「シンディー…」
小嶋の口から思わず零れた。
目の前にいるのは確かに浦野一美。
AKB創成期を共にした旧友であり仲間。
「これ…シンディーが…?」
うまく言葉が出てこない。
戸惑いと疑問が頭を真っ白にしていた。
それでも何とか言葉を探り問いかける。
「気を失ってるだけだから安心して」
浦野は小さく笑みを浮かべあっさりと言った。
その言葉とは裏腹に口調は軽々しかった。
小嶋は言葉を失っていた。
みんなが倒れている。
それだけでも大変な事態なのにそれ以上に不可思議な出来事があった。
「どうやってもっちーを…?」
小嶋の疑問はたった今目の前で見せられた魔法のような所業。
手を翳しただけで意識を飛ばした。
まるで本物の魔法使いのように浦野の姿は映っていた。
異質で不気味、そして『悪』であるとわかる禍々しさ。
「どうやってって、これのこと?」
浦野が不気味に微笑んだ次の瞬間、小嶋の体が吹き飛ばされる。
勢いよく後方へ弾んだ小嶋は壁に激突し床へと崩れ落ちた。
「うぅ…ぐうぅ…」
背中に響いた衝撃が全身を駆け巡る。
衝突によって打ち付けた頭が痛い。
視界も霞む。呼吸の息遣いも荒い。
「はぁ…はぁ………これって…一体…」
何をされたのかわからない。
だが確かに吹き飛ばされた、何かに。
「どうして…こんなことをするの…?」
悶えながら小嶋は訊ねた。
その姿を見下ろしながら浦野は言った。
「まだあなたたちは知らなくていいことよ」
ゆっくりと小嶋に向かって歩み寄る。
「直に嫌でもわかるわ、わたしたちはその時の為に準備をしているの」
小嶋の傍らに立つ。
浦野の顔に笑みは消え去っていた。
「じゃあね、陽菜」
小嶋の顔に手を翳す。
その時だった。
「こじはるさん!」
浦野の後ろで誰かが叫ぶ。
小嶋はその人物に倒れた状態から視線を移した。
「………あきちゃ」
音が聞こえた。
何かを打ち付けたような。
「何かあったのかな…?」
尋常ではないその音に高橋は立ち上がった。
それによく耳を澄ませば先ほどまで聞こえていた踊る足音、声が消えている。
何かが起こっている。
ざわめく胸の高鳴りを押さえるように舞台の方へと向かった。
「だめ…あきちゃ…」
小嶋が必死に叫ぶ。
叫びにもならない声で。
「どうしてこんなことに…」
メンバーは皆倒れ目の前には今にも小嶋が危険な状態でいる。
そこに手を掛けようとする人物。
「浦野…さん…?」
同じチームでいたことはない。
二人は同じチームAだが浦野はBの結成と共に異動した。
そのために活動としては被ったことはないが彼女の名前は勿論知っている。
「まさか…浦野さんがこれを…?」
「だとしたら?」
「逃げて!あきちゃ!」
二人の会話に小嶋が割って入る。
恐らくこのままでは自分の二の舞になる。
得体の知れない浦野の力を受ける前に逃げなければいけない。
しかし高城の足は動かなかった。
恐怖やパニックに陥ったからではない。
逃げてはいけないと、助けなければいけないと本能が告げていた。
そしてまたあの声が響いた。
『………かえ……………戦え』
今度はハッキリと鮮明に聞こえた。
.
小嶋の口から思わず零れた。
目の前にいるのは確かに浦野一美。
AKB創成期を共にした旧友であり仲間。
「これ…シンディーが…?」
うまく言葉が出てこない。
戸惑いと疑問が頭を真っ白にしていた。
それでも何とか言葉を探り問いかける。
「気を失ってるだけだから安心して」
浦野は小さく笑みを浮かべあっさりと言った。
その言葉とは裏腹に口調は軽々しかった。
小嶋は言葉を失っていた。
みんなが倒れている。
それだけでも大変な事態なのにそれ以上に不可思議な出来事があった。
「どうやってもっちーを…?」
小嶋の疑問はたった今目の前で見せられた魔法のような所業。
手を翳しただけで意識を飛ばした。
まるで本物の魔法使いのように浦野の姿は映っていた。
異質で不気味、そして『悪』であるとわかる禍々しさ。
「どうやってって、これのこと?」
浦野が不気味に微笑んだ次の瞬間、小嶋の体が吹き飛ばされる。
勢いよく後方へ弾んだ小嶋は壁に激突し床へと崩れ落ちた。
「うぅ…ぐうぅ…」
背中に響いた衝撃が全身を駆け巡る。
衝突によって打ち付けた頭が痛い。
視界も霞む。呼吸の息遣いも荒い。
「はぁ…はぁ………これって…一体…」
何をされたのかわからない。
だが確かに吹き飛ばされた、何かに。
「どうして…こんなことをするの…?」
悶えながら小嶋は訊ねた。
その姿を見下ろしながら浦野は言った。
「まだあなたたちは知らなくていいことよ」
ゆっくりと小嶋に向かって歩み寄る。
「直に嫌でもわかるわ、わたしたちはその時の為に準備をしているの」
小嶋の傍らに立つ。
浦野の顔に笑みは消え去っていた。
「じゃあね、陽菜」
小嶋の顔に手を翳す。
その時だった。
「こじはるさん!」
浦野の後ろで誰かが叫ぶ。
小嶋はその人物に倒れた状態から視線を移した。
「………あきちゃ」
音が聞こえた。
何かを打ち付けたような。
「何かあったのかな…?」
尋常ではないその音に高橋は立ち上がった。
それによく耳を澄ませば先ほどまで聞こえていた踊る足音、声が消えている。
何かが起こっている。
ざわめく胸の高鳴りを押さえるように舞台の方へと向かった。
「だめ…あきちゃ…」
小嶋が必死に叫ぶ。
叫びにもならない声で。
「どうしてこんなことに…」
メンバーは皆倒れ目の前には今にも小嶋が危険な状態でいる。
そこに手を掛けようとする人物。
「浦野…さん…?」
同じチームでいたことはない。
二人は同じチームAだが浦野はBの結成と共に異動した。
そのために活動としては被ったことはないが彼女の名前は勿論知っている。
「まさか…浦野さんがこれを…?」
「だとしたら?」
「逃げて!あきちゃ!」
二人の会話に小嶋が割って入る。
恐らくこのままでは自分の二の舞になる。
得体の知れない浦野の力を受ける前に逃げなければいけない。
しかし高城の足は動かなかった。
恐怖やパニックに陥ったからではない。
逃げてはいけないと、助けなければいけないと本能が告げていた。
そしてまたあの声が響いた。
『………かえ……………戦え』
今度はハッキリと鮮明に聞こえた。
.