電マ旅情記

古都から湖都へ、みだりに漕ぎ回った「電動ママチャリ旅情記」略して電マ記をあらかた書き終えた

卑猥なワードに惹かれたあなた、一刻も早くワクチンを打ってください。電マの使い手など出てきません

小説の表紙に使えそうで使えない絵が撮れたので、今日は写真でボケましょう

コロナ禍で静まり返る夜の街、どこか懐かしい殺気に目を落とすと、信号待ちするアフロヘアのETがいた

思わず電マのパワーモードをオンにしてアフロET（自分の影）を振り切ると、またぞろ映画のワンシーンを彷彿させる情景に出くわした

おい、君、いったい何があったらそうなる？

どういう状況なの？

『ス……ス……』

うなだれたロボットからねちねち声がする

念入りに愚痴ではなく、何かを数えているようだ

私は耳をそばだてた

『スリッパがひとつ、スパッツがふたつ、スジャータはみっつ、あたいのスペックはミスタースポック、ヒラキのスパッツはきたくない』

その足じゃあ、はけないしね

『しまむらのレギンスは？ですか。さっそく検索してみるよう』

よく分からないが、妙に胸が痛くなった

この長びく緊急事態宣言下に、来ない客のスリッパをひたすら数えていたのかと思うと、いたたまれない。ため口でギャグのひとつも入れたくなるだろう。とはいえ、コロナ禍の影響がスポック並みのスペックというロボットにまで及んでいるのは由々しき事態だ

『業務終了フリーズするね』

そうしてくれ

『と見せかけてイナバウアー！百人乗っても大丈夫からの高速コマネチ高速コマネチ』

ジョジョも青ざめるその体勢で追ってきた

私は電マをぶん投げて猛ダッシュ、最寄りの茂みへ逃げ込んだ

静かな湖畔の森の中で大を催してしまい、どこでもドアを見つけたときは正直ほっとした

用を足してドアを開けると青空が広がった

青天に吠える石碑には南無阿弥陀が刻んであった

胸焼けを煽るような唸りが聞こえ、湖のほうへ歩いていくと、水上暴走族が湖面を削っていた

夏の落とし物と松ぼっくりが転がる浜辺に人気はなく、わびさびを満喫するには打ってつけだが、無闇に波を立てる族がうるさい

ぶいぶい言わすのは楽しかろう。数人のストレス発散に大勢の住民が我慢するのはいかがなものか

昨夜食べた小鮎が爆ぜた

コロナの馬鹿野郎！と叫んで松ぼっくりを乱射したい衝動に駆られた

それでは族やマスク警察と変わらない

何をやっているんだ私は――。

砂浜に膝をつくと、背後から肩をぽんと叩かれた

『ぼっくりを投げていいのは松だけさ。ほら、すみやかに手放したまえ。それに貴様の弱肩じゃあ届かない。ブラックバスも殺せないようなツラして、人見て殴るタイプ？』

そのねちっこい声は、スリッパ係……いつからそこにいた？

『じゃっ、あっしは仕事があるんで。人心掌握は楽でいい』

スリッパで？

『あんたの電マ、不倫の盛んな交番に届けといたから。早まらないでよう』

ロボットは高速コマネチで去っていった

おい、待て、何か落としたぞ

これはそのまま表紙に使えそうだ

タイトルは、カニ雲を釣る電線のルアー

おいしそうなワームも電線にかかっていた

釣り人さん、小便とキャスティングは一歩前で

歌川国芳好みと言おうか、風刺の効いた浮世絵から出てきたような面構え

浜の番猫、白富士子ちゃんを紹介します

どら猫らしからぬ鳴き声は庇護欲をくすぐる。それこそ人心掌握術に長けた猫である

もう一匹、気になる奴が

目つきはアニメ版のデビルマン、雰囲気は実写版の妖鳥シレーヌ、そこはかとなく漂う上品な永井豪ワールド観が壮絶なドラマを想像させる

飼い主の予想以上に胴が伸びて捨てられたのなら許せない

あばら家のデビルキャットマンチカーンと名付けよう

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最後に、お祝い申し上げます

Ameba17周年おめでとう

末永く三白眼でしましょう

電脳ぼけしたアダムとイブ

Aging Society忍び寄る米中

おこぼれを狙う露

サイバーテロリストは嗤う

移動侵蝕型電脳都市💋シティーゼロワン

コロナ終息までDLフリー

Medical Toilet

最新医療トイレとセックス、癌とワイン、スイーツと禁煙、懲りない男女が絡まる不謹慎極まりない短編集

デッドキャッツ＆スネイルドッグ

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