![]() | 小林節の憲法改正試案 (宝島社新書) Amazon |
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「改憲派」憲法学者小林節先生の改憲試案です。安倍政権の行く末はまだまだわかりませんが、憲法の成立過程での評価が大きく分かれている現状からも、憲法の評価とどう変えるかの国民的議論が起きてもらいたいものです。
自民党の憲法改正試案は、どうも国家権力で個人の権利を統制する傾向が強い。これは先の大戦の反省に基づき、戦後民主主義をそれなりには評価してきた日本の保守政治とは違った方向であって小林氏はじめ多くの批判的な意見が寄せられています。
歴史的な観点、自衛隊の扱い(自衛隊を自衛軍にして国連安保理決議なき海外派兵はしない、とする)、国旗・国歌の問題への小林氏の見解は聞くべき点があります。氏が指摘するように、現憲法において不備とされる部分や、より国民の権利を増大させ幸福に資する部分に改正が加えられる憲法改正は賛成です。国家のあるべき姿はきちんと見定めながらも未来に向けた憲法改正論議が進むことに期待します。
読書メモ↓
・憲法とは、私たちが幸福に暮らしていくためのサービス機関としての国家が暴走しないように、主権者の最高意思として権力担当者に枠を与えておく規範
・国民の幸福を増進させる方向での改正は歓迎だが、国民の幸福を減殺する方向での改悪は峻拒されるべき
・国民が幸福を実感する条件は自由と豊かさと平和。ところが、自民党の改憲草案は、表現の自由を統制し、新自由主義経済政策を促進して大衆を貧しくし、戦争の危険性を増大する憲法改悪以外の何ものでもない
・自民党の改憲草案では、国民に憲法尊重義務を課している。憲法の原理原則を知らない
・人間というものは権力を持つと必ず濫用する
・自民党の改憲草案で「個人が人」となったのは、自民党が「戦後の日本国憲法がアメリカから個人主義を持ち込んだために社会の絆が緩んで社会がばらばらになった」という見解があるから。全体主義的な締め付けで戦争をし日本は負けた。個人主義に反対という立場は全体主義
・自民党には個人主義が国を悪くしたという思い込みが前提にある
・法律は、人権の保障された国民主権国家において、唯一国民の人権を制約できる法的根拠
・現有事法制は、住民の安全と生活は地方自治体の首長の権限になっている。憲法に改めて根拠がなくても現に制度はできている
・安倍首相は世界の安全保障に積極的な役割を果たしたいと話している。それは紛争地帯の軍事的征伐い参加することであり、安保理の常任理事国入りをしたい
・今まで日本はキリスト教にもイスラム教にも戦争という形では加担してこなかった。だから日本人は世界中で活躍しても生き残れた。それが今後キリスト教側の二軍となって参加するのは新たに危険を招くこと
・わが国が、第二次世界大戦は反省しているというならば、やはり専守防衛でいくべき。専守防衛に徹することは世界平和にも貢献することになる
・憲法の三大義務は、「勤労」「納税」「子教育」国家はかつて国王のものだったが、近代市民革命で国民が主権者になったので国を維持していく義務を負うから
・三大義務は民主国家の憲法の構造上不可欠な国民に課せられた義務
・自民党の改憲草案では、夫婦仲が悪くなるのは憲法違反になってしまう
・草案では、「国民は国旗及び国歌を尊重しなければならない」としている。
日の丸は軍国主義の象徴であって平和主義の今の憲法に合わないのではないか?
君が代は明治憲法下で陸軍省と宮内省で天皇制の讃美歌として人工的につくられた歌。という意見もある
・日の丸にはそれ自体に罪はないが、歴史上大日本帝国が犯した過失と軍国主義の色に染まっていたのは事実。君が代は国民主権国家とは原理的に完全に矛盾する天皇制を賛美する歌、この問題が国民の間で解決されていない
・改めて平和国家日本、民主国家日本に相応しい国旗と国歌は何か、という議論を始め、そのうえで国民的合意のもとに、国旗国歌を決めればいい
・信教の自由や政教分離は星の数ほどある宗教が決してお互いを違法な存在として攻撃し合わないという原則を表している
・政教分離とは宗教の自由競争に国家が手を出してはいけないことを意味している
・草案は一票の格差を是正しないどころかそれを憲法で肯定している。自民党は選挙制度を変えずに権力の固定化を図るために、憲法を変えたい
・硬性憲法。憲法は硬くて当然
・自民党の草案では地方分権をする気はない
・国の役割は防衛・外交・通貨管理・司法・初等中等教育・貿易管理など。それ以外は全部地方自治体の権限にすべき
・人権を尊重するのは国。憲法は国民が道徳宣言をするものではない
・憲法前文は「信頼」よりも「期待」信頼は相手に一切丸投げしてしまうこと
・憲法前文は、国の基本的なあり方と目標を掲げるところ。日本国憲法の前文は翻訳調で良くないという言葉尻と理想主義的で良くない点もあるが概ねいいもの。自民党草案は、国民の道徳服従宣言みたいになっている。これは憲法観が狂っている
・現行憲法では弱肉強食を許さない福祉国家的な経済政策を採ることが命令されている。自民党の草案では、公共の福祉という言葉が削除され、公益及び公の秩序に変わってしまっている
・憲法論議をするには「人権」「憲法」「立憲主義」「民主主義」「政治」5つのキーワードを押さえておくこと
・憲法は人権を守るための方であり、権力を縛るための最高法。一般国民に命令し従わせようとするものではない
・歴史的にアメリカ合衆国ができるまでは世界はすべて王国の支配下にあった
・17条憲法とは当時の公務員たちの服務規律。憲法はあくまでも権力者を統制するものであって、一般国民を統制するものではない
