、指導教官との関係、

 

その他イギリス生活での体験を

 

実に濃やかに綴られています。

 

 

 

大変な中にあっても、自分を信じて揺るぎなくまっすぐに進もうとする姿勢にも感動しますが

 

周囲の人たちとの愛情と信頼に満ちた関係にも感動をおぼえます。

 

 

 

それは、何よりもご本人のお人柄によるものだと感じさせられます。

 

自分の考えをしっかりお持ちになり、勤勉に学ばれながらも、周りの人たちのアドバイスにも素直に耳を傾け

 

向けられる親切や愛情を大切に受け取り、自らも同様に愛や感謝をお返ししていく…

 

プリンセスでありながらお高くとまることなく、自然体で等身大のご自分を生きていらっしゃることが伝わってきます。

 

 

 

日本から送られてくる小包には、侍女の方々が彬子さまの体調や精神状態を考慮した癒しの贈り物が忍ばされており

 

その心遣いに助けられていたというエピソードには、読んでいるこちらが癒されました。

 

最後の最後の宮内庁との攻防に際し、間に入る形となった事務官が誠意を尽くすところにしても

 

日本にいた頃から周りの人たちといい関係を築かれていたこと、大切にされていたことを感じます。

 

それは、ご自身も周りの方々を大切にされていたからこそだと思います。

 

 

 

また、個性的なお父様との、時に緊張感に満ち、時に柔らかく繋がる関係にも深く感じるものがありました。

 

 

 

留学生活の、楽しかったこと、辛かったこと、そのすべてを丁寧に綴られた文章は

 

どことなくユーモアを含みふっくらとしていて、明快でしなやか。

 

客観的な視点もお持ちで、聡明さとはこういうものではないかと感じ入ります。

 

 

 

晴れて博士号を取得し、赤と青のガウン(オックスフォードで博士号を取得した人のみが袖を通せる)を纏うことのできた計り知れない喜びに、

 

読んでいる側も共に浸れるような、素晴らしい、そして素敵な本だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

お読みくださりありがとうございますm(__)m

 

 

皆さまどうぞお元気で!

 

 

皆さまのところへのご訪問が少しずつ少しずつとなっております。ごめんなさい💦