今年読んだ最後の本です。平成の末、時代の変革期に乗り遅れないよう、気がついた人できる人からやっていくしかないか。


学べば学ぶほど、知らないことできないこと、人の気持ちを理解できないことに気づく後悔と申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが、来年も縁ある人々の幸せを願い寄り添うことができますよう。


縁ある皆様が2018年が良い年になりますことを。




http://booklog.jp/item/1/4569837301


著者は、バブルの名付け親で常に日本経済の構造的問題に物申してきた元大蔵官僚の経済学者、野口悠紀雄氏。仮想通貨とブロックチェーンの仕組みについて氏らしくわかりやすく解説した本です。


内容は仮想通貨の今後の相場感についてはまったく触れていません。


仮想通貨とブロックチェーンだけではなくシェアリングエコノミー・IoT・DAO(自立分散型組織)といった相関性の高いキーワードの解説を加えIT革命の総論としてそれらの仕組みや将来予測をわかりやすく理解することができるものになっております。


今年最後の本としてはとてもよかったと同時に、日本にとっては人々の生き方がIT技術によって明るくなる可能性がある一方、日本の硬直的構造的な経済構造により、決して平成以降大きなイノベーションを生んでいない日本経済が凋落しかねない恐怖にもとらわれます。


仮想通貨とブロックチェーンの普及の発展が日本と日本人にとって世界の経済成長に取り残される懸念が私見ですが次の通りです。


①新しい試みやビジネスの発展を阻害する原因となりうる(既存の経済構造が既得権になってしまっている)規制過多の日本社会

②個性や創造性、独自性より協調性や同質性(これはこれで大事なのだが)を大事にする教育と国民性

③モノとハードウェアに偏重している製造業中心(中央集権型の)の産業構造



総じて世界的な発展が確実視され、世界の政治・経済・社会を変える可能性の高い仮想通貨やブロックチェーンの構造は民主的・自立分散型です。


一方、日本の中央集権的・組織的・閉鎖的な日本の政治・経済・社会と仮想通貨とブロックチェーンの構造とは対極にあり、それが阻害要因となって世界的潮流から取り残されていくのではないかと強い危惧を抱きます。


これからは、組織に縛らずに働くフリーランスの時代。人々はより柔軟に、高い自由度で働くことができるようになるでしょう。それにはIT革命についていける個人のスキルをつけなけらばなりませんし、今までやもすれば否定の対象となってきた個性や独自性・創造性は今の国家戦略と合ってない部分もあるのではないでしょうか。


高度成長と繁栄の源となった日本の成功体験が次の時代への対応の邪魔をしているのです。


 ともあれ、新しい時代についていけるよう、努力を重ねていきますね。

 







読書メモ↓

 

・仮想通貨の対する関心が急速に高まったのは、仮想通貨が著しく値上がりし、新しい投資対象として注目されているため

 

・仮想通貨は従来の金融商品とは全く違う新しい仕組みであり、理解が困難であり、詐欺に使われやすい

 

・日本人の仮想通貨に対する関心は、値上がりする新しい投資対象という面に偏りすぎている

 

・ビットコインなどの仮想通貨は、ブロックチェーン応用の一つの形態。これによって地球規模でほぼゼロのコストで送金ができるようになり、グローバルな経済活動の形態は大きく変わる

 

・ビットコインはインターネットで使うことができる通貨

 

・ビットコインと電子マネーは全く別のもの。最大の違いは管理者の有無。電子マネーには管理者がいて中央集権的な仕組みで運営されている。ビットコインは管理者が存在せず、利用者が直接、情報をブロックチェーンに送信することによって取引がなされている

 

・ビットコインは世界的な通貨。ビットコインの価格は変動する

 

・日本銀行券は残高は約100兆円

 

・ビットコインの時価総額は1233億ドル(約14兆円)1年で14倍に

 

・ビットコインは、公開された2009年からほぼ10分ごとに発酵されている。およそ4年ごとに新規発行量が半減する。2017年10月末残高で1665万ビットコインだが、2140年は2100万ビットコインであり、そこに達すれば新規発行は終了し増えない予定

 

・仮想通貨間の競争によって、最も適切な構造を持つ仮想通貨が選ばれてゆく

 

・2017年10月現在、世界には1200を超える仮想通貨が存在。時価総額500万ドル以上の仮想通貨は300種類程度

 

・エセリウムとは、ユーザーが独自に定義した様々なスマートコントラクトやアプリケーションを実行するためのプラットホーム

 

・リップルには、内部で使用されるXRPという仮想通貨がある

 

・ビットコインには価値の保証はない。日銀券は法定通貨で、強制通貨。現代社会の管理通貨は、他の人が貨幣だと思うから、貨幣になっている。マネーすべてがそう

 

・マウントゴックスは両替所。この事件は、ビットコインの一取引所の破綻であり、ビットコインの信頼自体は全く揺るがなかった。逆に価値を証明した(泥棒は価値あるものしか盗まない)

 

・仮想通貨は金融技術における極めて大きな革新であることを正しく認識すべき

 

