2011年8月X日の日曜日
都内の高層マンションの中層階に住む男はうだるような暑さに目が覚めた
最近妻からの誘いを断り続けている夫
暑くてくっつきたくないのが本音、正直睡眠を細切れにとるのがやっとなのだ
妻との関係がギクシャクしはじめている、、、、やばいなぁ~と心の中でつぶやきながら
ベッドから這出た
まだ午前中だというのに、エアコンをとめた寝室は蒸し風呂状態だ
うちわを片手に水を飲もうとキッチンへ行き、水道の栓を開く
しかし蛇口からはチョロチョロとしか水が出ない
都の水道局によると、電力不足で水圧を抑えているため、水は滴る程度にしか出ないという
リビングでは妻が大学ノートを広げ、家計簿をつけている真っ最中だ
「あなた悪いけどね、乾電池が切れたから買ってきてくれる??」
。。。。。。。。。。「また~~??」
近くにコンビニはあるものの、マンションのエレベータは節電で停止中
8階からの非常階段を使っての上り下りを思うとうんざりした
そして、コンビニについて乾電池が売り切れということもありえることを思うと
またまたうんざりした
「PCが壊れてから、家計簿ソフトが使えなくて大変なのよ」
大停電が起こったわけでもないのに、
数日前、我が家のPCが壊れてしまったのだ
電力需給バランスが壊れて、電圧に微妙な変動が生じたためだとか・・・・・
おいおい勘弁してくれよ~~
PCのハードディスクが吹っ飛んでしまった 最悪。。。。
「あぁ、また間違えた!!ソーラー式の電卓も照明を暗くしているせいで、
すぐに液晶の文字が消えてダメだし・・・・・こんなもの使うなんて小学生の時以来よ~~」
やり場の無い怒りを夫にぶつける妻
その手には収納棚の奥から引っ張りだしてきた、古いソロバンが握られていた。。。。。
男はゆっくりとランニングシャツと短パンに着替え
アナログなパチパチ音を聴きながら、非常階段へと向かう準備を始めた
FIN