こんにちは。

 

屋久島の旅の続き、宮之浦岳縦走の2日目について書きたいと思います。

 

 

 

初日、淀川小屋に泊まった私たち。

 

この日は、5時くらいに起きて支度をしようと思っていたのですが

 

4時頃に起きて支度を始めた人につられるように、他の人たちも支度を始めたので

 

結局私たちも4時半頃には起きて支度を始めました。

 

 

 

朝食はソーセージを挟んだパンと、

 

お湯を沸かして温かいスープを飲みました。

 

朝は寒かったので、歩き始める直前までフリースのアウターを羽織っていました。

 

歩き始めるとすぐ暑くなるので、歩く時には長袖のポロシャツ1枚です。

 

 

 

淀川小屋を出発したのは、5時40分くらい、小屋を出たのは私たちが最後でした。

 

この頃には少し明るくなってきたので、ヘッドライトは不要でした。

 

最初は、森の中の雰囲気のいい歩きやすい道が続きます。

 

とても気持ちがいい朝でした。

 

 

 

 

 

途中、展望のよい見晴らし台のようなところが2か所くらいありました。

 

 

縦走路は、島のほぼ中央に通っていて

 

すっぽりと島全体に覆われ、守られているような、包み込まれているような感じがしました。

 

 

「洋上のアルプス」と表される屋久島の連座。

 

空なのか海なのか…大きな果てしないものに近くなって溶け込んでいくようなこの感覚は

 

初めて高い山(白馬岳)に登って、眼下に広がる雲海を見た時に知ったような気がします。

 

 

初めて知ったというのか、思い出したというのか

 

とても懐かしく感じられ心が震えたのでした。

 

 

「ここまで登ってこないと見られない風景があるんだ…」

 

そう深く感動したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間弱歩くと、小花之江河(こはなのえごう)、花之江河(はなのえごう)といった湿原に出ます。

 

突如現れるオアシスのような湿原は、日本最南端の高層湿原だそうです。

 

この辺りまではまだ涼しく、身体も軽く、いいペースで歩けました。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その先でひとつの選択がありました。

 

途中に「黒味岳」(くろみだけ、標高1831メートル)という展望のよい山に行く道の分岐があり

 

この「黒味岳」に登るかどうかを迷ったのでした。

 

 

 

重いザックは道の脇に置き、水筒くらいを持って

 

ほぼ空身で登って下りてくる1時間30分ほどの寄り道登山になります。

 

行きたい気持ちはあるものの、ただこの先の道のりが長いので

 

ここで体力を消費したくない気持ちもあって迷いましたが

 

結局行くことに!

 

(「無理そうなら行かなくてもいいよ」と言いつつ、夫がとても行きたそうなのがわかったのでした)

 

 

 

確かに、黒味岳山頂からの展望は素晴らしく、大パノラマの絶景だったので

 

登ってよかったなあと後になればしみじみ思うのですが、

 

(夫は宮之浦岳よりここの方がよかったと言っています)

 

岩にしがみついて登るような岩場が続く、

 

面白くもなかなかハードな道だったので

 

ここで使った体力がのちのち微妙に響いてきたように感じました💦

 

 

 

 

 

どこまでも山波が続くような素晴らしい眺め!

ここはどこ…?という別世界にきた感じがします

 

 

 

ご機嫌な人

 

 

空がとても近い

 

 

 

 

黒味岳から分岐地点まで戻り、再び宮之浦岳を目指します。

 

黒味岳分岐から水場を抜けていくと視界が開け、投石平(なげしだいら)というところに出ます。

 

平らな巨石群が現われてきて、ここまで来て初めて宮之浦岳の姿を見ることができます。

 

 

そうなのです。宮之浦岳は「奥岳」といわれるように奥まって鎮座していて

 

最高峰ながら、なかなかその姿を見ることができないのです。

 

島の海岸線からも見ることができません。

 

 

山々に守られているような存在。

 

登ってこないと見られないなんて、どこか神秘的です。

 

 

遠目に見る宮之浦岳は、なだらかでゆったりとした姿に感じられました。

 

ここで小休止。軽食をとりました。

 

 

 

 

 

 

投石平から宮之浦岳へは、あちこちに点在するいろいろな形の巨石を眺めながらの道です。

 

さながら花崗岩のアート作品群という感じです。

 

屋久島はまさに花崗岩(かこうがん)の島なのですね。

 

とても不思議な光景でした。

 

高い木はなくなりヤクザサとよばれる笹の多い道になります。

 

 

 

 

明るく開けた風景は見通しがよく、気持ちがよいのですが、

 

陽をさえぎるものが何もなく暑い。

 

この日は快晴だったのでとても暑く感じ、水場で冷たい水を汲んで飲めたのは

 

ありがたかったです。

 

夏場はもっと暑くて大変だろうなあと思いました。

 

 

 

 

宮之浦岳の手前に、栗生岳(くりおだけ)があり、

 

山頂の巨大な花崗岩の重なりの中にはひっそりと祠がありました。

 

栗生岳は標高1867メートル。九州第三位の高さの山です。

 

宮之浦岳、永田岳と並んで「三岳」と呼ばれています。

 

 

そういえば、屋久島には「三岳」という有名な焼酎がありますね!

 

 

 

栗生岳山頂

 

 

 

 

この辺りで、少しばててきて歩くスピードが落ちてきました。

 

栗生岳から宮之浦岳まではコースタイムで20~30分くらいのはずなのですが

 

なかなか辿りつけず、最後の登りがきつく感じました。

 

ばててくるとザックの重さがこたえます。

 

 

 

 

そしていよいよ山頂へ!

