朝のスタディーより::::抜粋☆
物事には順序があります。
目の前の電力不足を原発再稼働で回避し、
将来のビジョンとして脱原発を語るべきです。
当面の数十年間、日本には原発が必要です。
再稼働させるべきです。
理由は、性急な脱原発・全原発即時廃止では、日本の産業・経済活動、
一般国民の生活へのダメージが大きすぎるので、現実的でないからです。
反原発派・脱原発派がどんなに屁理屈を捏ね回したところで、
原発無しでは電力不足になるのは明白です。
足りないものは足りないのです。
現代の日本において、電力不足は許されません。
電力は人命にも直接関わる最重要インフラです。
「原発無しで電力不足になるかならないか、今年の夏で試してみればいい」というわけにはいきません。
確実に電力が足りるようにしておかないとダメなのです。
ぎりぎり足りるでもダメです。
発電所や変電所で、1ヶ所や2ヶ所で事故・故障が起こるのは日常茶飯事です。
十分なマージン、冗長性の確保が不可欠なのです。
電力は貯める事が出来ません。
唯一の電力貯蔵方法が揚水式水力発電です。
しかし効率が悪いし、貯められる電力量もわずかです。
電力の需要と供給は常に「同時・同量」です。
この需給バランスが崩れれば広域大停電が起きます。
そうなってからでは手遅れです。
反原発派・脱原発派は「真夏の数日の数時間、節電すれば足りる」などという無茶なことも言います。
その数時間で、熱中症による死者が出たらどうするんですか。
24時間連続で動いている工場の設備もたくさんあります。
一度止めると、再起動に数時間かかり、起動のために無駄な電力も使います。
産業設備には「省エネモードスイッチ」なんか付いていません。
100かゼロかしか選択肢が無いのです。
節電するなら休業しなければならない工場がたくさんあります。
政府も新しい安全性暫定基準を作るなど、準備を整えています。
枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣、野田総理大臣と、
次々に「安全性を確保した上で再稼働は必要だ」との意向を示しています。
原発再稼働に直接責任を持つ立場の3人が異句同音にそう言っています。
ストレステストの二次評価を提出した原発はまだ1基もないにも関わらず
「安全性を確保した上で」と言って、暫定安全基準を作り、
電力会社に今後の追加安全対策の工程表を出させています。
最初から「再稼働ありき」です。
クーデターでも起きない限り、大飯原発を皮切りに日本全国で次々に原発が再稼働します。
確実です。
また、電力業界も「原発再稼働ありき」と考えています。
東電は電気料金を値上げしますが、東電以外は値上げを表明していません。
全電力で火力の焚き増しで燃料費がかさみ平成23年度は大幅な赤字決算になるのは分かってます。
それでも東電以外は今のところ電気料金の値上げはしない模様。
つまり、東電以外の電力会社は「原発が再稼働したらまたがっぽり儲かるから、
平成23年度の赤字はすぐに取り戻せる」という目論見だからこそ、
電気料金の値上げをしなくて済むんです。
「原発の再稼働はあり得ない」と思ってるなら、東電と同じように値上げするはずです。
電力業界はすでに「原発再稼働ありき」なのです。
東電だって今後の事業計画に「柏崎刈羽原発の再稼働が前提」と書いたくらいです。
今年は無理でも来年には柏崎刈羽も再稼働するでしょう。
当面の数十年間は原発を再稼働して従来どおり原発に頼っていいと思います。
原発事故のリスクはありますが、
産業・経済の発展、豊かで便利で快適な生活の維持というメリットと引き換えに出来る
「合理的なリスク」として受け入れられると思います。
毎年毎年、日本各地の原発に、千年に一度の巨大地震と巨大津波が襲い掛かるわけではありません。
とはいえ、未来永劫原発に頼るわけにはいきません。
「今すぐ原発全部廃止」ではなく「少しずつ、原子力を減らして」いくのは可能です。
が、数十年かかるでしょう。
代替エネルギー(自然エネルギー+電力レベルの蓄電システム)の開発・実用化、
電力需給の分散化(電力の地産地消)の促進、
合理的な範囲での節電の啓蒙、
家電に限らず産業設備や社会インフラを含めた省エネ化の取り組み。
これらを同時進行で加速して推進していけば「少しずつ原発を減らして」いくのは可能と考えられます。
政治主導で、社会全体の取り組みが必要です。
「とにかく今すぐ原発を全部廃止しろ!話はそれからだ!」
のような考え方は乱暴、非現実的です。
将来のビジョンとして、
地下資源に恵まれない日本の「エネルギー安全保障」を磐石なものにするためにも、
100%自然エネルギー発電にシフトすべきと考えます。