定額働かせ放題の解消の困難さの一つに、部活動指導、

それに付随する、勤務時間外の部活がらみ業務がある。

 

これは、しかし、部の指導者になりたくて

教員になる人も多いので、

おそらく、現場は二つに割れる。

給与を度外視して、部活動を通じた人間教育的側面に

やりがいを感じて、意欲的に取りくむ教員と、

部活動の指導に関しては素人で、教科指導で

頑張りたい教員と、である。

 

だから、一律に教員全体の給与を改善しても、

何ら問題の解決には至らない。

部活動を一生懸命やればやるほど、お金はかかるので、

教職調整額が10%になっても、あまり関係がない。

 

むしろ、部活動指導を頑張らなくていい、

趣味部活の顧問は、何もせずに6%上昇するから

嬉しい。

 

ばかばかしい、姑息な定額働かせ放題対策だ。

 

次に、4%とか、10%というのは、

本俸に対しての割合だろうから、

若くて意欲的な指導者は、頑張りに見合わない手当になるし、年配でほとんど顧問の仕事はしない人が

本俸が高い分10%はでかくなる。

 

これも、現場を二つに割る施策に見える。

 

決裁を得るときに、誰も待てと言わなかったんだろうか?

 

ああ、横道にそれている。

今回定額働かせ放題の根本と思うのは、教職調整額の話ではない。

 

運動部でも文化部でも、存在する「協会・連盟」の問題である。

 

例えば、高校野球でもいい。

地区予選を行うのは地方の高野連〇〇支部である。

普通、大会運営をするとき、

最初から、役員をボランティアで計上することが

オカシイと言いたいのである。

 

かわいい高校生のために、現場の高校教員と、

審判資格を持つ人々で、大会は運営される。

 

この時に、大会運営は教員の業務として、校長が命令しているのだろうか。

それとも高野連という組織が、依頼しているのだろうか。

これは、外部機関から委嘱状が来て、

貴校職員を〇〇役員として委嘱するので、派遣してくださいという文書が来るのが普通だ。

 

さて、その場合、出張扱いになり、経費はどこから出るのだろう。平日は勤務日だから、二重に給与は出まい。

学校業務はその間出来ないのだから、大会前後に他の教員に授業を代わってもらう。

 

授業一コマいくらという契約ではないので、授業をやればやるだけ定額働かせ放題になるのは、部活動の裏表の関係だ。

 

これが土日になると、各種競技では、

〇〇協会が全国大会を運営するのかもしれないが、

予選からブロック大会まで、ほぼ地方教員が

大会運営を無料でやっている。

その間、本来の学校業務や家庭生活(土日)はストップするので、あとで自分で何とかする。

 

この〇〇協会とか連盟とか、何とかならんのかと思うが、

何ともなるまい。

誰も手を出せない伏魔殿だ。

 

この連盟や協会は生徒から会費をとって、参加資格を与えている。

 

本当に協会連盟が自力で大会を運営するなら、

役員のすべてに報酬を払うか、教員以外を運営人員として準備すべきだ。報酬を払わず有望選手が地方から上がってくるのを待つシステムは、非常に無駄がないが、

こういう形態が成り立つのがオカシイ。

 

無料とか低廉な報酬とかボランティア、試合に出ない選手も重要な運営補助員で、人々の善意に頼っている割に、

協会や連盟は偉ぶっている気がする。

 

まあ、素人大会が全国につながるのだから、こういう小さなことに目くじらを立てないというのが、大人の対応なのだろう。

 

でも、ブロック大会みたいな結構大きな大会でも、

地方の大き目な都市の、多くの高校が集まる所で、

会計まで別途予算を組んで、協力を要請して、

協議関係者じゃない素人も巻き込み、

その人たちの日常業務にしわを寄せて、

本来業務の給料の中で行われる。

 

県の規定にかからなければ、県費で旅費も出ないので、

私費に頼る。これはPTAの会計だ。

ま、子供のために親がお金を出すのは当然かもしれないが、

これも、自分の子供に金を出すのではなく、

全額をプールして、支出されるから、大会に参加しない人は大会に参加する人を支援している。

 

助け合いの制度だから、これは素晴らしい制度だが、

この助け合いの制度の延長上に、

定額働かせ放題

が存在する。

 

今や、報酬の発生しない業務は、レアだ。

企業では、本来業務でなく、競技に駆り出される社員の扱いをどうしているのだろう。大企業であれば、競技に協力するのだろうが、業績的にぎりぎりなら、本来業務にしか給与は払えない。

 

これだと、競技人が育たないので、誰かが支援しなければならないが、ここをどうするのだろう。

 

自分の考えでは、協会や連盟が、企業から支援を受け、

高校野球なら、テレビの放映権料を取り、

将来のプロ選手を輩出するのだから、

プロ野球の球団が、投資すべきだろう。

儲けのある、その競技に携わる人々が、

ちゃんと地方大会まで金銭的に面倒を見る。

 

こういう、金銭関係や人的な面まで、ちゃんと自力で運営できない協会や連盟を指導すべきではなかろうか。

 

国も、競技ごとに、観客収入がある団体は、ちゃんと下部組織を金銭的に面倒見るように指導すべきだし、

競技から収入が得られない競技には積極的に金銭的に支援すべきだと思う。

 

いずれ、高校在学の若者の指導を、誰が金銭的にも人的にも責任をもって運営するのかという責任の所在を明らかにしないと、世の中は変わらない。

 

やりたいからやらせるけれど、自分たちでやってね

という姿勢は、自然かもしれないが、無理がある。

 

無理を承知で、支えるのが教育なので、

部外者が文句を言うべきではないが、

その割に偉い人が、教育に文句を言いすぎる。

そういえば、官庁からの指示文書も多いんだこれがまた。

 

スポーツ、文化、官庁、議員、企業の要請、社会の要請、

いや、全部ミニ社会である学校に集中する。

 

これじゃあ、まともな神経ではいられない。

 

テレビでスポーツを見て楽しむのも、参加して楽しむのも、

そう簡単ではないという事が、

定額働かせ放題の本質だ。

 

無理だな。こりゃ。