夜中の腹痛 | 救急医の戯言

救急医の戯言

元呼吸器内科医であった救命医が、患者として2回手術を受けたこと、最近の医療について思うことを思いつくまま書いてみました。

 昨晩は、寝る前にどうも腹が張るような感じがあったけれど、まあいいか、と寝てしまった。0時もすぎる頃、妙に下腹が痛くて目が覚めた。結構波があって、蠕動痛というやつだ。

いくらか下痢っぽいのかな?と半分寝ぼけながらトイレに座った。

 それから、はらわたがしぼりとられるような痛みが波状攻撃の様に襲ってきた。汚い話だが、栓が抜けたあとは泥というか、水というか怒涛のような下痢。

 最後には出血まで。もともと痔核はあるのでいくらか出血してもそうは驚かない。が、あまりの痛みが30分も続いたため、体中から冷や汗が吹き出し、トイレから動けなくなった。

このまま、動いたらきっと失神するだろうな、と思い痛みが遠ざかるまでトイレに座ったままでいた。

 1時間後、なんとかトイレから這い出し、寝室に戻りびしょびしょになったパジャマを替えることなく布団に包まって朝まで寝た。

 夜が明けて、鈍痛が左下腹部にある。

 トイレにもう一度行ったら、出たのはやはり血液。

 多分、虚血性腸炎だろう。睡眠不足とストレスかなあ?

 救急外来で時々お目にかかるが、これほど痛いとは思わなかった。

 熱もないのでO-157でもないだろうし、ノロウイルス感染症でもなかろう。

 ふつうこの疾患で来院された方は数日絶食で入院となる。だが、今日は24時間の仕事なので穴を開けるわけにも行かず、百草丸を飲み、出勤途中のセブンで、アクエリアス2本とウイダーinゼリーを4個買って出勤した。しばらく腸管は安静にして過ごそう。

 

で、夜の下半身のトラブルについて考えてみた。

 

それにしても、救急外来では、腹痛は決まって夜中に来院する。寝た後に副交感神経が優位になって腸管の動きが活発になるが、なにか病変があってアンバランスなことが起きると痛くなるのだろう。尿管結石も夜に痛くなる。教科書には、結石は夜作られるから、と書いてあるが、それは違うと思う。すでにできている結石が夜落ちてくるから痛いのであって、なぜ夜なのだろうか?尿閉も夜の定番だ。これは、若い人は抗利尿ホルモンが夜多く分泌されるので、夜間にやたらに尿がたまることはないが、高齢になるとこの分泌が少なくなるので、尿量が増え、夜尿に起きる回数が増える。これを行かずに膀胱をパンパンにしてしまうと尿閉になるのだろう(前立腺の大きな人は)。