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今日から新学期や入学式も多かったことと思います。

 

教育について昨年読んだ本と取り出したのが、知の巨人佐藤優氏と元衆議院議員井戸まさえ氏の対談による子ども教育論。

 

男性と女性、子どもなしと3人の子持ち、知の巨人と経験豊富な子育てママ。それぞれまったく異なる環境のふたりが語る理想の教育とは?がテーマ。ふたりとも教育の専門家ではありませんが、それぞれ理論/経験や感覚に強いことを考えるとなるほどと思わせるものもあります。

 

内容はかなりハイレベルです。二人の言っていることを本当本気で実践すれば子どもたちはエリートになれるでしょう。それが幸せか、また本当に世の中のためになるか、日本や世界全体の最大幸福に貢献できるのか、これは考えないといけません。

 

現実は、読書の習慣がある「読書人階級」が佐藤氏が言う感覚として日本人の中で約200万人。これが本当だとすればまだまだ少ない。

 

2017年の大学進学率は57%。この数字を見ると現実的に見えます。世界に通用するエリートを育てるということを考えますと、今生きる子どもたちが賢くなり世の中をよくするための広い視野を養うには日本は教育予算が少ないなど課題も多いものの、全体の環境としては世界的に良い方であるとは言えるでしょう。経済的な問題も大きいものの、お金を大きくかけずともよりよく学べる環境をつくっていかないといけないのでしょうね。

 

子どもたちの鏡はその保護者・親のふるまいにあります。自分から襟を正さねばいけないなあ。

 

 

 

読書メモ↓Sは佐藤氏、Iは井戸氏

 

S「魚は頭から腐る」民族や国家が衰退するときはエリート層から弱体化する

 

S近代的な市民社会では政治は選挙で選ばれた職業政治家が行う間接民主主義。一般の国民は選挙を除き政治に煩わされず経済活動や文化活動など自分がやりたいことに専念する。自己の欲望を追求することで社会は豊かになり、国家は強くなる

 

S国家の重要問題について国民が不安を感じ、政治的解決に関与しなくてはならないと思うような日本の現状はきわめて危険

 

Sこの状況を改善する手段は間接民主主義と直接民主主義(デモや集会)しかない

 

S日本の3つのエリート

①旧来のエリート 公共事業・中央官庁

②偶然のエリート 政治社会の混乱期に急速なキャリアが上昇した人

③未来のエリート 若い人が本物の教養を身につけたら出てくるかも

 

I絵本は子どもだけでなく、親のためにもある。示唆に富んでいて、大人が子どもに学んでほしい人生のエッセンスが詰まっている

 

S子どもが興味を持つ本を与えて活字好きにすることが重要

 

S偕成社の偉人本はよい

 

S集英社 「学習漫画日本の歴史」から入るのもよい

 

S綿矢りさ「ひらいて」「蹴りたい背中」人の気持ちになって考えることを学ぶことができる

 

I東野圭吾「流星の絆」

 

S高校生は読書能力は大人と変わらない

 

S悪を追体験するには伝記が一番

 

S社会は凡人によってつくられている

 

S電子書籍は電子ペーパーがおすすめ

 

S日本の実質識字率は5%ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく

 

S聞く力を育てるのはテレビではなくラジオ

 

I目標を持っている子、本を読む子は成績がいい場合が多い

 

S習い事は習字がいい

 

S英語に関しては中学生以降に集中的に勉強する方がよい

 

S習い事漬けにはしない

 

S勉強のできる子と頭のいい子は違う

 

S受験勉強は大切。でも考え方理解力の観点から暗記だけでもいけない

 

S受験勉強の過程で身につけた知識は一生役に立つ

 

S高校生から覚えないといけない事項が英語と数学で極端に増える

 

S受験で成功するには小学4年生以降、学校以外で毎日3時間机に集中して向かうこと、これが標準的な努力

 

Sテレビを見ないほうがよい

 

S受験の先に子どもの幸せがあるかどうかを考えたほうがいい

 