・首相はじめ自民党の改憲派は、世襲された権力構造の中で階級社会における貴族のような感覚になってきている。上から見下ろす感覚で、大衆と憲法を捉えている。憲法を使って国民を管理するという発想が出てきた
・民主主義は二つある。ひとつが多数決民主主義、もうひとつが立憲民主主義
・幸福の条件は1自由であること2豊かさ3平和
・政治の目的は、主権者国民を幸せにすること。そのために主権者国民に自由と豊かさと平和を供給すること
・憲法を使っておかしな政治を矯正していくべきとき
・日本は国連第二のスポンサーという超経済大国であり、アメリカ、中国に次ぐGDPを持つ大国でありながら、戦争をしなことのない国。大国の中で、日本が世界に希に見る戦争をしなかった大国になれたのは憲法のお蔭
・自民党改憲草案が正しいと思っている議員は、世襲貴族や明治憲法下でも偉い人だった家の子孫。彼らは第二次世界大戦で日本が敗けたのが間違いで、日本には日本の正義があると思っている
・個性こそが人間の本質
・小林改憲草案では侵略戦争を反省することをはっきりと書く。われわれは敗戦から学ばねばならない
・侵略戦争は反省すべきだが、すべての戦争は否定しない。戦争の3種類は1侵略戦争2自衛戦争3国際警察戦争
・日本が専守防衛をきちんとしておけば、中国に限らず、どの国も日本を襲うことなどできない
・憲法には侵略戦争はしないが、自衛戦争をするということを法的にも確立する必要がある
・日本の弱点は国際法上の軍隊と交戦権を憲法で認めていないこと
・侵略戦争は憲法で禁止する。独立主権国家である以上、自衛戦争はやると憲法に明記
・キリスト教とイスラム教の泥沼の戦いにこれから日本は巻き込まれる
・複雑な歴史的背景のある国際的利害に介入することで新たな敵を自らつくることになる
・海外派兵は禁止するが、自衛軍を用いて国際貢献をすることはあり得る
・国旗・国歌を尊重するかどうかは国民各自の良心の自由の問題
・君が代は万葉集や古今和歌集に類似の歌があり、悪い歌ではない。しかし、天皇の讃美歌であった君が代は戦後は民が代の時代。国旗国歌は国民的合意を形成するための議論を
・日の丸は新たに太陽の象徴として平和の象徴として認められるべき。君が代は公募して新しい歌をつくったほうがいい
・プライバシー権と名誉権、環境権を新しい人権として憲法に入れる
・省益に負けない為には国会議員がもう少し多くいてもいい
・欧米人はもともと日本人以上に法定民族。アメリカ・フランス・ドイツでも人民革命の経験があり、国民大衆に自らは国の主という意識がある
・日本国憲法はアメリカのマッカーサーが英語で押し付けた憲法であり、人民が勝ち取ったものではない
・国防や外交は国でしかできない
・教育は国でやるべき
・現行憲法前文の「てにをは」は直すべき
・公共の福祉とは、他者の正当な人権とぶつかったときだけ、自分の人権も遠慮するということ
・自民草案にある「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えた自民党の狙いは表現の自由を狙い撃ちしている。それでは民主国家ではなくなってしまう
・アメリカは天皇制を残して、穏やかに日本が復興するために利用しようとした
・世界中に王家は残っているが、最も古くから存在する天皇家は歴史遺産として尊重に値する
・小林節の憲法改正試案
(戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認)
第9条 日本国民は、第二次世界大戦を反省し、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、他国侵略の手段としては、永久にこれを放棄する。
②わが国は、自国が他国による侵略の対象にされた場合に備えて、自衛軍を保持する、
③我が国は、国連安全保障理事会の決議があった場合に限り、国際平和を維持するための活動に参加する。ただし、その際には、事前に国会による承認を経なければならない。
・改憲するな世界で最高の憲法を目指そう
・マンションは自宅需要のほか投資目的もあるため需要が底堅い
・東京では赤坂・代々木・西新宿がトップ3で(一戸建て志向の)田園調布や成城派ランクダウン
・戸建住宅からマンションへという流れは今後も変わらない
・これからは売り手市場ではなく買い手市場
・地元に強い不動産会社がよい ①一般媒介契約 ②専任媒介契約 ③専属専任媒介契約 物件の個性が強く交渉の手間がかかりやすい空き家は③で一か月がよい
・売り出したら3か月以内の成約を目指す
・最初に問い合わせをしてきた希望者がベスト
・相続は10か月以内に相続税の申告・納税をしなければならない
・争族が始まると修復は不可能
・買い手が建売業者なら建物は解体せずにそのまま売る方がよい場合も
・ホームステージングの手法も
・収益還元法で売却価格を上げるには賃料をアップするか空き室を減らすのが有効
・売りにくい土地や戸建の空き家は隣の所有者に声をかけてみるのがおすすめ
・空き家を貸す場合は、近隣の物件の5%引きの価格がおおよその成約相場
・賃料は新築時から年1%ずつ低下する
・借りられやすい工夫をする シェアハウス・DIY賃貸・民泊も
・民泊は床面積25㎡以上・鍵がかけられる・施設使用が7-10日・滞在者名簿の保管
・地元自治体の空き家バンクという制度も
・リフォーム費用は内装工事で50-100万円、キッチンや浴室などの水回りで200-300万円、室内全体のフルリノベーションは800万円-
・これからはマイホームは生活スタイル、家族の変化、成長に合わせて住み替えていくほうが合理的
・マイホームは誰にとっても資産形成になる時代は終わった。現代に合ったマイホームの常識を持つべき