 

宮之浦岳の山頂も、360度見渡せる展望のよさ。

 

伸びやかな広がりを感じます。

 

 

ただ、ここに着く前に既に展望のよいところを歩いてきているので

 

登頂できてほっとした気持ちの方が強かった気がします。

 

もちろん達成感はありました!

 

 

 

宮之浦岳山頂 

笑っていますが…ヘトヘトです💦

 

 

 

 

けれども、登頂の喜びも束の間、ここからが長いのです。

 

ここから、この日泊まる予定の新高塚小屋まであと3時間…

 

 

宮之浦岳の山頂に着いたのが12時20分頃だったので

 

朝小屋を出てから、黒味岳に登った時間、休憩時間を含めて6時間半が経過。

 

ここからの3時間が、全行程の中で一番きつかった気がします。

 

こういうピークを過ぎた、最後の長い歩きが一番こたえるものです。

 

山頂で少し休んでから、新高塚小屋を目指して歩きはじめました。

 

 

 

 

途中、シャクナゲがたくさんありました。

 

まだ咲きはじめで蕾が多い状態でしたが、とてもきれいでした。

 

6月上旬くらいが満開でしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮之浦岳から下ってほどなく、第二の高峰永田岳への分岐があります。

 

この山は、女性的な山容の宮之浦岳とは対照的な荒々しい山容で面白そうでしたが

 

もうこの山に寄り道登山する余裕は、体力的にも気力的にもありませんでした。

 

(夫は登りたかったのかもしれませんが…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新高塚小屋到着は、15時半頃でした。

 

前日の淀川小屋より少し大きい新高塚小屋ですが、

 

この日の宿泊者は15名くらいだったでしょうか…

 

テントが4張りくらいあったと思います。

 

 

新高塚小屋

 

 

 

ひと休みしてから、水場でお水を汲み、食事の支度。

 

この日のメニューは中華丼とお味噌汁でした。

 

 

 

翌日は雨の予報だったので、コースをどうするかを相談し、

 

雨の状況と疲れ具合いをみて、白谷雲水峡に抜けるか、荒川登山口に抜けるかを

 

分岐地点で決めることにしました。

 

(白谷雲水峡は雨で増水すると渡渉できないところがあるそうです)

 

 

 

山では山頂付近以外電波が入らず、天候のことなど細かな情報が得られないため

 

登山者同士で情報交換をしたりして情報を集めます。

 

この日も翌日に備えて早めに就寝。

 

 

 

 

 

ところで…

 

行きのバスで一緒になり、淀川小屋でも一緒で少し話をした、

 

同じルートで歩く予定の男性の単独登山者の方がいらっしゃっいました。

 

「歩くのが遅いので」と、この日だいぶ早くに小屋を出発されたのですが

 

途中で私たちが追い付いて追い越したあと、姿を見かけなくなりました。

 

 

 

思っていたよりずっと登山者が少なかったこともあり

 

また、あまり山に慣れていない方のように感じられたので

 

なんとなくその方のことを気にしながら歩き、

 

小屋に着いた後も、その方の到着が気になっていました。

 

(別のルートの選択肢はありません)

 

 

 

ところが、16時になっても17時になっても18時になっても到着せず

 

いよいよ心配になってしまったのですが、どうにもしようがありません。

 

18時半ころになって、ようやく小屋にたどり着いたその方は

 

すっかり疲れ切った様子で、小屋の入口に倒れ込むように座り込みました。

 

 

 

声をかけると

 

「途中で水が足りなくなって…○○○○○…」

 

最後の方はよく聞き取れないほど、疲れ切って小さな声でした。

 

 

 

屋久島は日が長く、18時を過ぎてもまだ明るさがあったので幸いでしたが

 

この時刻、場所によっては山は既に真っ暗です。

 

懐電があったとしても、水がなかったら遭難レベルです。

 

実は翌日も、ちょっと心配になることがこの方の身に起こるのですが…

 

 

 

 

他の方のことをとやかく言えるような立場ではないのですが

 

山を甘くみるとやはり怖いです。

 

宮之浦岳縦走は、道も整っていて難所もなく、難易度が高いわけではありませんが

 

それでも、きちんとした準備、装備、

 

そして一日の歩行距離が長いので、それに見合った体力が必要です。

 

 

天候に恵まれ、体調がよければ、特に若い方であれば問題なく歩けてしまうかもしれませんが

 

ひとたび天気が崩れたり、何かがあった際には危険と隣り合わせになります。

 

 

難しい山だから、困難な状況だから事故や遭難が起こるというわけではありません。

 

どんな山でもちょっとした気の緩みが命取りになることがあります。

 

屋久島縦走をする際、知識や経験が少なく同行者がいない場合は、ガイドを依頼すると安心かもしれません。

 

 

 

そして水は絶対に切らしてはいけません。

 

栗生岳に登る前の水場を最後に新高塚小屋まで水場がないので

 

残りが少ない場合はここで必ず補充が必要です。

 

また、水場は枯れていることもあるので事前の確認をきちんとすることも大事です。

 

 

 

なんだか偉そうに…ごめんなさい。

 

ちょっと怖く感じたのです。

 

 

 

左下の淀川登山口から登り始め、右端真ん中あたりの荒川登山口までが今回の縦走コースでした

(画像はお借りしました)

 

 

 

最後までお付き合いくださりありがとうございます。

 

もう少し続きがあります。

 

よろしかったらお付き合いくださいませ。