Sお金がなくても子どもに適性があったら、教育大の付属系がよい。余裕があれば中高一貫性の私立の進学校がよい

 

S子どもを本当のエリートに育てるのだったら、留学を考えさせたほうがいい。高校から

 

Sカナダは教育レベルが高いのでカナダの高校を卒業すると日本の大学はほとんど入れる学力がつく

 

S留学を考えるなら、小学校高学年~中学校のうちに、外国でお母さんと一緒に英語に慣れてみるとか、親子でホームステイするのもよい

 

S高校時代に本格的に外国語を身に着けると一生の財産に

 

Sどのくらいの教養のレベルがあるかという国際スタンダードが問われる時代。大学というのは最低の入り口

 

S文学部は国際標準では哲学部。知のあり方とか教養的なことを身につけるのは文学部がよい

 

S予備校は勉強時間を短縮するためのもの

 

S次の世代は国外に出て行かなければならない時代。国際社会に通用するためには、外国語と数学と国語の力が必要

 

S英語にプラスして中国語は必要。中国との関係なしに日本人は生きていくことはできない

 

S子どものうちに動物を飼うのはすごくいいこと。はじめは寿命が短いものがいい。生きているものは人間も含めて死ぬんだということを早いうちに経験させておくことはいいこと

 

I子どもが動物と接することで、自分よりわがままな存在に出会ってはじめて、子どもは自分の姿を客観視できるようになる

 

S小さいときは隠し事もウソに入ると教えたほうがよい。ある程度の年になったら、すべてを報告しなくていいんだということも同時に教えないといけない

 

S「男の子の躾け方」はよい。教育はヨーロッパから生まれたもの

 

 

Iドイツやイギリスでは子どもは居間に出てきて親と会話したり親と関わっている

 

S絶対にお母さんに手を上げない

 

I教育では「何をやってはいけないか」も大切。リストをつくるのもよい

 

S夫婦の中の言葉というのはそのまま子どもにも反映してくる。小学生になるまでのしつけはいちばん大切。これは親の人間性も試される

 

Sゲームは子どもの成長を蝕む。デジタル思考はすべてを数値化してしまう

 

S依存の構造は一緒

 

S携帯電話は中学生以上での話

 

Sお小遣い帳をつけさせたほうがいい。与えられた枠の中でやる癖をつける

 

S漫画以外の本代は親が出してやるほうがいい

 

Sお金は大切だと教える必要はある。同時にお金と人間の価値は関係ないことも教える

 

S愛国心をつけるということを法律で書いても愛国心なんかつかない。そうではなくて、伝統や文化を教える。友だちを大切にする。歴史を大切にすることを教えることで、社会や文化が重要だということになって、結果強い国家になる

 

S国家というのは重要だけれども、反面危険性もある。戦争を避けないといけないと子どもに教える。安全保障のための平和教育が重要

 

S戦争をもたらさない平和というのは重要な価値。それとともに平和を守るためには国家が重要な役割を果たすのだということを教えること

 

S親友といえるような人は片手を超えることはない

 

S教養のある人は闘志を隠す。教養とは隠す力でもある

 

I「八日目の蝉」を題材に「親子と家族」について考える

 

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S近代的な自由の特徴とは愚行権(幸福追求権)の尊重

 

S男女の間で、どうして男が威張っているかというと、たまたま筋力が若干男が強いだけ

 

S子どもは自分の延長線上ではない自分の付属物ではない

 

S子どもには世の中には危険なこと、割ることもあることを教えなければいけない

 

S日本語の愛というのはもともと形があるもので肉体関係に非常に近いもの。実際は「慈悲」に近いのだが。

ギリシャ語の概念は「エロース」「フェローす」(友人)「アガペー」[神の愛)

 

S日本語で無償の愛という言葉があるということは愛は基本的に有償だという考えが根っこにある

 

S外国語は「教養のための外国語」「実用のための外国語」がある

 

S子どもにはできるだけ早く外国に行くのがいい。中国・アメリカ・ヨーロッパは見せた方がいい。高校以降は英語圏への夏の語学留学を