![]() | 富裕層のバレない脱税―「タックスヘイブン」から「脱税支援業者」まで (NHK出版新書 526) 886円 Amazon |
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確定申告の時期に合わせて。
元国税職員の著者からの富裕層の節税についていろいろなスキームが触れられています。でも、これらは節税であって脱税ではありません。まあ脱税の方が本が注目されて売れやすいのでしょうけれど。
国税職員らしく税とは「富の再分配」という大切な機能があり、おっしゃる通り適切な納税は高所得者ほど必要であることは言うまでもありません。
しかしながら、日本はお金持ちへの風当たりは強く、多額の納税をしても国民にも税務署からも収めて当たり前、と冷笑されるかのような雰囲気もあります。それが結果的に複雑な節税スキームを横行させている側面もあるのではないかとも思うのです。
読書メモ⤵︎
・憲法30条で国民は納税の義務を負っている
・脱税できるのは能力の高い、社会の平均点以上の人たち
・脱税する4つの理由①個人的理由で消費するため②事業に必要な金をつくる③バランスシート改善④イデオロギー
・税金は国家のインフラを支える大切な資金源
・バレない脱税が存在もしている
・クロヨン 給与所得者9割、自営業者6割、農林水産業者4割 が所得捕捉率の目安
・H27年度法人税消費税の不正発見割合の高い10業種
1バー・クラブ2居酒屋小料理3パチンコ4自動車修理5廃棄物処理6土木工事7一般土木建築工事8職別土木建築工事9貨物自動車運送10再生資源卸売
・風営法デリヘルの手続きは許認可制ではなく届出制
・個人の最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)日本は超累進課税率
・大企業は利益平準化のための利益調整に傾注する
・税務調査は2種類(国税通則法行政手続と国税犯則取締法刑事手続)
・中小企業の株式は価値がないのに相続税が課せられる困った財産
・中小企業に税金逃れが多いのは内部牽制がゆるいから
・良くも悪くも中小企業は社長次第
・日本の所得税や法人税は日本以外の所得についても日本で課税するという「全世界所得課税」二重課税の防止には「外国税額控除」
・海外投資では日本人が日本人を騙すことが少なくない
・赤字法人と匿名組合(TK)を使った租税回避のスキーム
・インゴットに信用があり、金融インフラが整っていて、治安が悪くなく、消費税のない地域の代表は香港
・お金持ちとは、①所得(フロー)が高い人②保有資産(ストック)が多い人③ ①②両方の人 保有する資産がフローを呼びさらなるストックを形成していく
・一般的な定義としては、純金融遺産(金融資産-借金)が1-5億円が富裕層、5億円以上を超富裕層(野村総研)
・税務署の大口コードの管理基準
1有価証券 年配当4000万円以上
2所有株式 800万株以上
3資金貸付元本 1億円以上
4貸家などの不動産所得 1億円以上
5所得合計額 1億円以上
6譲渡所得などの収入 10億円以上
など
・富裕層が契約する保険は契約時に一括で数億円相当額を支払い、保障額が数十億円相当にのぼるものも
・外国の生命保険商品は、日本の保険業法では保険業界保護のため外国の保険を買えないことになっている、が買った人で処罰された話は聞いたことがない
・ループホールは国際的二重非課税
・米国のチェック・ザ・ボックス規制と日本の外国子会社配当益金不算入制度を組み合わせた手法
・香港では株式売却時も無税
・タックスヘイブン=悪者とレッテルを貼る報道はミスリード
・法人税率 香港 16.5% シンガポール 17% 日本 約30% マレーシアラブアン 3%
・外国法人信託を活用したスキームなどまだまだアイディアはたくさん存在しているはず
・架空領収書を買い取り会社から経費精算して現金請求するケース
・国税OBが根強く企業に重宝される ノウハウとレッドライン
・BEPS(税源浸食と利益移転)は国際協力が必要
・そもそも所得税や相続税は「富の再分配」という大切な機能を期待されている