![]() | お金2.0 新しい経済のル... 1,571円 Amazon |
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経営するベンチャー若手起業家の著者が経済とお金の近未来について希望的観測について書いた本。
佐藤氏の観測が新鮮なのは、氏がお金の未来が貨幣そのものだけではなく資本主義や国家の形も根本的に変えてしまう可能性があることに言及していること。
佐藤氏は、資本主義の欠点を補った価値を軸として回る社会「価値主義」という枠組みを提案しています。
時代の変化はある種とても怖いものでもあるのですが、お金に縛られない生き方を多くの人々がすることができるならばもっと自由にもっと人々自身の個性や発想でもって生み出されたモノやサービスが人々をより豊かにし、自身も豊かな人生を歩むことができる可能性があることです。
あまり楽観的な観測はできませんが、世の中の変化に遅れないよう、また関わっていくことができるなら楽しいですね〜
読書メモ↓
・経済のあり方が変わろうとしている
・資本主義の欠点を補った考え方として、価値を軸として回る社会「価値主義」という枠組みを提案
・2017年はICOが盛り上がり、お金や経済のあり方が大きく変わっていくことが明らかになった
・多くの人の人生の悩みは①人間関係②健康③お金
・お金や経済はまだまだ進化の途中であり、人間は今とはもっと違う存在を目指せると信じる
・Fintech1.0 金融の概念は崩さずに、ITを使ってその業務を限界まで効率化する
・Fintech2.0 近代に作られた金融の枠組み自体を無視して、全くのゼロベースから再構築するタイプ
・2.0はあまりにも既存社会の常識とは違うので今の経済のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象に。でもこれこそが新しいパラダイムであることの証に
・お金には価値の保存・尺度・交換の役割がある
・18世紀にお金が表舞台に出始め、お金が社会の中心になるにつれ、価値をどう低級するかを考えるよりも、お金からお金を生み出す方法を考えたほうが効率的であることに気づく人が出てきた。お金にお金を稼がせる金融市場の大きさがそれを証明している
・価値を仲介するツールに過ぎなかったお金が価値から分離してひとり歩きを始めた
・1833年イングランド銀行が銀行券を発行。法定通貨に。1844年ビール銀行条例で国有化。国家が中央銀行を所有して国の経済をコントロールする枠組みが出来上がった。中央銀行の普及はこの100年ほど
・ビットコインとは、中央に管理者がいなくても成り立つバーチャル上の通貨でブロックチェーンという技術が活用されている
・新しいものが出てきた時に、前提知識を当てはめて新しいものを見るのは危険。仮想通貨は金融業界の人ほど理解に苦しみ、全く前提知識のない若者や一般の人のほうが自然に受け入れて使いこなしている
・全く違うように見えていた様々なサービスや市場や組織の根底には、普遍性のある構造が隠れている
・経済はネットワークそのもの
・経済とはパレート(上位2割が全体の残り8割を支える構造)が自然に発生してしまう
・世界経済は上位1パーセントの富裕層が世界全体の富の48%を所有しており、上位80人と下位35億人の所得がほぼ同じ
・動的なネットワークの特徴①極端な偏り②不安定性と不確実性
・経済とは人間が関わる活動をうまく回すための仕組み
・現在は社会的な欲望が目立ってきており、3M(儲けたい・モテたい・認められたい)の3つが欲望としては特に強く、これらを満たすようなシステムは急速に発展しやすい
・学者のハイエクは、市場原理によって競争にさらされることで健全で安定した通貨が発展する、と考えた
・ビットコインは経済システムに参加する人が何をすればどういった利益を得られるか、という報酬が明確に設計されている
・給与はわかりやすい報酬が用意された典型的な経済システム
・現代ではお金以外の要求が高まっている
・SNSという経済の中では金銭ではなく承認という欲求を満たすための装置。SNSは経済システムに必要な5要素(報酬・変動・不確実性・階層序列・交流)を完璧に押さえている
・人間や動物の脳は、欲望が満たされた時に報酬系または報酬回路と言われる神経系が活性化して、ドーパミンなどの快楽物質を分泌する
・脳は予測が難しいリスクのある環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすい
・人間は他者との比較の中で、自分が幸不幸か、優劣を判断する相対的な生き物
・大半の人の脳は周囲と自分を比較する物差しがあったほうが、より刺激や快楽を感じやすい
・絶えずエネルギーが流れるような環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、代謝をしながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記録することでその秩序を強固なものにする
