ネットによれば、映画のキャッツは酷評されているらしい。

どんな人が酷評しているか分からないが、期待が大きかった反動なのだろうか。

 

その点自分は、本物のミュージカルの舞台も見たことがないし、

酷評されているのを知って見に行ったし、キャッツそのものの何たるかを知らないので、

いや、意外に悪くないじゃん、って思った。

 

客の入りもそこそこだったし、ある場面ではすすり泣きをこらえている人もいた。

 

キャッツは、キリスト教的だ。多分。

恵まれない庶民が、スラム街的なところで助け合って、自由に生きている、

そう、日本なら下町の庶民だ。

その中で、最も恵まれない人が、おずおずと、やがて心の底から、

自分の本当の気持ちを表現すると、ちゃんとみんな認める。

 

誰もが行きたい天上の世界へ、最も恵まれない正直者を送り出す優しさ。

そんなものを感じた。これは猫だからいい。

犬ではない。一人一人が個性をもって自立しているという前提でネコを描いている。

 

今日は、ジムに行って、筋トレをして、昼ご飯を食べて、映画を見たので、

前半の方で、心地よくなり、映画のストーリーも散漫で(自分の集中力のなさで)

ねむかけしてしまった。コーラスとか、気持ちの良い曲が続く。

その割に話には、新展開とか心をひきつける工夫は、ない。

穏やかに、日常が過ぎていく感じだ。

だから、つまらないと感じる人もいるんじゃないかと思われる。

 

でも、ネコの動きはよく表現されているし、バレエの要素もきちんとしているし、

ビートたけしが座頭市をやった時にタップダンスが入ったのも、キャッツの真似かと思ってしまった。

 

特に後半。天上に召される、ネコが決まるシーンで歌われるあの歌。

タッチミー♪~

は、心を揺さぶられる。

 

なんでだろう。

あれは、恵まれない人生を送ってきた人に対するギフトだ。

赦しの曲かもしれない。その点でレクイエムかもしれない。

赦しの気持ちがあふれてかどうかわからないが、突然胸に迫るものがある。

 

多分、あの映画を好きになれない人は、世の中をてきぱきと処理しながら、

合理的に生きている人だ。勝ち組と言われる人かもしれない。

友達にはなれない。

 

家に帰ってネコを見る目が優しくなった。