Kは北アルプスの麓の小さな町で生まれ育った。

 

高校の部活が山岳部で、燕岳の合戦小屋を拠点にしてどうのこうのと(聞いてもわかりませんが)言う。

 

この前たまたま見た地元局制作の北アルプスの4K映像があまりに美しく、来世では山登りをやりたいなと思った。

 

そしてそこに出てくる男の子たちがまた、とっても爽やか、合戦小屋では松本名物の波田のすいかを頬張り、燕山荘ではハンバーグ定食を美味しそうに食べる。

 

山男ってみんな爽やかだねぇ、と言うと、

 

「山をやるヤツはだいたいエロだ、生命の危機と背中合わせだから遺伝子を残そうとする本能が強いため」(K個人の見解・偏見です)

 

さらに続けて、

 

「もはや爽やかは消えてエロだけ残った」

 

風呂上りの湿気を漂わせながら(通称シッケマン)そう言った。

 

そして毎晩のように、ねだる。

 

「腰押して」

 

「湿布貼って」

 

口だけで実戦不可だな、と言うと、

 

「だいじょぶ、上に乗っていただければ」

 

情けない、あらゆる意味で情けない、こいつでいいのか、わたしの最期。