NHKで、「うつ」を取り上げたドキュメンタリーを観ました。
今まで、「うつ」って「心の病気」とか「心の風邪」とか聞いていたので、けがや「普通の」疾患のように体のどこかが明確に異常だと検知できるわけでなく、患者の状態などから総合的に「病気」だと診断しているという理解をしていたのですが、実際そうではなかったのが印象的でした。
番組の事例では、実際に脳の扁桃体といわれる機関が委縮していることがCTスキャンから分かったり、動物(魚)を使った実験で「うつ」状態を再現できていたりと、医科学的に明確な診断が可能な領域にまで来ていた病だったんですね。自らの不勉強を恥じるばかり。
「心の病」と言われていたのは、単にうつの症状を医学的に検知・定義できなかった時代の名残でしかないってことですね。
しかも、壮大なのは、「うつ」の起源が「人間の進化の過程で生じた宿命」と位置づけていたこと。
NHKらしい切り口で論理を整然と整えていて、そのまとめ方なども含めてなかなか見ごたえがありました。
NHKのドキュメンタリーが展開する、多面的ながら理解しやすい論理構成にはいつも感心させられます。
先日、一度だけ民放のドキュメンタリーを見たんですが、ぶっちゃけ「これがドキュメンタリーなの?」と空いた口が塞がらない内容。非正規社員の雇用実態を取り上げた内容でしたが、単に2人の非正規社員の1日をカメラで追いかけただけ。彼ら(彼女ら)が生み出されている社会の構図とかの分析や考察かが全くない。最後のシーンは、非正規の彼らが夜の雑踏に消えていく絵で、お決まりの政治批判。
何も得るものがない番組展開でしたw
それに比べると、ホントNHKはよく分析してますね。勉強になります。
まあNHKはNHKで、「結論ありき」で取材を行ってた結果、ヒアリングの対象者からクレームが入ってしまったみたいな失態も過去ありましたから、やはり最後は、受け手である視聴者の情報処理能力が重要だなぁと思ったり。
とにかく、自分の思い込みをひとつ矯正できました。

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