取引銀行の住友元頭取の「お別れの会」でした。住友元頭取は銀行にとっては「中興の祖」であり、地域経済の生き字引といってもいい存在でした。堅実経営を貫きながらも、地方銀行としての地域経済の発展のみならず、都市部や海外への営業基盤を率先して築いた実績は16年という長い頭取・会長在職期間が物語っています。
徳島の経済人は、江戸時代からの徳島の特産品である藍の商人「藍商」のように堅実経営を旨としながら、明治以降も時代を先取りして事業の内容を藍から革新転換発展させてきた血を引いている人が多いように感じます。住友氏が地元紙に連載し、本にした「徳島の経済人に学ぶ」からもその内容がよく理解できます。
○阿波の藍商の精神とは、
・手拍限 (てうちかぎり) 信用の重視
・隠徳(いんとく) 地域への貢献
隠徳を積むことこそが長期的な視点の繁栄につながる
と私のメモには残っています。
営業に対しては「あきらめるな!他人が10回やってもダメなら20回でも(やり方を考えながら気合いを入れて)やれ!」「忘己利他」「陰徳」「堅実経営」といった、住友氏の名語録からは、この方は実績に基づいた銀行の理念的精神的支柱であったバンカーでいらしたのだな、と改めて感じました。
私との個人的な接点は、2012年に経済同友会の入会勧誘に住友氏が私の勤務先を訪問なさった時そのオーラでその場で入会させていただいたことや、所属する銀行の経営研究会の講師として講師をなさったことがあり、その資料を今でも大切に保管しております。
平成時代の終わりが近づき、昭和の時代に活躍なさった縁ある先輩がまたひとり亡くなりました。偉大な先輩経営者への敬意を込めて、教えを守って参ります。黙祷。