・自分たちの存在を情報として定義する、つまり「ビジョン」や「理念」を策定することが重要
・社会主義は私利私欲を否定し、政府が経済をコントロールし、競争を否定したために失敗した
・既存の経済や社会は中央集権化によって秩序を保ってきたが、これからは「分散化」
・分散化の成功例の典型は、「シェアリングエコノミーサービス」
・シェアリングエコノミーが最も進んでいるのは中国
・従来の企業と個人の間が主流だったお金のやりとりが、ネットワーク型の社会に移行すると個人から個人への流れがメインになり、今までとは全く異なる経済が発展しつつある
・シェアリングエコノミーをさらに推し進めたのが、トークンエコノミー(ブロックチェーン上で機能する独自の経済圏)
・ビットコインはマイナー(採掘者)が通貨発酵液を得られる仕組み
・シェアリングエコノミーやトークンエコノミーが進化していくと、中央に一切の管理者が不在で自動的に回り、拡大し続ける有機的なシステムとして存在することが予想される
・「自動化」と「分散化」という2つの大きな流れは今後の10年を考える上で非常に重要。この二つが混ざった時に起こる「自律分散」というコンセプトが多くの産業のビジネスモデルを覆ることになる
・自律分散型の仕組みが次世代の成功モデルとして普及していく可能性が高い
・経済の民主化が進み、万人が経済を自らの手で作れるようになると社会は大きく変化していく
・お金そのものには価値がなくなっていき、どのように経済圏を作って回していくかというノウハウこそが重要な時代に
・最も予測が難しい市場が株式市場や為替などの金融市場
・「消費経済(実体経済)」お金を払うという一般的な経済
・「資産経済(金融経済)」お金からお金を生み出す経済(お金の流れの9割近く)
・今は資産経済の割合が大きくなっていて、経済はより不安定な状態に。お金は滞留し、投資先のほうが枯渇している
・資本じゅぎが考える価値のあるものと、世の中の人の考える価値あるものの間に大きな溝ができており、多くの人が違和感を持っている
・お金が価値を媒介する唯一の手段であったという独占が終わりつつある
・資産として認識されていないのが人材でありデータ
・フェイスブックの最大の価値はユーザーのデータ
・グーグルの時価総額は約70兆円で、日本の全IT企業の時価総額のよりも大きい
・資本主義上のお金というもの現実世界の価値を正しく認識評価できなくなっている
・今後は、可視化された資本ではなく、お金などの資本に変換される前の価値を中心とした世界に変わっていく。この流れを「価値主義」と呼んでいる
・価値主義ではその名の通り価値を最大化しておくことが最も重要。価値とは実生活での実用性を指す場合や、人間社会の存続にプラスになるような概念を指す場合もある(真・善・美・愛)
・価値を最大化しておけば、その価値をいつでもお金やお金以外のものと変換することができる。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎない
・価値の3分類
①有用性としての価値 経済・経営・金融・会計など
②内面的な価値 愛情・共感・興奮・好意・信頼など
③社会的な価値 社会全体の持続性を高めるような活動
・資本主義の問題点は①の有用性のみを価値として認識して、その他の2つの価値を無視してきた点にある
・価値主義は資本主義の発展系(資本主義が認識できなかった領域もテクノロジーの力を使ってカバーする)
・社内通貨制度も注目。感謝という内面的な価値を通貨として扱う
・評価から評価を核酸力をテコに生み出していくことが可能に
・影響力や認知や評価といった価値はお金のように色々なものと交換することが可能に
・社会は絶妙なバランス感覚で成り立っている。特定の価値が過剰に持ち上げられて他の価値を毀損し始めるとバランスを取るように揺り戻しが起きる
・ソーシャルキャピタル 個人が繋がってできている社会が持続的に良い方向に発展していくために必要な社会的ネットワークを資産と捉える考え方
・既存の経済ではマネーキャピタルを増やすことが上手い人(経営者・投資家)が大きな力を持っていたが、これからはソーシャルキャピタルを増やすのに長けた人も大きな力を持つようになる
・かつて企業は情報格差や政治的特権を活用して利益を上げることができたが、今は消費者がネットを使って自力で最良の選択ができるようになった
・ビジネスとして魅力的には映らなかった研究開発的・社会貢献事業もそれに価値を感じる支持者を集め、利益の出るビジネスとして成立しつつある
・グラミン銀行が行うマイクロファイナンスは貧困の撲滅という社会貢献的な非営利活動であったが、それを収益の出るビジネスという活動に置き換えた
・スマホやブロックチェーンなどのテクノロジーの普及によって、社会的な価値を軸にした独自の経済圏をグローバルで誰でも簡単に構築できるようになる