・キャッシュレス化は多くの国で進行

スウェーデン:電子マネーの普及でほとんどキャッシュレスに

中国:アリペイの普及でキャッシュレス化が急速に進展

 

・日本は世界で最もキャッシュレス化が進んでいない国。日本人は現金が大好き。ATMがたくさんあり、銀行が発達しすぎたから

 

・ビットコインが銀行の預金通貨を代替する可能性も

 

・フィンテックとは、金融へのITの応用(送金・決済・貸付・保険・AIによる投資コンサル)

 

・フィンテックが発展しない理由は、規制。規制が新しい事業を妨げている。特定の業種における参入規制

 

・本当の意味での規制緩和こそが重要

 

・仮想通貨の流通の問題は①税の徴収②キャピタルフライト(資本逃避)

 

・ビットコインは 

①コア開発者

②取引所

③マイナー(ビットコインをブロックチェーンに記録する役割)

らが関係している

 

・ビットコインの運営は民主主義的に決定されている

 

・ビットコインが抱えている問題は、処理スピードが遅いこと

 

・ビットコインは、2017年8/1に分裂してビットコインキャッシュ(BCC)が誕生、10月にビットコインゴールドが分裂して誕生

 

・ビットコインは事業体の意思決定を民主主義的に行おうとしていることが画期的。ビットコインは現実通貨のように単一の管理者を持たず、取引情報を分散管理するというブロックチェーンの技術を使った民主主義的仮想通貨

 

・ビットコインによる送金と銀行のシステムによる送金を比較すると、手数料、利用可能時間、即時性などの点で銀行システムより優れている

 

・日本では2017年4月から改正資金決済法が施行され、仮想通貨が正式な決済手段として認められた

 

・仮想通貨の取引に関わる消費税は非課税となった

 

・送金額が3万円以上の場合はまだ銀行より有利(現時点)

 

・通貨は他の人が使えば使うほど便利になる

 

・仮想通貨の価格変動は激しく、暴落の危険もある

 

・組織で働くことを前提にするかぎり現状を大きく変えることは不可能。フリーランシングこそが究極の働き方改革

 

・ビットコインは取引所で購入。ウェブにある取引所のサイトを開き、本人確認のための情報を入力し、銀行から口座振り込みをしてビットコインを購入。その残高は取引所に開設したアカウント(口座)に記録される

 

・ビットコインアドレスとは、口座番号のようなもの

 

・ウォレットIDとはパスワードとともに、ログイン時に使用するID

 

・ビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象。雑所得に区分される

 

・メガバンクが独自の仮想通貨を発行する計画

 

・3種類の仮想通貨

①ビットコイン等 国家の独占を破る管理者のいない通貨

②メガバンクの仮想通貨 通貨自由化論の世界

③中央銀行の仮想通貨 銀行の消滅?ビッグブラザーの世界?

 

・仮想通貨は、送金の手段であって、投機や投資の手段ではない。実際は投機投資目的で購入される場合が多い

 

・日本政府は2016年3月の閣議で仮想通貨を通貨として認める閣議決定をした

 

・銀行は独自の仮想通貨を作る動きはこれに対抗するため

 

・各国の中央銀行は、ブロックチェーンを使った独自の仮想通貨を発行しようと研究を行っている

 

・ビットコインのような仮想通貨の利用が拡大すれば、中央銀行が発行する通貨や決済システムの必要性が低下し、金融政策の有効性が低下する可能性も

 

・仮想通貨の今後の3つのシナリオ

①ビットコインのような仮想通貨が主流になるシナリオ

②メガバンクなどの銀行が発行する仮想通貨が主流になるシナリオ

③中央銀行が発行する仮想通貨が主流になるシナリオ

 

・ビットコイン型の仮想通貨が普及すると、従来の金融システムや国家システムの外で通貨が流通することにあり、金融政策が効かない、税の徴収に支障が生じるなどの問題が発生し、国家の構造に影響を与える可能性もある

 

・ブロックチェーンは、ビットコインの中核的基礎技術であり、電子的な情報を記録する新しい仕組み

 

・ブロックチェーンは、管理主体の代わりに、コンピューターネットワークが取引の正しさをチェックし、記録を書き換えることが事実上できなくなっており、管理者が不要で低いコストで運用できる

 

・ブロックチェーンは、P2Pによる分散型の仕組み

 

・石に掘る作業(マイニング=採掘)をしている人々を「マイナー」という。マイニングとは、ハッシュ値がこの条件を満たすようなナンスを求める作業を一斉に行う。最初に正しいナンスを見つけたコンピュータが発見した、と宣言する。そのナンスが正しいことが確認されたら、マイナーがその10分間の取引についての責任者となってこれらの取引は正しいというタイムスタンプを押す。その報酬とちて一定のビットコインを「マイニング」という。そうした作業が繰り返され、ブロックが繋がっていく

 

・マイニングは電気料金が安い中国の奥地でコンピュータを稼働させる少数のマイナーによって行われており、寡占化している

 

・ビットコインは信頼できない人々がっやっているのに信頼できる事業になっている。ブロックチェーンは、特定の管理者の信用に頼ることなく、悪意を持って損害を与えようとする者を排除できる仕組み

 

