新しく仕入れた情報を披露したくて、気づけば熱くなっている。
出来れば、面白い!と感心して、凄い!と誉めてもらいたい。
気持ちはわかる。
だけど、相手の顔をよく見て!
愛想笑いしてない?
上の空じゃない?
心情を読み取って、語らうのが大人のマナー。
先日友人とおしゃべりしていたら、ここ数年で急激に縄文ファンになったというおじ様に捕まった。
あたしも大好きだから、最初は彼のひけらかす知識にニコニコと耳を傾けていた。
知らない分野の話じゃないから、あたしが挟み込んだ質問や相づちワードが、どうやら的を得ていたらしい。
気を良くした俄マニアのトークは留まることを知らず、いつの間にやら1時間の独演会。
笑顔は強ばり、口数は減り、意識は遠のく。
もういいよ、そろそろ止めてくれー!
知らない人ならキレて終わりにできたのに、よりによってあちらは友人の仕事関係者。
ひたすら耐えてきたけど、これ以上は無理。
隠し持っていた名刀を素早く抜き出す。
いいですよね、縄文時代。あたし、発掘の仕事してたんですよ。土器を見つけた時の喜びって堪らないですよね。
ドヤ顔で話し続けていたおじさん、かなり驚き口調がしどろもどろになる。
更に追い打ちをかける。
実際に土器とか遺稿とか触ったことないんですか?ワクワクしますよ。図面おこしたり、復元作業したりするのも楽しいですよ。
とうとう、おっさん黙り混む。
よっしゃー、勝ったぞー!
百聞は一見にしかず!
そんなに好きなら現場に出てみろってんだ!
おやじを成敗し、小さく友人に向かってガッツポーズ。
やったね、カッコ良かったよ~!!
いやいや、それほどでも。
ま、正直2人共ウザかったけどね。
…え?
ね、言ったでしょ。
好きなことを語り合う人間は、無関心な人からしたらどうしようもなく鬱陶しいんだって。
