映画「PERFECT DAYS」、とてもよかったです。
久しぶりに観るヴィム・ヴェンダース作品でした。
スカイツリーの近く、押上の古いアパートに独りで暮らすトイレ清掃員の“平山”。
毎日毎日、清々しく感じるほどに同じことを繰り返す日々。
シンプルで無駄のない生活、黙々と丁寧に仕事をする姿は、まるで修行をしているかのようにさえ感じられます。
そんな淡々とした暮らしの中に、さりげなく挟み込まれている愉しみの数々。
お手製の鉢に育てている小さな植木たち、
朝ドアを開けてまず見上げる空(とても満足そう)
自販機で買ういつもの缶コーヒー、
通勤に使う車の中で聴くカセットテープの歌、
お昼のサンドイッチを食べる神社の木漏れ日とカメラに収める写真、
仕事のあとの一番風呂、
馴染みのお店の一杯、
寝る前の読書とまどろみの時間、
そして、休みの日のコインランドリーと古本屋さん、
ちょっと特別な呑み屋さんとそこのママ…
ああ一日はなんて豊かで小さな幸せにあふれているのでしょうか!
何かを求めることなくひたすらに“今”を生きている彼にも
思いがけない出来事や変化は起こり、気持ちが波立ち、感情が揺さぶられることも…
何が彼をこの暮らしへといざなってきたのでしょうか?
アニマルズ、ルー・リード、パティ・スミス、ローリングストーンズ…音楽もとてもよかったです。
そして、フォークナーに幸田文、パトリシア・ハイスミス…本も素敵なチョイス。
眠りに落ちるときの走馬灯のような映像が、リセットされていく時間のようで印象的でした。
部屋にズラリと並べられたカセットテープと積み重ねられた本たちが彼の心の風景なのかなと思うと
あの呑み屋さんで“平山さん”と語り合ってみたくなります。
役所広司さんはもちろんのこと、他の役者さんたちもとてもよかったです。
「コンクリートの建物に囲まれているけれど、彼には森の中に生きているような雰囲気があります」と役所さんの言葉。
ほんとうにそう思います。
どの場所で暮らしているかなんて、もしかしたら心の在り方や生き方とは何も関係ないのかもしれません。
ラストシーンに、心の内のすべてが表されているように感じました。
人や場所、時間に対して私たちが引いている境界線とはいったい何なのでしょう…?
今年初めて映画館で観た映画。
とても好きな映画でした。
ピンぼけ💦
お読みくださりありがとうございます。
今日もどうぞよい一日を!