二人の娘も電話越しに彼の名前を呼んでましたが、涙声で声になってません。
もっとも彼もずいぶん前から耳は聞こえないのですが、気配にうっすらと目を開けて聞いているようでした。
しかし、なんとかその日は持ちこたえたのですが、危篤状態が続きます。後ろ髪を引かれるように仕事に出かけ、無事を祈りながら帰宅するという方式が続きます。
30日の夜に、彼は最後に小さく5回鳴きました。もう、喉もやられて声にはなりませんが、必死に何かを言っているようでした。
女房は「もう、眠りなさい。」と懇願し、私も「お母さんのところに行きなさいね」と体を擦りながら泣きました。
しばらく、時間が止まったような静けさがありました。
すでに彼の体は冷たくなり始めていました。我が家に来てから15年あまり、幸せだったのか、不幸せだったのかはわかりませんが、私たちには家族でした。
翌日、ペット斎場で火葬したのですが、さいごのお別れの時には、人目もはばからずおお泣きしてしまいました。娘たちも寂しいでしょうが納得してくれました。
最後まで看取れて良かったと思います。
娘が居なくなったあと、犬までいなくなり、どうなることかと思ってましたが、今のところいろいろやりながらなんとか二人で頑張っています。
もうすぐゴールデンウィークです。また娘たちも帰ってくるでしょう。
娘たちの帰りを待ってお骨を埋葬したいと思っています。