地元にて前川氏の講演会がありました。当日券も売り切れ、会場と超満員であることが市民の関心の高さを証明しています。

前川喜平氏は、元文科省事務次官。モリカケ問題などで政府を敵に回している話題の人ですから興味津々です。

官邸・加計学園と前川文科省の対立は権力と権力の争いでもありました。氏が天下り斡旋で事務次官を追われた経緯についてはモリカケ問題と合わせ、権力の内情を知るにあたっての格好の材料になるでしょう。

前川氏へのイメージは、立場によって大きく異なっています。政府や安倍首相を支える与党主流派からすれば、前川氏は天下りを斡旋した罪ある官僚であり、楯つく邪魔な存在であり、国益を損ねていると思っていることでしょう。

前川氏は、今の政府こそが憲法を破り、道徳を踏みにじり、国民の権利を統制し、外交の失敗で国益を損ねている、と全国を行脚して訴えています。それができる人はそう多くありません。その点は信念の人なのでしょう。

それぞれの諸問題についてどちらがどう正しいのか、自ら学び、判断することが必要なのです。

そのためには、権力がやろうとしていること、権力が嫌がることを言う人の言うことも両方理解する機会があったほうがいい。

前川氏は前川製作所創業者一族であり、中曽根康弘元首相の長男中曽根弘文氏の義弟。小泉政権時代も政策ごとに政権批判をしてきたただの官僚ではありません。権力を知り尽くしたからこそ言えることもあります。

今回の講演は、憲法と教育がテーマであり、前川氏の政権批判はまだ抑制的であったように思います。

大事なことは、世界と日本の政治経済社会の動きをきちんと知り、政府の方針を理解した上できちんと賛否の意見を持っておき、必要とあらば反対して選挙などで政府の方針を変えさせること。自分で学び自ら考え判断することが教育の目的なのです。これなんですね〜


講演メモ⤵︎

・38年間教育行政をやってきた。仕事は憲法に基づいて行わなければならないことを信条としてきた

・憲法15条2項 公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。公務員は一部の奉仕者になりやすいもの

・憲法99条 天皇摂政国務大臣裁判官の憲法尊重擁護義務 立憲主義をあらわしている

・国民が決めて国が守るのが憲法。国をコントロールするのが憲法

・国家権力は檻とライオンの関係

・政府が2014年憲法解釈を変え、集団的自衛権を一部認めた、ことは檻を破りライオンを出したようなもの

・憲法とは一人ひとりの国民が幸せになるためのもの。個人の尊厳を重んじていること

・国家権力は必要だが暴走させないためには、市民が学ぶことが必要

・教育基本法改正後でも、個人の尊厳を重んじ、人格の完成を目的とする旨が書かれている。だが、最初の教育基本法の方が世界平和と人類の福祉についてしっかりと理念が書かれていた。

旧教育基本法  前文 抜粋
   われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
   われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
   ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
 
・自ら学び自ら考える人が国民主権・民主政治の担い手になる。主権者として政府を監視する責任がある

・政府は裏切り騙すもの

・平和主義のためにも学ぶことが必要。政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないように

・歴史に学ぶことが大事。日本は明治以降、帝国主義の中で琉球を編入し、植民地を広げていった戦争の歴史がある

・日本国憲法はパリ協定にあふ戦争の違法化を取り込んだ条文

・他の国のことを理解し合うことが大事。そのために教育科学文化の国際的な交流が必要であり、それが平和を維持することに繋がる

・積極的平和と積極的平和主義とは違う。後者は本来軍事均衡・抑止論→軍拡 的な考え方

・文化的多元主義をみんなが持てることがいい。宗教もこれであってほしい。日本人は宗教も寛容で多元的なところもある

・宗教に寛容な日本人は世界の平和への役割としてとてもいいポジションにいる

・フランスの教育は、非宗教性を重視している。すこし世俗的

・相手が信じていることをけなしてはいけない

・2022年から社会科が大きく変わる。歴史総合・地理総合・公共

・歴史総合は世界史と日本史との関係や近現代史を重視している

・歴史的な位置付けからも人類が勝ち取って来たのが日本国憲法である

・憲法26条 教育を受ける権利

・基本的人権は国籍は関係がない。日本国憲法の改正がなされるなら、個人的には「国民」を「人」に変えて、全ての人に人権の保証を謳ったほうがいい

・経済力による格差の現実を知り、是正することが必要。豊かな人が多い自治体は豊か。貧しい人が多い自治体は貧しい。就学支援を市町村任せにしていいのか

・小泉政権時代は、政府方針に反対しても左遷されなかった。小泉政権時代の官邸主導と今の官邸主導は違う。今は官邸官僚が強くなって、各省は官邸の下部機関になってしまった

・各省の独立性・専門性がないがしろにされているのではないか

・安倍政権の下で高校生等奨学給付金をつくったことは悪い安倍政権の中でいいことをしている一例。ただし第二子以降を手厚くする方法は法の下の平等の観点から改善が必要

・教育支援の下に、教育資金一括贈与などの金持ち優遇の税制が多い。貧困政策に反する意見を文科省時代から主張してきた

・現天皇陛下は国民統合の象徴として憲法をきちんと守っておられるのではないか

・国は国民に無償の普通教育を受ける権利を保証すべき。義務教育ではなく、無償普通教育にすべきと考える

・憲法で教育を受ける権利を保証はしているが、現状十分保証しきれていかい

・防衛費を抑えてくれたら文科省の予算は増える。プライマリーバランスを正常化させたい財務省の立場もわかる。国民は税金のことをもっと考えるべき

・佐川氏も柳瀬氏もかわいそう。そこまで忠義を尽くす必要があるのか

・加計学園問題で愛媛県の文書にウソがあるとは思えない

・安倍総理は加計理事長と確実に話をしているのは間違いない。それが愛媛県文書で改めて証明された

・政治家にはならない

・今の官邸は、経産官僚で占められ、財務省がボロボロになっている