・これからは営利と非営利という区別はなくなっており、活動は全て価値という視点から捉えられるようになる
・価値という視点で見ると、政治と経済を明確に区別する意味がない
・市場経済が苦手な領域を民主政治が担い、民主政治では主導が難しい領域を市場経済に委ねる
・政治と経済はアプローチが違うだけで2つは同じ活動として分類される
・経済的な活動には公益性が求められるようになり、政治的な活動にはビジネスとしての持続可能性が求められるようになる
・これからはベーシックインカムの導入などを考える国が増える。企業による無償提供という意味でのベーシックインカムも考えられる
・お金の相対的な価値は下がる。なくてはならないものではなくなっている
・何に価値を感じて、どんな資産を蓄え、どんな経済システムの中で生きていくかも自分で選んで自分で決められるようになっていく過程にある
・経済圏も複数に分散していて、その中に存在するサービスも管理者不在で機能する分散したネットワーク上で完結する「二重の分散」もありうる
・「タイムバンク」という時間の取引所をつくっている。時間利子など時間が通貨となる仕組みを模索している
・個人が収入を得る手段は増えたが、個人が資産を得る手段がない限りは、個人は経済の主役にはなれない
・企業の安定性は収入以上に資産にかかっている
・各自が自分にあった経済を選び、それに対する需要があれば試行錯誤をしながらその経済は残っていくはず
・私たちの脳は一度常識が出来上がってしまうとその枠組みの中で物事を考えたり判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見ることが難しい
・価値主義とは経済の民主化である
・価値主義は
①お金や経済の民主化 国家の専売特許とされた通貨の発行や経済圏の形成が新たなテクノロジ―の誕生によって誰でも簡単に低コストで実現できるようになりつつある
②資本にならない価値で回る経済の実現
・世の中の常識は日々変化している。過去の常識は常に新しい価値観に上書きされる
・ものは所有しなくても使う時だけ借りることも
・お金から解放される生き方
・ミレニアム世代(1980年以降に生まれた世代)は比較的裕福になった後の世代であり、お金や出世みたいなものにモチベーションを感じにくい
・FBCEOザッカ―ハーグ 人生の目的とは 「誰もが人生の中で目的を持てる世界を創り出すこと」
・人生の目的や意義とは欠落・欲求不満から生まれるがあらゆるものが満たされた世界ではこの人生の意義や目的こそが逆に価値になりつつある
・資本主義は儲かることを最優先に考えなければならないという暗示がある
・人間の内面的な価値に関しては、現在の資本主義の枠組みでは上の世代が認識しにくく、大きなチャンスが存在している
・金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになる
・日本の学校教育とは反対の「モンテッソー教育」という子どもの興味をとことん伸ばしていくという教育法が注目されている
・個人の価値とは
①スキル・経験などの実用的な価値
②共感や好意などの内面的な価値
③信頼・人脈のような繋がりとしての社会的な価値
・日々の業務の中で今の活動が自分の価値の上昇につながっているかを常に自問自答してみる 年収<価値
・自分自身と向き合った上で、自分の情熱を発見し、自らの価値を大事に育てていくこと
・大半の労働は機械によって自動化され、人間はお金や労働から解放される。人間は生きていくために働くこともお金を稼ぐことも必要なくなる
・仮想通貨やブロックチェーンの普及によって通貨や経済の領域も国家である必然性は薄れてくる
・エストニアが独自の仮想通貨「エストコイン」を発行して仮想通貨ベースの資金調達法ICOを実施する可能性を示唆
・国家は3つの方向に変化する
①エストニアのような先進的な国がアメリカや中国とは全く異なる形でもう一つのグローバルスタンダードをつくる
②グローバルIT企業が新たなテクノロジーを活用して実質的には国家のような役割を担い始める
③全く無名の共同体がバーチャル国家として名乗りを上げて新しいモデルを作る
・経済と宗教(内面的な価値)の境界線も消えていく
・人間が労働とお金から解放されると膨大に時間が空く→エンターテイメントが主要な産業に
・よりたくさんのお金や経済を動かしている人ほどお金を紙やハサミやパソコンと同様に道具として見ている
・お金がうまく扱えず困っている人ほどお金に特別な感情を抱いていることが多い
・お金をツールとして深く理解することで新しい経済をうまく典子なし、自分のやりたいことが実現できることを願う
・アインシュタイン「空想は知識よりも重要である。知識には限界がある。創造力は世界を包み込む。大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない」