日本が世界的に男女格差の是正がされていない、先進国では最低ランクである、とする理由を見事に表現なさっているのが手塚マキさんだろうと思いました。
政府が、女性が活躍できる社会環境をつくる方針は理解できるつもりです、しかし現在の人口減少や働き手不足、まわりと比べたり人目を気にする息苦しい社会。これが社会の停滞を招いています。
その根元は男性の凝り固まった性別意識かも知れません。
インタビューメモ⤵︎
・女性の気持ちにどうしたら寄り添えるか懸命に考えること
・女性は受動的存在ではない
・社会のあらゆる面で女性は男性を支える存在であることを強いられている
・男性たちは、これまで女性を虐げてきたという自覚を持ち、差別を是正するよう心がけるべき
・日本の経済成長は女性に犠牲を強いた上での成功だった。そのツケが今、少子高齢化や働き手不足など様々な問題となって社会に噴出している
・『男性を支えるのが私の役目』と考えさせている女性がいること自体が男性優位社会。男は全面降伏するしかない。女性の責任を言うのは、いまある格差をなくしてからの話
転載⤵︎
<男女格差114位の国って?〉ホストクラブ経営・手塚マキさん「男は全面降伏しかない」
――19歳で歌舞伎町に来て21年。カリスマホストとして、どう女性と接してきましたか。
「女性の気持ちにどうしたら寄り添えるか、懸命に考え、勉強してきたつもりです。それができなければ、ここでは生き残れなかったと思っています」
――女性を大事にしてきたと思いますか。
「『女性を大事に』という言葉自体が、女はか弱い存在と見なす男性目線ですね。女性はホストクラブで金をむしり取られているというイメージも、女性を受動的な存在とみている気がします。多くの女性は主体的に判断し、自らの意思で足を運んでいます」
――なぜ女性はホストクラブに来ると思いますか。
「この世が男女差別にあふれているからではないでしょうか。社会のあらゆる場面で、女性は男性を支える存在であることを強いられている。その役割から解放される場所がホストクラブなのだと思います。ホストも常に偏見にさらされる職業です。僕は大学を中退してホストになりましたが、社会からのけ者のように扱われることも多かった。抑圧される女性のつらさはよくわかります」
――どのような場面で女性のつらさを感じますか。
「例えばいまあふれている『美人アスリート』や『女子アナ』といった言葉は、男性目線の品定めのようでおかしいですよね。女性の幸せは結婚だとか、逆に行き遅れてかわいそうとか、世の中に公然とセクハラもあふれています」
――#MeTooを告発した女性が批判にさらされました。どう思いますか。
「ぼくも気づかないうちにセクハラで人を傷つけたことはあると思う。誰もが100%完璧ではない。それは告発した側の人もそう。だからといって問題とは別の過ちとか人間性を捉えて批判するのは間違っている。大事な議論が置き去りになります」
――どうしたらこの状況を変えられますか。
「ぼくも含めた男性たちは、これまで女性を虐げてきたという自覚を持ち、差別を是正するよう心がけることです。日本は経済成長したけれど、それは女性に犠牲を強いた上での成功だった。そのツケが今、少子高齢化や働き手不足など様々な問題となって社会に噴出している。なぜ好きな女性のタイプが『料理ができる人』なのか。自分の考えや本能だと思っていたものが、気づかないうちに刷り込まれてきたものだと自覚してください。僕自身、そこに気づいた時、恥ずかしくなると同時に楽になりました」
――反省すべきは男性だけですか?
「女性にも責任があると言うのは、いじめっ子が『あいつにもいじめられる要因があった』と言うのと同じです。『男性を支えるのが私の役目』と考える女性がいるとしたら、そういう気持ちにさせたのは男性優位社会。男は全面降伏するしかない。女性の責任を言うのは、いまある格差をなくしてからの話です」
(聞き手・斎藤健一郎)
■気づいて変わろう
20年間、女性の感情と向き合ってきた伝説のホストの答えは「全面降伏」だった。連載を通じて突きつけられたのは、あらゆる社会問題の根底に、男女格差が障壁となって横たわるということ。その格差は感度を上げ、意識を高めて初めて、クリアに見えてくる。今さら気づくなんて遅い。そう叱られても仕方ない。気づいた時が変わる時だ。