例年より甘さがやや弱いとの話でしたが、十二分に美味しい初物でした。
桃は温性を持つ数少ない品目。
この嬉しいプレゼントは、義父の従姉妹からもたらされました。
ついつい冷え食材へ偏りがちな季節に、大変有り難い存在です。
この嬉しいプレゼントは、義父の従姉妹からもたらされました。一度、お宅を訪ねたことがあります。
広い敷地内に親子孫3世帯がそれぞれ家を構えていて、アットホームな雰囲気でした。
農家としてしっかり成功、豊かに暮らしながらもあくまで謙虚なファミリー。
田舎だから跡を継ぐしかなかったとおっしゃっていたけれど、尊敬と支え合いの精神がなければ成立しない生活です。
こんなに素晴らしい人達を、誰が田舎者扱いするでしょうか。
2ヶ月程前に亡くなった、義母の長兄。
同じ市内に住むこちらも大きな農家です。
高齢の夫婦を心配して、親戚一同は早期引退を勧めたものの、伯父はお山の大将タイプで耳を貸してくれませんでした。
土地柄だけでなく世代のせいもありますが、モラハラを絵に描いたような人でした。
東京なんか!が口癖で、聞いているだけで恥ずかしい気持ちにさせられたものです。
年に1・2回は会っていたのに、伯父との会話や出来事が全く浮かんできません。
何かを押し付けられるだけの関係性では、エピソードが生まれようもなかったのです。
地方にいる、学歴がない、娯楽に慣れてないから"田舎者"なのではありません。
周りをよく知ろうともせず、偉そうにしている精神こそを意味していると思うのです。
10余年の付き合いで思い出がゼロの人
ギフトだけでも温もりが伝わる人
小さな世界の中で威張っている人
地味な仕事を静かに丁寧にこなす人…
桃を手に、人間としての在り方をしみじみ考える雨の朝なのでした。