・インターネットは、情報を地球上どこでも、ほぼコストゼロで送ることを可能人にした革命的なこと。でもインターネットでできなかったことが2つある、①経済的な価値を送ること②信頼を確立すること この2つをブロックチェーンは可能にした

 

・ブロックチェーン革命がもたらしたもの

①「ビザンチン将軍問題」の解決

②相手の組織を信頼する必要がない Trustless社会の実現

③マネーを送れるようになった

④巨大組織の有効性の消滅

⑤組織に縛らずに働ける。独立自営業者の時代

 

・ブロックチェーンは、情報の世界において、インターネットが登場したときと似た地殻変動を金融などの経済活動の世界に引き起こす

 

・クレジットカード決済は決済額の2-4%の手数料がかかる。仮想通貨を使えば、その手数料が要らなくなる

 

・あまりにも革命的な発明は、最初は社会的に受け入れられず、まやかしだといわれてしまうもの

 

・ブロックチェーンの応用(金融)

〇通貨 ビットコイン型・メガバンク・中央銀行が発行する仮想通貨

〇証券 ブロックチェーンで取引だけでなく清算と決済が高速化

〇保険 P2P保険パラメトリック保険

〇資金調達 ICOがIPOにとって代わる

 

・証券取引所は、ブロックチェーンを利用した決済業務の実験に取り組んでいる

 

・P2P保険とは、何人かの人が資金を拠出し、グループ内の個人に起きた事故に保険金を払う仕組み

 

・仮想通貨を発行することで資金調達をするICOという方式が活発になりつつある

 

・ICOはインターネットで行うクラウドファンディングの一種、ブロックチェーンによりコストを著しく低下させることができる

 

・ビットコインの基幹技術として東條したブロックチェーンをは、金融にとどまらずあらゆるビジネス、組織のあり方、働き方にまで本質的な変革をもたらす

 

・スマートコントラクトとは、コンピュータが理解できる形の契約

 

・ブロックチェーン技術を活用すれば、証券取引や保険、貿易金融、株券の取り扱いなどの既存の金融機関業務が人間の判断を要せず自動的に実行できるようになる

 

・ブロックチェーン開発に積極的なのはこれまではアメリカだったが、最近は中国に移りつつある

 

・シェアリングエコノミーは、自動車や部屋などこれまでは各個人が所有して自分だけで利用していたものを多くの人と共有して利用する仕組み

 

・クラウドソーシングは、企業がインターネットを通じてフリーランサーなどの専門家に作業をアウトソースすること

 

・日本では規制があるためシェアリングは急成長していない

 

・利用者がサービスの質を評価し、フィードバックすることができることでサービス水準が維持できる。規制が免許者の既得権益となっている

 

・スマートロックとは、借りる人が電子マネーやビットコインでお金を払うとスマートフォンに記録され、スマートフォンをドアにかざせば錠が開く仕組み

 

・シェアリングエコノミーでモノをシェアする場合は、経営者も労働者もいないが、必ず物を所有している資本家がいて利益を得る

 

・シェアリングエコノミーがもたらす重要な効果は、所有と賃貸借の差が曖昧になること。金融の範囲が広がることは低所得者には大きな恩恵

 

・IoTとは、モノをインターネットで繋げること 

 

・IoTの重要な応用対象は、インフラストラクチャーの管理と修理。壊れる前に部品を交換する予防保全に転換

 

・日本企業の大きな問題点は、モノづくりへのこだわりが強すぎること。モノづくりの利益はソフトウェアの1/10になり、IoTの普及で1/100になってしまうかも知れない。日本の企業はハードウェア重視する姿勢から脱却できていない

 

・日本企業は閉鎖的でオープンイノベーションに対応できていない

 

・ブロックチェーンを活用する事業は、経営者がいない事業。これが新しい組織DAO(自立分散型組織)である

 

・ビットコインがこれまでの通貨や電子マネーと違うのは管理者や経営者がおらず、自動的に事業を実行していること

 

・ブロックチェーンを用いたクラウドソーシングが広く使われるようになれば、人々はより柔軟に、高い自由度で働くことができるようになる

 

・ルーチン業務はDAOが代行してくれるようになる

 

・AIやブロックチェーンがあるからこそ、人間はより人間らしい仕事ができるようになる

 

・ブロックチェーンの主導権を握るのはベンチャー企業か、大企業か、あるいは国なのかによっても、未来社会の姿は大きく異なるものになる

 

・アメリカではスタートアップ企業が登場している。日本では、古くからある産業分野における大企業が依然として大きな力を持っており、スタートアップ企業が成長する環境が整っていない

 

・ブロックチェーンの仕組みで、真正性が保障されることで、零細企業や個人が大企業と同じように資金調達や事業を展開することができる。様々な新しいアイディアが実現される。社会の様々な主体が第3者を介せず、直接取引を行うことが可能となる。IT革命はブロックチェーンによって完成される

 

・従来の社会の仕組みは、事業が人間が運営するという大前提に立っている。しかし、DAOはその前提を覆してしまう

 

・社会が大きな転換点に立っていることを意識するべき。AIやDAOに排除されない人間にしかできない価値のある仕事を探すこと