こんばんは。

 

 

先日、「旅先で読んだ本」という記事で

 

東北旅行中に読んだ2冊の本をご紹介させていただきました。

 

 

今日は、その後に読んだ本で、ちょっと繫がりのある本、繫がりを感じた本を2冊、

 

ご紹介させていただこうかなと思います。

 

 

 

 

一冊目は、弘前の「まわり道文庫」さんで見つけて買った『季節のことば』

 

歌人 馬場あき子さんの古い随筆集です。

 

 

 

 

 

これを書かれたのは60代の頃でしょうか…

 

 

先月、馬場あき子さんのドキュメンタリー映画を観たこともあり

 

見つけてハッとして手に取り、連れて帰ってきてゆっくり読みました。

 

 

 

季節ごとの行事やそれにまつわるご自身の思い出が書かれているのですが

 

美しく歯切れのよい日本語で綴られていて、とても味わい深く感じました。

 

日本語って美しい言葉だなあと実感しました。

 

 

 

そして、最近は、この夏の猛暑といい、気象の変化や

 

生活スタイルの変化により

 

四季折々の情緒や楽しみも違ったものになってきたように感じる中、

 

この本の中の季節がどこかとても懐かしく感じられました。

 

 

 

そして、戦争が大人にも子どもにも影を落としているせつなさも感じました。

 

終戦記念日の頃に読んでいたのですが

 

平和に思いを馳せる時間でもありました。

 

 

 

偶然見つけた「まわり道文庫」さんは、

 

古い本と新しい本両方が置いてある小さな本屋さんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

近くに、「土手の珈琲屋 万茶ン」さんも。

 

 

 

こちらは、代も替わりお店も新装されていいらっしゃいますが

 

太宰治も通った東北最古と言われている喫茶店だそうです。

 

「太宰ブレンド」でゆっくり休ませていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一冊は、宮本輝さんの「灯台からの響き」

 

 

 

 

 

 

今回旅行で行った青森県の尻屋埼灯台や龍飛埼灯台、大間埼灯台が出て来て

 

個人的にタイムリー!

 

と思ったら、房総の犬吠埼灯台や野島埼灯台、洲埼灯台、勝浦灯台、

 

渥美半島の伊良湖岬灯台、

 

志摩の大王埼灯台にも、ここ数年間に行っている…

 

ということに気づき、

 

灯台が好きなんだということにあらためて気づいたのでした。

 

 

この本の主役、出雲の日御埼灯台には、は~るか昔、中学生の頃に……

 

 

(この本と旅との繫がりはここだけです笑)

 

 

 

 

と前置きが長くなりました💦

 

 

中華そば屋を営む62歳の康平は

 

妻の蘭子が58歳で突然に亡くなったことで

 

2年間、引きこもりのような生活になっていました。

 

そんな折り、ふと開いた本から妻宛ての古い葉書を見つけ

 

自分の知らない妻の過去を求めて旅に出る。

 

 

 

長年連れ添った夫婦でも、お互いの全てを知っているわけではなく

 

一方向からしか見ていないということも、

 

こんなふうにエアポケットのような時間があることも不思議ではありません。

 

 

また、失って色濃く感じられる愛情や

 

無性に知りたくなること、取り戻したくなる時間があることも

 

また不思議ではありません。

 

 

 

康平さんは、蘭子さんを失って初めて

 

蘭子さんが水車を回す水のように

 

風車を回す風のように

 

自分の生活を回していてくれていたことに気付いたのかもしれません。

 

 

 

そして、完全に止まってしまった流れを取り戻すためには

 

蘭子さんの、閉じ込められていた過去の時間を取り戻す必要があったのかもしれないなあと

 

思いました。

 

過去は、未来を生きる力にも繋がっているように感じます。

 

 

 

 

それは、ひとつのきっかけに過ぎないようでいて

 

そういうターニングポイントのような時を迎えたときに

 

行動できるか、決断できるかで

 

それから先が大きく違っていくように思います。

 

何かひとつを動かすことで、全体が動いて変化していくように。

 

 

 

 

「しかし、死んでも消えないものを残していく。

 

わずか生後三日で死んだ子でさえも、

 

目には見えない何かを残していく。

 

その見えないものをどう感じて、どう信じていけるか」

 

 

 

「不幸だらけの人生でしたと嘆く人も、

 

たくさんの幸福と巡り合ってきたはずだ。

 

ただ、それを幸福と感じなかっただけなのだ」

 

 

 

これは、康平さんが蘭子さんの人生を通して知ったことなのかもしれません。

 

 

 

灯台の回転灯の通りに針路を取れば船は守られる。

 

船の安全のために働く灯台。

 

それぞれの人にとっての灯台となるものがきっとあるのでしょう。

 

灯台に気づけるかということも大きいと感じます。

 

 

 

車を運転していて狭い路地に入り込んでしまったような時、

 

両サイドばかりを気にしていると、擦ってしまいそうで怖くてなかなか進めない。

 

けれど、少し先の方を見てみるとスーッと抜けていける。

 

 

 

灯台はそういう進む先の指針のような存在、

 

この本においては、そういうものの象徴のように感じました。

 

 

 

 

 

 

お付き合いくださりありがとうございますm(__)m

 

 

皆さまどうぞお元気で('ω')ノ