私の両親は19歳の時に
離婚した。
私は大学一年生だった。
私立4年制大学へ通っていた。
我が家の家計が
火の車なのは知っていたし
大学を辞めて
働こうと
決めていた。
初めてのハローワークへ行って
初めての就職活動をした。
病院の今でいう
医療事務に
就職が決まっていた。
私は
なんだか
モヤモヤしていた。
母に「やめずに通っていい」と
言って欲しかったのかもしれない。
しかし、離婚したばかりの母は
「私にはなんとも言えない」
とうつむくばかり。
これまで
これが正しいと
示し続けた母から
急に自分で判断しなさいと
突き放された
ようで
モヤモヤしていた。
わかっている。
家計は火の車。
私は働ける年だった。
家を助けるべきだ。
大人になるのを拒むかのように
モヤモヤは
私の胸の中で広がっていった。
私は
反抗期というものがなく
その時まで
ぎゅーっと押し込められたエネルギーを
親にぶつけたことなどなかった。
父が去り
頭を押さえていたものが
ポンと飛んでしまったからなのか
怒りではじき出るように
家を飛び出した。
本当に
運命というのは
不思議だ。
離婚して
一度も姿を現さなかった
父と
出くわしたのだ。
理由を話すと
父がお金を出すから
大学は続けなさい
と言われた。
これもおかしい。
父は
「女は学校に行くより
家の手伝いをするべきだ」
と言って
「学校へ行かなくてもいい」
と私を脅してきたくらいだ。
「今は
資格の時代だから
大学は続けなさい」
と
私が母に言って欲しかった言葉を
父が言うのだ。
その言葉を
証拠に
私は
働かなくて良くなった。
就職は断った。
父が
大学を続けろというから。
母に伝えると
「あんな男あてにしたら
バカ見るよ!」と
言われた。
見事にその通りだ。
私は、そこから
大学へ行くための資金を
あらゆる手を使って
集めることになったのだ。
私が通っていた大学。山の上ののどかな場所にあった。
続く