日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記

 

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私がこんな本を読むとは驚く方もおられるかも知れませんが、かつて知人だった右派関係者からいただいた本です。


この本は、カメラマンの筆者が領土問題を抱えている島を取材撮影した迫真の書。


尖閣諸島の国有化以前に書かれておりますが、日本の厳しい領土交渉の状況は何も変わっていません。


領土問題への見解は筆者は日本の立場を踏襲していますし、それはそれなりに歴史的根拠もあるわけですが、「実効支配」と「ポツダム宣言と戦後世界体制」を当てはめて考えると領土問題の解決(それもあくまで日本側の見方からすれば)は困難というより不可能に近いのではないかと絶望的な気持ちになってきます。


国益とは何か、あらゆる交渉が100.0とはいかないだけに領土を得るだけではなく本当の国益になることをじっくり見る必要がありますね〜


日本の領土問題には多くアメリカが関わっています。何故なら日米安保条約があるから。ロシアや中国韓国とのそれぞれの二国間交渉の前にアメリカときちんと交渉しておかないと領土問題は解決するのは不可能です。


それに、日米安保条約の改定は領土問題以上に難しいのではないか。北朝鮮情勢もあり改定の意欲もおそらく今はあまりないでしょうけれど、アメリカに向き合う日本の既得権層が事実上ほとんど存在しない現状で、日本の知識層はそれらを理解しているはずなのにポーズだけの領土交渉はいけません。


読書メモ⤵︎

 

・「実効支配」という問題。かつて日本人がその島で「自主的な生活や経済活動を行っていた」事実があっても、今そこに何十年も暮らしている人間がいれば、(不法占拠でも)歴史的な重みを持つことは否定できない

 

・択捉島の訪問取材に関して「日本人ジャーナリストが領土問題のある相手国の許可に従って入境すれば、それは相手国の主権を認めたことになる。それは国としてはあなたに抗議せざるを得ないこと」外務省東郷和彦 課長(当時)

 

・鈴木宗男 現実的4島返還論。北方領土は4島一括返還ではなく、まずは向こう(ロシア)が返すと言った2島、歯舞諸島と色丹島が現実的

 

・竹島上陸の際は、「日本政府は、日本人が韓国経由で独島に渡ることを禁止している」と乗船拒否されそうになった。日本人が見た「日本領・竹島」を伝えることが重要だと考えた

 

・日本政府は竹島や北方領土に関する国民が知るべき情報を、自らの手で日本人に知らせてきたのだろうか

 

・日本の国境問題に横たわる根源的な問題は、日本政府と日本人の国境意識の低さにある。相手国の暴論や強弁に対し、それらを論破する資料や史実があるにもかからずそれを主張せず、知ろうともしない姿勢こそが最大の欠点

 

・1905年以前まで鬱陵島は「竹島」と呼ばれており、現在の竹島は「松島」と呼ばれていた。竹島が領土問題となったのは1952年李承晩大統領が海洋主権ラインを表明し、竹島を自国領土と一方的に宣言してからの話であり、それまで帰属問題が争われていたのは竹島ではなく鬱陵島であった

 

・1881年に朝鮮政府は日本に「鬱陵島渡海禁止」を要求。竹島及びその近海で経済活動を阻止された日本漁民たちから相当の反発があった。漁民の反発を逸らせるために、従来の松島を竹島として漁民に対する目くらましをしたと考えられる

 

・1905年の日本海海戦の戦闘の多くは竹島近海で行われた

 

・武力による領土支配は帝国主義時代の残滓。国家の領土保全にとって最も重要なことは、その正当性をいかに主張し、持続するかということ

 

・案龍福は韓国において、独島の領有を日本に認めさせたとされる偉人

 

・辛い植民地時代を経て独立を得た韓国にとって独島は単なる岩礁の島ではなく、恨とプライド(誇)の峡間で民族の独立を象徴するモニュメントになった

 

・安倍晋三「日本人として生まれたことに対して、静かな矜持、誇りを持てる教育をしていくことが大切。日本の歴史や文化を知り、日本人としての誇りを持てば、それは、海外に行ったときに恥ずかしいことはできないという意思につながっていく、つまり真の国際人をつくっていくことにもつながる」

 

・安倍晋三「憲法改正をしなければならない3理由」

①憲法ができたいきさつ (占領軍が数週間で書き上げたもの)

②制定から時が過ぎ21世紀の社会に合わなくなっている

③日本国民が最初から書いていくことそのものの中に、新しい時代を切り開く精神を養う契機

 

・ロシアや韓国両政府は、国民を巻き込んでの領土権の既成事実化を図っているのに対し、日本政府は国民に隠し通す国境政策をとっていることが領土を巡る弱腰外交の根底にあるのではないか

 

・日本で唯一国際常識に見合った国境政策がとられているのが日本最南東端・南鳥島