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新富裕層の研究 [ 加谷 珪一 ]
864円
楽天 |
https://booklog.jp/item/1/4396114788
日本の新富裕層について書かれた本ですが、新富裕層の傾向だけではなくて、戦後日本の成功者像や、これからの時流まで触れていること。
また、富裕層の基準とされる純金融資産1億円以上の根拠が資産の利回り3.3%であることから、1億円の資産があれば380万円の平均収入に相当することは説得力があります。
ITを駆使して大きな資金を必ずしも必要とせずに、アイディアひとつで起業ができ成功を収めるチャンスは誰にもあるのだというエールを感じました。
読書メモ⤵︎
・新しいタイプの富裕層が登場
・アイディアひとつで新しいビジネスを立ち上げ、短期間で事業を売却。ネット上のコミュニティを重視
・短期間で何度も新規事業を成功に導く人「シリアル・アントレプレーナー(連続起業家)」と呼ぶ
・ネットインフラの普及によって初期投資ゼロでも事業をスタートできるようになり、起業のハードルは大幅に下がった
・大藪崇氏「人は従業員という立場のままでは究極的に幸せになれない」
・新富裕層に特徴的な傾向は、事業の規模がコンパクトで展開がスピーディであり、立ち上げ時に巨額の資本を必要としていない
・設立されたばかりの企業と社歴の古い企業が同じ土俵で競争できるようになった
・日本では全国民がネットにアクセスできる環境に
・世界中でマイクロファイナンスが事業として展開。融資審査をスマホ上で自動化
・業務用ソフトのクラウド転換が急速に進んでいる
・日本企業の多くは、垂直統合を基本とした事業形態から脱却できていない
・1億円以上の金融資産を持つ富裕層は日本に100万人ほど(2013年)5億円以上は5万世帯
・1億円からが富裕層なのは、純金融資産だから。総資産額-負債を引いた額のこと
・日本の労働人口は6600万人。雇用者報酬は250兆円。労働者1人あたりの報酬は約380万円。これは日本人の平均年収に近い
・資本に対する報酬は100兆円。これは不労所得に相当。資本として提供されているお金は約3000兆円なので、利回りは3.3%
・利回り3.3%で1億円の資産があれば380万円の平均収入に匹敵する。なので1億円という数字になる
・1950年代の長者番付 炭鉱オーナー
・1950年代後半 電機メーカーの創業者
・1960年代ゼネコンのオーナー一族
・1970年代大規模小売店や不動産ビジネスオーナー
・1980年代バブルで不動産関係
・1990年代消費者金融業界
・2000年代上場企業オーナー
・実業家は大きな資産をつくりやすい。収益を生み出す仕組みと税金
・所得税は全体の4%の高額所得者が税金の半分を納めている
・配当収入の税金は約20%、所得税は最高45%
・実業家の次に資産形成に有利なのは不動産
・日本の富裕層の資産のなかで金融資産の割合が低いということは社会全体として流動性が高くない
・日本のGDPは過去20年間ほぼ横ばい。米国は2.4倍、フランスは2倍、ドイツ1.8倍。新興国も平均2倍。日本は相対的な経済規模が2/3~半分に落ち込んでしまった
・日本人の所得は減少の一途。公務員の給与は増えている。リスクを取らず、変化に乏しい産業に従事している人の所得が増えるのは経済原理に反する。これが日本経済のリスク要因に
・経済におけるフローとストックの違いについて~バスタブのお湯
フロー モノやお金の流れを示す概念
ストック フローの結果として貯まったお金やモノの量
・節税は簡単に実施できない。富裕層が節税技術を駆使して大きな利益を得ているというのは都市伝説
・工業製品がネットに接続されるようになると、モノ作りの概念が激変する。知識から知能の時代に
・徹底的な凡庸化を行えば、誰でもそれなりの営業成績を残せる
・現代の産業革命はIoT
・日本のGDPは約500兆円。個人消費は約6割、300兆円。米国は7割、中国は4割。日本の設備投資は100兆円
・2000年代からはモノの値段は上昇しなくなった。IT化による水平分業の進展が大きく影響
・大きな資本の代わりに必要とされているのはアイディアとITスキル
・新しい時代の最大の特徴は、資本が持つ役割が相対的に小さくなり、それにともなってビジネスのあり方が集約的なものから分散的なものにシフトする
・日本における労働生産性はOECD加盟34ヵ国中21位と低い。先進7ヵ国で最低
・もっとも資産額が大きいのは大手企業の創業者など実業家と資本家を兼ねたタイプ
・次は親から土地を引き継いだ土地保有者
・その次は高額の報酬をもらう大企業の経営者・弁護士・金融マンなどのプロフェッショナル層
・オーナー経営者という形態が少なくなり、純粋な資本家にシフトしていく。事業の立ち上げと売却を繰り返し、大きな富を得る新しいタイプの実業家が増えてくる
・実業家は時代の変化に敏感
・1億円の金融資産があれば、働かなくても日本人の平均年収を稼ぐことができる
・これからの時代はリスクのほとんどない小規模なビジネスについて何度でもチャレンジすることが可能。この仕組みこそが富を形成する有力な手段
・無料であっても人を集めることに成功すれば、いずれ収益化は可能?
・馬鹿げたことであっても、思い切って実行した人の勝ち
・午堂登紀雄氏、夫婦でビジネスをすることの重要性
・富裕層の人は総じて夫婦仲が良好
・日本人自身は古い世代の産業をぶち壊して作りあげてきたもの。変化への対応こそ日本人の底力であり富を生み出す源泉
・多くの人が新しい時代に積極的に向き合い、意味のある富を形成してほしい