例えば、小麦。
耐性が極端に弱くなり、摂りすぎると疲れるようになってしまった。
朝食にパン・昼食にラーメン・夕食にパスタ、なんてことをした日には、途端に便秘が始まり胃もたれや肌荒れを起こす。
どうやら人間と食材には、細胞レベルで相性が決まっているらしい。
そもそもあたしの食生活には、小麦系の登場回数が少なかった。
慣れない者が慣れない物を、たくさん体内に入れる。
驚く消化器関連、戸惑う指示系統、パニクる脳内…
DNAが否定する。
とにかく、生まれ育った土地で出来た・先祖代々食べ継がれてきた素材が、カラダには合うということ。
毎日食べているコメだって、東京生まれのあたしには、西で作られた物より東で作られた物の方が馴染む気がする。
醤油や味噌も、関東近郊で作られた物に親しみを感じる気がする。
関西出身の知人らは毎回のように、関東の黒い出汁なんか気持ち悪いと言う。
ものすご~く、嫌そうな顔をして。
それは仕方ない、DNAのせいなのだ…きっと。
旅先での食事は、普段と違う味でも楽しむことができる。
新しい出会いは嬉しいし、期間限定だとわかっているから、たとえ違和感があっても、それはエンターテインメントだ。
刺身に甘い醤油を出されたら、キリッとした辛口で食いてぇ!とか、濃い色の味噌ばかり出されると、ほぼ同じ味じゃねぇか!とか。
心の中で叫んだりはするけど。
ただし、住むとなると話は別だ。
ごめん、嫌いじゃないけど、粉もんエリアには暮らせません。
若い頃に引っ越したりしていれば、新しい土地の新しい味にも慣れていたかもしれない。
それが出来るのが若さだ。
ところが今や、小麦ひとつで不調を示す中年ボディ。
迎えくる人生の下半期。
情けないとは思いつつも、安心・安全・好きなモノに囲まれて、心穏やかに過ごしたい。
